6.25 朝鮮戦争が始まった日に
スペインドラマ「ペーパーハウス」の韓国版リメイク「종이의집 공동경제구역
Money Heist Korea Joint Economic Area
ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え」を視る。
Ironic/ironical。
韓国版リメイクは
「南北統一」が目前で移行プロセス中の近未来、
「共同経済区域/JEA」内
造幣局で「統一通貨」造幣中に発生する、という設定。
原作のスペインドラマ「La Casa de Papel(Money Heist)」は未見なので、
オリジナルと比較した相対評価はまだ出来ないが...

paper house.jpg

(以下、ドラマの核心に触れる部分もございます)

ファースト・インプレッションとして
印象的だったのは、映画『マルモイ 말모이』公開時拙レビューにも
記した通り、
南北共通の統一通貨10万ウォン札が象徴するような、
「南北共同」が試行錯誤され
そこここに変化のプロセスが進行する近未来の中でも
(分断された)南北での言葉集めはまだ終わっていないと感じさせる、
南北の言葉の違いが表れたシーン。

オープニングで北の「ARMY(BTSファン)」であるヒロインの独白は
外連味が感じられたが...
ソン・イェジン、ヒョンビン主演ドラマ「愛の不時着」にも
北の「ARMY」が登場していたので
その延長線上の設定で描写、という気もする。
BTSの人気やARMYの遍在性、普遍性に敢えて言及することは
深読みすれば...南北の共通点と相違点を同時に照射する
アンビバレント/二重性を孕んだ装置にもなっていて、
その点でもやはり「愛の不時着」等の
延長線上にある設定であり、描写(演出)で興味深かった。
造幣局の中にもある、見えない38度線が徐々に剥き出しになってくるが
造幣局の外の南北警察が共同で事件に対応するTF本部も
南と北の装備/備品等のギャップあり、見えない38度線が本部中央に引かれているようだった。
ただ、そんな差異や違いはありつつも
造幣局の中でも外でも共存・共生や接近、
理解し妥協し協力しようという動きが見えてくる。
統一や画一化とは別の、対立を越え(越えようとし)
南北のケミストリーやグラデーションある共存の姿は
これまでの南北ものコンテンツが繰り返し示した通り
(最近では内戦のソマリアから南北が手を取り合って脱出した
実話に基づく映画『モガディシュ 모가디슈 ESCAPE FROM MOGADISHU』なども)
一種のシミュレーション的心の準備、という趣も。

そんな南北のケミストリーといえば
韓国映画などで
人間臭い「南男北女 남남북녀」的カップルが
ハ・ジウォン、ペ・ドゥナ主演映画『ハナ~奇跡の46日間~ 코리아』、
ハン・ソッキュ、キム・ユンジン主演映画『シュリ』や
ドラマ「アイリス」等で描かれてきた

一方、ドラマ「愛の不時着」やヒョンビン主演映画
『コンフィデンシャル/共助 공조』では
「南女北男 남녀북남」カップル(後者は両想いには至らず!?)が。
そして「종이의집」には特殊なシチュエーションでの化学反応的に
「南男北女 남남북녀」バディ/カップルが登場していたのも印象的。

朝鮮戦争は未だ休戦中、且つイデオロギー対立に異なる体制や文化、
DMZで隔てられた南と北のギャップがあるバディ、あるいはカップルは
韓流コンテンツでこれまで何度も描かれてきた。

「종이의집」でもそんなカップル的に接近する南北の姿が見られる。
若干ファンタジックではあるものの心の琴線に触れるような純粋さもあって
後半、彼らに酷い試練などが訪れませんように、と願わずにはいられなかった。
現実の世界、2022年は朝鮮戦争の「終戦宣言」からまた遠のいたかもしれないが、
体制やイデオロギーの違いを超えて
疎通することが出来る可能性の一つとしての南北のバディ、
あるいはカップルの描写は(非現実的かもしれないが)
フィクションならではの希望やヒーリングも感じられ、
潜在的な南北、朝鮮半島の人々の平和や和合への希求をあらためて
呼び覚ますような感慨も。

ケンガリなどがさりげなく響く朝鮮半島らしい音、
BGMの演出がよかった。
また、安東・河回村の仮面劇で使われる仮面なども
韓国らしさ、朝鮮半島らしさを醸し出している。

キム・ユンジンの表情、演技が、あるシーンではオーバー気味で違和感が。
メイキングを視たところ、そのシーンでは
〇〇をしていたから、と理由/原因?がなんとなく判明した。
パク・ヘスの演技はそこまでの違和感はなく、安心して視ることが出来た。

2004年の6月25日に書いていた、
韓国映画『シルミド 실미도 Silmido』と
『ブラザーフッド 태극기 휘날리며 Taegukgi』から南北分断を考え

パク・チャヌク監督の『공동경비구역 JSA』を髣髴とさせる
「종이의집」の공동경제구역=JEAは、東西統一したドイツとは相違もする
南北間の「統一」代わりの、一国二制度的リアルなプロセスの可能性をも示唆、
表してもいるようで21世紀的ソリューションが反映され、
うかがえる点もフィクションとはいえ興味深かった。
分断の痛みの一方で、
疎通や歩み寄り、相互理解や共存共生へのシミュレーション、心の準備は
韓国の映画やドラマを通してあらゆる角度から何度も
繰り返し語られてもいるが、
今度はどのような結末に...とハラハラする気持ちにも。

2022年下半期に、シーズン1の後半が公開される予定。

to be continued...!?

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