ヘラクレイトス Ἡράκλειτος の言葉とされる
「万物は流転する Τα Πάντα ρεῖ
(プラトン Πλάτων Plato「クラテュロス (対話篇) Κρατύλος」に引用されている)を
まずこの件(くだり)で思い出した、古代ギリシャ語クラスタ。

Maybe I made a mistake yesterday, but yesterday’s me is still me.
I am who I am today, with all my faults.
Tomorrow I might be a tiny bit wiser, and that’s me, too.

UNICEF ホームページ
"Remarks by BTS' Kim Nam Jun (RM) at the launch of Generation Unlimited,
at the UN General Assembly"
より

bts unicef.jpg

しかし、昨日の自分も今日の自分も
明日の自分も自分、という芯の強さと自己肯定から
BTS ナムジュン(RM)のスピーチはニーチェの哲学のようにも思えた(哲学クラスタ)。
ニーチェ Friedrich Nietzsche が
「ツァラトゥストラはかく語りき
Also sprach Zarathustra: Ein Buch für Alle und Keinen」 で言う
Amor Fati(運命愛)ある人間、
自分の生を愛し肯定する超人 Übermensch になるプロセスを想起して。

国連総会 UNGA
UNICEFの青年アジェンダ Generation Unlimited でのRMのスピーチ。

My heart stopped…I was maybe nine or ten.
9歳か10歳の頃、僕の心臓は止まった」
その頃から自分を枠に嵌め
他人の視線で自分を視るようになったと言う。
他人の視線で自分を見ることは
ニーチェが批判する大衆化した、地に落ちた人間性(の側面)と理解しているが
ナムジュン自身自分の声を聞かず、自分の名前もなくして
幽霊になってしまった、と。
Soon, I began to shut out my own voice and started to listen to the voices of others.
No one called out my name, and neither did I. My heart stopped and my eyes closed shut.
So, like this, I, we, all lost our names. We became like ghosts.


幽霊、そんな暗いトンネルの中から抜け出るようにして
自分の心臓がドキドキする音、自分の声をまた聴き
自分の名前を言うようになった。
幽霊のような虚無を克服し
自分の生を自分のものとして抱きしめ、また愛するようになった。
そのプロセスがニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」の超人への道に通じる
と考えながら聴いていた。

その過程を、
今度は愛をもって I Purple You 💜 伝えシェアしようとするスピーチ。
Love yourself から脈々と流れ来た愛が
What is your name ? Speak Yourself !のメッセージに集約され
大きく反響、世界と共鳴している。

「言葉」ではなく「声」「声を聞かせて」という時、
それは二次元の文字情報以上の
四次元の言葉で、声帯という肉体をも伴った言葉は即ち声で
ミュージシャン/アーティストである BTS らしい表現、と思うと同時に
その身体性もまたニーチェらしいと思ってしまう。
声は衣服を着たり飾ることが出来ないから、
なお一層のこと身体性を伴うありのままの自分になる。
また、声なき声、としての声も含意していそう。

名前をなくして幽霊になった、という部分は
穿った見方をすれば創氏改名があった時間・記憶にもつながる歴史性、
あるいは名前をかくして生きざるを得ない、この世界のどこかに今もいる難民にも思い至る同時代性や
赤狩りの時代ブラックリストに載り偽名で仕事をしたトランボも想起するような歴史性も備えているよう。
もちろん、名前や声イコール Identity ありのままのアイデンティティの象徴でもあるのだが。

BTS 防弾少年団 방탄소년단 の曲、MVは
文学的哲学的謎を湛えメタファーに満ち
深読みや解釈を掻き立てる。思索の森に誘(いざな)う

と書いていたが、今回のスピーチも深遠で
しばし思索の、哲学的な時間を過ごしてしまうほどだった。

社会問題に対して積極的にコミットし
SNS等で発言して来たK-Pop アーティストはBTSよりも前からいた。
2PM のチャンソンや SHINee のジョンヒョンらは
具体的に LGBT に寄り添う発言もしていた

また、音楽で(MVで)問題提起をしていたアーティストもいた。
光州民主化運動
緑化事業
しかし、両方実現、具現する、
両立するアーティストは殆どいなかったかもしれない。
イメージ戦略としては
両方を同じ色、傾向にするわけにはいかなかったのかもしれない。
両輪そろった時、
ビヨンセ
チャイルディッシュ・ガンビーノがそう歌い、そう映像化していた時のように
より広い世界へと出て行くことになった。それが21世紀だ、と瞠目する。
ある種の、反知性へのアンチテーゼで、反画一化のニュアンスも。

to be continued...!?

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