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Connected Cafe

核兵器と原発を考える場を提供するNPO、Connected Cafe事務局のスタッフブログ

※前回「被ばくの作用」の続き


◇起きうる症状

次は、被ばくによってどのような症状が起きるのか、です。

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数シーベルトを一瞬で浴びるような被ばくをすれば、100%死亡することは分かっています。
でも、微量の被ばくが長期間にわたった場合の影響は、科学的にはほとんど立証されていません。

立証されていない理由の1つは、発症の仕方が人によって違ったり、複数の症状がでたり、10年・20年後になって現れたりするので、「この時の被ばくが原因」と特定できないのです。

しかし低線量被ばくの被害は、チェルノブイリでも、劣化ウラン弾が使われたイラクでも実際に起こっています。

そしてその被害のほとんどは、子どもたちに降りかかります。

「科学で証明されていない」というのは「正しくない」ことではなく、「まだ」わかっていないだけなのです。


被ばくの症状で一番よく言われるのが「がん」です。
これは、DNAにキズがつくことによって起こります。

映画「ヒバクシャ」を観てもらうとわかりますが、
イラクでは原発のゴミから作られた「劣化ウラン弾」がアメリカ軍によって使われて、
そこから出た放射性物質が、風に乗って飛び散り、水や農作物に入り、
それを口にした子どもの白血病(血液のがん)がとても増えています。

日本の場合について予測されているのがバズビー教授のもので、
福島県民200万人のうち、今後10年で少なくとも10万人が被ばくが原因のがんを発症する、とあります。
(※バズビー教授の論文(ECRRクリス・バズビー論文「福島の破局的事故の健康影響」))

でも、たった10年で発症するほど早く影響が出るのは、子どもなんです。
10万人と予測されているほどんどは子ども。想像するだけでも苦しくなってしまいます。


それから次の症状が、疲れやすくなる。
これは錆びで加齢が促進されることが原因です。

例えば階段を上ったりだとか、ちょっと活動しただけで疲れを感じてしまう。日常生活が難しくなります。
ヒロシマ・ナガサキの時は原爆ブラブラ病といわれました。


また、いま鼻血がよく話題になっています。
テレビや新聞では出てこないですが、イベントで直接会ったり、ネットで発信している情報には、とてもよく出てきます。
どうやら、子どもが高血圧になって、それで鼻血が出やすくなっているそうです。


ベラルーシの調査では、体内放射能35~70bq/kgの子供殆ど高血圧、
70~135bq/kg子供の多くに心臓循環器系統の異常があったそうです。
この体内放射能の数値については、どれくらい食べると、どれくらい溜まるのか、後ほどお伝えします。


反復性の呼吸器・消化器疾患、そして心臓血管系の病気。
これらは先天異常も非常に多いです。知能指数も低くなってしまいます。
特徴的なのは一人の子供が複数の疾患をかかえることです。
DNAが傷つけられ、免疫が弱くなってしまうためです。

例えばチェルノブイリ事故前は、健康な子どもは80-90%だったのに、
事故後20年以上経って、高汚染地区では、健康な子どもの割合が20%以下になってしまいました。

それに無脳症という、脳を持たずに生まれる子どもや、奇形児の生まれる確率がヒロシマやチェルノブイリの場合、2.5倍にもなっています。
このあたりは、映画「チェルノブイリ・ハート」にも出てくるので、ぜひご覧になってみてください。

奇形児について、福島事故の場合がどうなるかは、もちろんまだわかりません。
影響が少なくありますように、と祈らずにはいられません。

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次回「対策の基礎知識」に続きます。
※「子どもを守る勉強会」の内容レポートです。前回「放射能のおさらい」の続き。

◇被ばくの作用

放射能の悪さの1つは、体を錆びさせ、老化させることです。

(オレンジ色の丸が、セシウムなどの放射性物質、赤い矢印が放射能)

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体内の水分(H2O)が放射能で分解され、OH-とH+ができます。

このOH-がワルモノで、近くの細胞を酸化させます。

酸化とは錆びることで、体にとっては老化現象なんです。

(※出典は、こころの先生クリニック「医師が進める内部被ばく対策」

チェルノブイリでは、40代の事故処理作業員が70代の体力になってしまった例が報告されています。


もう1つの悪さが、DNAを傷つけることです。

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DNAは、よく見るとハシゴのようになっていて、一段一段が2つの棒でできています。

