TONOワールド-ディア・ドクター


Dear Doctor (2009/日本) 127分
監督:西川 美和

出演:笑福亭 鶴瓶、瑛太、余 貴美子、松重 豊、岩松 了、井川 遥、笹野 高史、香川 照之、八千草 薫



発想がユニーク。

ハートウォーミング(もしや死語?)ドラマかと思いきや、けっこう重厚な人間ドラマだったりします。

かといって重苦しさ・堅苦しさはなくって、それは監督の演出と、役者の力量によるものがそうしています。


笑福亭鶴瓶を主役にもってくるなんて、ずいぶんと大胆なキャスティングだと観る前は思いましたが、観た後は、なるほど彼以外には考えられなくなります。

セリフまわしから佇まいまで、ほとんど“素”。だけど作品を引っ張る十分な存在感。

鶴瓶師匠やるなあ。


瑛太もいいね!

日本の若手男優の中ではぶっちぎりかも。


余貴美子、香川照之、八千草薫もさすがの味!


ただこの作品で残念だったのは、警察の存在。

ここで出てくる警察の一人は、誰に対しても態度が横暴。そのおごり高ぶった態度に立腹。

出てくるたんびに不愉快な気持ちに。


本物の警察ってどうなのかわからないけど、こんなだったら幻滅失望ですね。

出てこなくても話は成り立っていると思うので、腹立だしかったこの警察がかなりの減点材料。

意図的にこういう人物を作り出したのだとしても、ダメはダメですね。


それにしても、日本のポスターって、センスないの多いですよね。この作品のもそう。

何もむりくり瑛太の写真をもってこなくても。

劇中、みんなで撮った一枚の写真が出てくるのですが、あれをデザインすればいいんじゃないかと思います。


「その嘘は、罪ですか。」

っていうキャッチフレーズもどうなのよ。


とてもシンプルだけど、タイトルはいい。

『ディア・ドクター』。すごくしっくりきます。

観た後にこのタイトルの持つ意味を考えると、しんみりとした余韻に包まれます。



採点 星星星星星星星星 80点


TONOワールド-ディファイアンス


Defiance (2008/アメリカ) 136分
監督:エドワード・ズウィック
出演:ダニエル・クレイグ、リーヴ・シュレイバー、ジェイミー・ベル、アレクサ・ダヴァロス、アラン・コーデュナー



ユダヤ人の迫害を描いた映画は数多くあって私もいろいろ観てきたけれど、その主張するところから、いかに愚かで悲しい歴史であったかがわかります。


この作品は、何人ものユダヤ人を率いて生き抜いていった三兄弟を描いています。

実話ということですが、私はこの三兄弟のことを初めて知りました。


大勢の人間をまとめていくには、先導に立って引率していく人物が必要。

次男のリーブ・シュレイバーと三男のジェイミー・ベルは、そのあたりのリーダーシップというものをなかなかうまく醸し出していました。

次男はその気性の荒さから前へ前へと。三男はその優しさから後ろから後押しするように。


でも長男のダニエル・クレイグがもったいない。

せっかくカリスマ性のあるルックスの持ち主なのに、肝心のところで頼りになっていなかったような気がします。

史実はどうだったんでしょうね。


「この人について行こう!」と決め手となるものがない。


要所要所で人間の持つ弱さをみせていますが、これがかえって逆効果。

ダニエル・クレイグが本来持っているキラリッとしたものが損なわれてしまっていました。

また、恋愛要素も不必要!


けれど、極寒の森、ひもじさなどが、映像を通して十分に伝わってきて、リアルな迫力があってなかなか良かったと思います。

まあ楽しい話じゃないけれど。



採点 星星星星星星星 70点


TONOワールド-つみきのいえ


La Maison en Petits Cubes (2008/日本) 12分
監督:加藤 久仁生
声の出演:長澤 まさみ



絵のタッチといいストーリーといい、日本人が手掛けた作品という感じがしませんでした。

それだけアニメーションにおける世界の壁はなくなったったということでしょうか。

いやむしろ日本がリードしている気がします。


孤独感を感じるようで、実に優しさに溢れた一作。

全く強調してはいないけど、何気に温暖化や高齢化といった世情を思わせる演出も良い。

説教じみていないところが非常に高印象です。


また、こういう作品をちゃんと劇場公開してくれたところも評価したいですね。

しかも家から近い劇場でも公開してくれたのですから。


アカデミー賞 短編アニメーション賞受賞というのも、とても喜ばしいことです。


同時上映作品として、『日にち薬』、『It`s so quiet.』という、二本の短編実写映画もあり、鑑賞しました。

いやはや、たかだか十何分でちゃんとメッセージを伝えてしまうのですから、恐れ入ります。

きちんとしたビジョンがなければ、とうてい作ることなんてできませんから。


私にほんの少しでもこういった芸術肌が備わっていればなあと、本気でそう思ってしまいました。



採点 星星星星星星星 70点