『Two Kids a Day』
デイヴィッド・ヴァクスマン David Wachsmann監督の
ドキュメンタリーが「第50回日本賞映像祭」でグランプリ。
授賞式には共同製作者のパレスチナ人Mohamad Babaiも来日。
オンラインで拝見。
(以下、映画の核心に触れる部分もございます)
ベツレヘム近郊のアイダAida難民キャンプ。
冒頭から衝撃的。
イスラエル兵に問答無用で殺されたパレスチナの少年Abed al-Rahmanは
実は投石をしていなかった、
という他の子どもたちの証言が。
国連施設のそばに立っていただけだ、と。
何もしていないのに、イスラエル兵の恣意的主観的ジャッジ、
そして差別的「お気持ち」で発砲され一瞬で命を奪われる。
足を撃たれ、胸も撃たれたそうだ。
10月に緊急セミナーで専門家の話を聞いたが、
イスラエル軍が子どもたちや若者の足を狙うのは
足を使えないようにし、彼らを一生不自由な体にするため。狡猾で邪悪すぎる。
そして殺された子どもの友人ら4人は
実際に投石をしたらしいが(石が壁を越えることはないだろうが)
それぞれ逮捕され数年間収監されてしまった。
夜間に少年たちの家に押し入り、連行していく光景、
手首に食い込む手錠を痛がり苦しみながら尋問を受ける少年、
そして数年の拘束の間、少年たちは背も伸び大人びた青年に成長しているが
すっかり子どもらしい目の輝きを失ってしまっている。
子ども時代を奪われた彼らは
釈放後、今も連行される悪夢や恐怖感で苦しみ続けているという。
毎年700人ほどの少年が彼らのようにイスラエル軍に逮捕されているという。
ゆえに、タイトルは1日に2人の子どもが逮捕される、という意味で
Two Kids a Day。
後日ニュースの時間に
監督のインタビューが放映された。
「刑務所を出た少年が、自分を死体のようだと言ったのが最も印象的。
子どもたちの傷は癒えていない。
彼らはみな心にトラウマを抱え、
また、その家族も苦しみの中を生きていた。
子どもを壊せば家族も影響を受ける。
そして社会全体が何年もかけ壊されていく」
わざわざ夜に少年の家に押しかけ
家族の目の前で子どもを連れ去り恐怖を与え
裁判も受けさせず何年も収監すれば
その家族全体が悪夢に覆われ苛まれる。
恐ろしく卑劣なやり口だ。
一方で加害者側のイスラエル軍関係者は平然としている。
ヨルダン川西岸地区担当の
元イスラエル軍検察部門責任者のMaurice Hirschは
「私の子どもは投石などしない」としれっと言う。
(はぁ?)と思わずのけぞった。
70年以上前から侵略され土地を奪われ
アパルトヘイトと日々の爆撃・民族浄化で殺され続けている側と
国際法違反の侵略入植占領者側の非対称性を無視した
倒錯、異常な発言に言葉を失った。
Avaazのディレクターの証言によると
パレスチナの子どもたちは脅されて嘘の自白も強要されているもよう。
10年以上前からそんなやり口だったとは
世界もほとんど知らなかった(欧米メディアは報道せず)。
イスラエルでは法的に12~14歳は収容出来ないが
被占領地である西岸では、パレスチナ人対象ではそれが出来るというダブルスタンダードも。
だから子どもたちが日々、
一日に2人も逮捕される。
その恣意的な二重基準は
日本が治安維持法を朝鮮半島でより厳格に恣意的に運用していたことも
思い出させる酷さ。
特に、身の毛もよだつほど震撼したのが
少年の連行を担当したイスラエル軍の元兵士Matan Kolkaの発言。
こいつも反知性丸出しでなんの葛藤もなくしれっと言う
「法律があって私はただ命令に従った」と。
「上からの命令に従っただけだ」のアイヒマンを想起、
ナチスや日本軍兵士を想起して絶句した。
彼らは歴史に学んでいないのだろう。あまりに非人間的。
そして2023年1月の情報だが、
ヘブロン市がイスラエルによって統制されている現実を描いた
ドキュメンタリー『H2: The Occupation Lab』と、
この『Two Kids a Day』への助成金が
ネタニヤフ極右政権下で取り消される可能性が報じられてもいた。
(言論の自由を弾圧するどこかの島国ですでに何度も起こったことごととあまりにも酷似...)
毎日死者が増えるのを知っては泣いている。
何も出来ない自分の無力さも情けない。
しかし、声を上げることはやめないでいたい。
Don’t stop talking about Gaza.
岩に卵を投げることはやめないでいたい。
「以卵撃石、以卵投石」岩に卵を投げる。
イスラエル兵に追われ続け、追い詰められる恐怖のあまり
心臓が止まってしまったパレスチナの7歳の子どもの恐怖もまた思い出す。
to be continued...!?
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