放射線は、この棒を壊してしまうんです。

たくさん壊されると、修復が間に合わない。

そうすると免疫が落ちたり、体調が悪くなったりします。

それから、この2本の棒の組み合わせは、ちゃんと決まっています。

どちらか1本が壊されても、残った1本があるので正しい棒で修復されます。

でも2本とも壊してしまうと、元の組み合わせがわからず、段が抜けたままになったり、間違った修復をしたりします。

これが多くなると、このDNAを持つ細胞が異変してしまい、ガン細胞になったり、呼吸器や消化器・心臓などの病気のもとになったりします。

人体には60兆個もの細胞があって、たった2週間で全て入れ替わります。

子どもはもっと早い。

だからDNAにこの間違いが起きてしまうと、小さい子どもほど影響が大きいのです。

(※出典は、原子力教育を考える会にある崎山比早子さんの論文「放射線は身体にどういう影響を与えるか」)



次回「起きうる症状」に続きます。

先月24日、Connectedのメンバー市川の子どもが通う幼稚園で、保護者向けの勉強会を開きました。

題して<子どもを守る勉強会「秋冬の食べ物と、放射能」>

福島原発事故による放射能に、親としてどうやって子どもを守れるのか、食べ物のことを中心にお話しさせて頂きました。

会には25名も参加して下さって、「わかりやすかった」「みんなにも知ってほしい」と、多くの声を頂くことができました。

そこで、参加できなかった方にも知って頂けるように、その内容を何回かにわたってこのブログに載せていきたいと思います。

それでは、勉強会の内容、スタートです。


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◇イントロ

僕(市川)は東京に約15年住んでいたのですが、3.11の福島原発事故が起きてすぐに愛知に引っ越ししました。

それは、放射能の影響をとてもリスクの高いもの、と認識しているからです。

特に子どもにとっては、全く安全ではなく、でき得る限り避けた方がいいと思う。

放射能について、科学で分かっていることもあるけれど、分かっていないことも多い。だから、現場で実際に起きていることも重視しています。

また、流れてくる情報のほとんどは「成人」を基準にしたもの。子どもの場合どうなのか、という親にとって最も知りたい情報が少なすぎると感じています。

そして、放射能のことが説明される時、難しすぎる内容だったり、大事なことが抜けていたりすることもあるな、と。

だから、親にとって欲しくて、かつ分かりやすい情報として、今回お届けしたいと考えています。

ただ、これはあくまで1つの情報にすぎず、「絶対に僕の言っていることが正しくて、この通りにすべきだ」なんて全く思っていません。

自分なりに考えるときの参考にしてもらえれば幸いです。

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◇汚染の範囲

まず、原発事故による汚染状況を振り返ります。

文科省のSPEEDIが行った震災翌日から4月末までの放射能の汚染予測です。

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東北から北陸、関東、そして長野や静岡、愛知県にまで広がっています。

この予測を裏付けるように、実際に愛知県の東部・新城市のお茶で基準値を超える放射能が検出されました。

いかに広範囲にわたって日本が汚染されているのかがわかります。


次は、予測ではなく、実際の陸の汚染状況を調査したものです。

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これは文部科学省が航空機を使って測定した、放射性セシウムの蓄積量です。(10月12日発表。ソースはこちら

文科大臣は、東北・関東だけではなく、全国を計測することを決定したので(10月19日)、次は愛知、岐阜も入る予定です。


そして今度は海の汚染を予測したものです。

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福島原発を起点に、放射能が太平洋に大きく広がっている様子がわかります。

これは、ニュージーランドの海洋コンサルティング会社が提供している8月11日時点での予測です。(ソースはこちら


放射能汚染というと、どうしても福島のことだけに意識が行ってしまいますが、実際には陸も海も、とても広範囲にわたっています。


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◇放射能のおさらい

では、ここで放射能についておさらいです。

先ほどの汚染によって放射能が問題になりますが、放射能は電磁波の一種で、毒やウィルスとは全く違います。

放射能の影響は2通りあります。

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1つは、放射能が外から通過するときに、体を傷つける「外部被ばく」(左図)。

目に見えないものすごく小さな鉄砲の弾に撃たれるイメージです。


もう1つは、体の中に放射能を取り込んでしまって、内側から浴びる「内部被ばく」。(右図)

ものすごく小さなサボテンが体内に入って、体の中がトゲトゲで傷つけられるイメージです。


それから、放射能の単位はいろいろありますが、

μSV(マイクロ・シーベルト)という単位が出てきたら外部被ばくのこと、

Bq(ベクレル)というのは内部被ばくのこと、

と思ってOKです。

高度汚染地域と違い、西日本では内部被ばくが90%以上を占め、そのほとんどはセシウムによるものです。

セシウムは半減期が30年もあるので、今後100年は影響が強く残ると思います。

また、セシウムは一度体内に取り込むと排出まで1年もかかり、その間ずっと骨格筋や甲状腺、あらゆる臓器を傷つけます。


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次回は「被ばくの作用」についてお伝えします。