働きながらビジネススクール――自費でMBA、時間管理が命 | コンサルサルのぶろぐ-思考、読書、雑感などを語る

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21日の日経新聞朝刊の記事です。


日々の予定は細かく 目的意識が持続力に
 働きながら自費で夜間のビジネススクールに通う社会人が増えている。目的は経営学修士(MBA)の取得。日常業務では学べない専門知識やスキルを身につけ、会社での仕事に生かす狙いだ。自らの意思で通う場合、企業派遣と違って職場のバックアップは期待できない。学業と仕事の両立は時間管理と業務の効率化などが成否のカギを握っている。
 「火曜午前と水曜、木曜は会議と外出。部長に依頼された資料作成は金曜提出。月曜中に下調べし、下書きは火曜午後と夜。そうすると水曜日の大学院の授業に備えた資料は月曜と火曜の通勤時間に読まないといけないか……」
 日曜夜、大田幸嗣さん(30)はその週の予定とやるべきことをシミュレーションして1週間の行動を組み立てる。2011年4月に早稲田大学ビジネススクール(大学院商学研究科)に入学して以来の習慣だ。日本IBMのマーケティング部門に勤務。以前は仕事が終わらなければ深夜まででも残業できたが、今は平日の夜に週3日講義があり午後6時に退社する。「何曜日のどの時間に何をするか。決めておかないと時間が足りない」
企業派遣減る
 04年に入社し営業部門に配属された。大口契約もまとめるなど順調にキャリアを重ねてきた。だが30代を前に将来を見据えて学び直してみたいと考えた。「営業の経験は積んだ。さらに経営全般の知識を得れば仕事の幅が広がる」。両立ができるのかと上司は当初心配した。だが「学んだ知識は仕事にフィードバックできる」と説得した。
 MBAが取得できる社会人向け大学院。かつては企業から派遣されて通う人が多かったが、景気の低迷などで企業派遣は減少。代わって自費通学者の比率が高まっている。早稲田大学ビジネススクールの杉浦正和教授は「授業を夜と週末に開講する夜間コースは約8割が自費組。スキルと知識を磨き、社内でのキャリアアップを目指す社会人が多い」と説明する。
 自主的に大学院で学ぶ社会人が最も苦慮するのが時間のやりくりだ。関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科の倉片哲絵さん(29)は毎朝7時40分に出社する。ノーリツ国際事業部に勤務。就業時間は午前9時~午後5時35分だが、講義がある日は午後4時30分に会社を出なければ間に合わない。その分、早く出社して帳尻を合わせる。
 会計やマーケティング、ファイナンス。大学院で学ぶ内容はどれも新鮮で興味深い。ただレベルは高く、予習復習は欠かせない。就業時間は減らせないので睡眠を削る。今の平均睡眠時間は1日4時間程度だ。「体力的にきついが、見返りはある。同級生は年齢や職業も様々な社会人。学んだ内容を各自の経験に基づいて議論するので、いろんな会社の状況も分かり参考になる」と語る。
週末にまとめて
 グロービス経営大学院で学ぶ吉田佳輔さん(29)は平日夜の講義は取らず、週末に講義をまとめて受ける。平日は仕事に集中するためだ。
 大手精密機器メーカーの経営企画部門で働く。学んだ知識はすでに仕事に生かされている。営業戦略を立てるとき、財務諸表の勘定科目がしっかり読み解ける。「どうすれば営業部門が納得して動いてくれるか。目標を設定するにしても説得力のある数字を示せるようになった」と話す。
 日本企業ではMBAの評価は欧米ほど高くない。MBA取得が昇格・昇給と直結する職場は少なく、転職市場でも有利に働くとも限らない。
 関西学院大学専門職大学院の佐藤善信教授は「学業と仕事の両立は簡単ではない。MBA取得だけをゴールととらえる人は挫折しやすい。この先も会社で働くために何が足りなくて何を身につけたいのか。目的意識がしっかりした人ほど頑張れる」と強調する。
学校ごとに異なる強み
教員の特性まず把握
 働きながらMBAを取るなら夜間や週末に講義がある社会人向け大学院が現実的な選択肢だ。夏季休業中などに集中講義を開講する大学院なら単位がさらに取得しやすい。グロービス経営大学院は国内4カ所に校舎があり、講義の振り替えや転校も可能なので出張や転勤にも対応できる。
 通いやすさも重要だ。関西学院大学のように本部キャンパスとは別に都心部にサテライトキャンパスを構える大学院もある。2年間の学費は総額200万~300万円程度。学費ローンも利用できるが、日本ではMBA取得が必ずしも収入アップに直結しないので、できれば貯蓄で賄いたい。
 大学受験は偏差値や知名度が志望校選びを左右しがちだ。社会人向け大学院の場合は指導教員の顔ぶれが大切な要素。一口にMBAスクールといっても企業経営や起業、人的組織など分野は広く、大学院ごとに強みが異なるからだ。リクルートの「社会人&学生のための大学・大学院選び」編集長の乾喜一郎さんは「大学院でだれが教えているかをまず調べる。その教授の著書などを手掛かりに自分のニーズにあった講義・指導を受けられるか確認する。そうすれば入学後のミスマッチが防げる」と助言する。