私たちの人生には、様々な問題が起こります。そして、私たちは葛藤します。
この葛藤自体が苦しみです。
葛藤があると、気になって目の前のことに集中できません。
この様々な問題に対して、葛藤を起こさなくするために、私たちは何が出来るでしょうか?
それは解決するか解消するかのどちらかです。
解決と解消の違いについて簡単に説明します。
解決とは、問題を完全に取り除くことです。問題の原因を取り除き、問題自体をなくすことを意味します。
解消とは、問題の状態を和らげる、緩和することです。問題そのものは残っていても、その影響や状態を弱めることを意味します。
解決は問題自体をなくすのに対し、解消は問題の印象や影響を弱めるという違いがあります。
例えば、交通渋滞の問題を考えると、新しい道路を建設して渋滞の原因そのものをなくすのが「解決」です。一方、渋滞を軽減するために信号の調整を行うのが「解消」と言えます。このように、解決は抜本的な対策で根本的に問題をなくすのに対し、解消は一時的な緩和策という違いがあります。
人が亡くなったとき、イエスは実際に生き返らせました。仏陀は納得させました。
ヨハネの福音書 11
38 これを聞いたイエスは、またも心に深い憤りを感じながら、墓に着きました。それはほら穴で、入り口には重い石が立てかけてありました。 39 「さあ、石をわきにどけなさい。」イエスは人々をうながされました。マルタがあわてて止めました。「でも、もうひどいにおいがしています。なにしろ、死んでから今日で四日ですもの。」 40 イエスはマルタにおっしゃいました。「もし信じるなら神のすばらしい奇跡を見る、と言ったはずです。」 41 人々は言われるままに石を取りのけました。イエスは天を見上げ、「父よ。願いを聞いてくださってありがとうございます。 42 あなたがいつもわたしの願いを聞いてくださることはわかっています。ただ、あなたがわたしをお遣わしになったことを、ここに立っているみんなが信じるように、こう申し上げたのです」と祈られました。 43 それから、大声で、「ラザロよ。出て来なさい!」とお命じになりました。 44 すると、どうでしょう。ラザロが、手足を布で巻かれた姿のまま出て来たではありませんか! 顔も布で包まれたままです。イエスはあっけにとられている人々に言われました。「さあ、早く布をほどいてやって、帰らせなさい。」
参考:新約聖書
キサーゴータミーという名の母親がいました。自分の子供が死んだとき「どうして私の子が死んだのか」と、自分の不幸を嘆きました。
「なぜ私だけこんなに苦しい目に遭わなければならないのか。これはおかしい。薬を見つけて子供を治さなければならない」と考えて、子供の遺体を抱いたまま、あちこち薬を探し回りました。
そのときお釈迦さまに出会いました。キサーゴータミーはお釈迦さまに、「どうかこの子を治してください」とお願いしました。
お釈迦さまは「わかりました、治してあげましょう」といいました。お釈迦さまは「では、家族やしんせきがが死んだことない家庭を探して、マスタードをほんの少し持ってきてください」と言いました。マスタードはインドにはどこにでもあるもので、料理にも薬にも使いますから手に入れるのは簡単です。キサーゴータミーは、これで子供が生き返ると思い「すぐに持ってきます」と探しに出かけようとしたところ、お釈迦さまは「ちょっと待ってください。マスタードを、人が死んでいない家庭からもらってきてください」とおっしゃるのです。そこでキサーゴータミーは人が死んでいない家庭を探しました。しかしどこの家に行っても死人を出したことのない家庭などありません。いくら探しても見つからず、ようやくキサーゴータミーは「これは私だけの苦しみではない。生まれた者はみんな死ぬ」という真理に気づいたのです。この真理に目覚めたとき、それまでの途轍もない悲しみも苦しみもすべて消滅し、心が静かになって落ち着いたのです。
参考:日本テーラワーダ仏教協会
解決と解消について、他にも例を挙げてみます。
病気の治療:病気そのものを完治させるのが「解決」、症状を抑えるのが「解消」
借金の返済:借金全額を返済するのが「解決」、返済額を減らすのが「解消」
ゴミ問題:ゴミを出さないようにするのが「解決」、ゴミ箱を増やすのが「解消」
会社の人手不足:必要な人を雇うのが「解決」、残業を減らすのが「解消」
部屋の湿気:湿気の原因を取り除くのが「解決」、除湿器を使うのが「解消」
社会問題としての対応もあります。
失業問題:失業者をなくすのが「解決」、失業手当を出すのが「解消」
児童虐待:虐待そのものを根絶するのが「解決」、虐待されている子どもを保護するのが「解消」
公害問題:公害の原因をなくすのが「解決」、防止対策を取るのが「解消」
貧困問題:貧困層をなくすのが「解決」、生活支援をするのが「解消」
私たちの人間関係の中で起こる問題は、お互いが生きていれば話し合う機会も仲直りする機会もあるかもしれません。
しかし、相手が亡くなってしまった場合には後悔しか残りません。
そんなときでも解消することが出来ます。
それは相手の立場になって出来事を体験することです。