オム・ジウォン、コン・ヒョジン
パク・ヘジュン、キム・ヒウォン、キム・ソニョン出演
イ・オニ監督
『女は冷たい嘘をつく 미씽:사라진 여자
Missing』(2016年)をシネマートののむコレで。

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(以下、映画の核心に触れる部分もございます)

地方の外国人妻
外国人労働者やそのコミュニティ、
家事育児を分担しない夫に働く母親への理解のない職場・社会など
さまざまな現代社会の問題を盛り込んでいる。

今年の第22回釜山国際映画祭で上映時
現職大統領としては初めて同映画祭を訪問した
文大統領は本作を鑑賞し
上映後のGVトークへも参加したそう。
席上、ここ何年かの釜山国際映画祭の状況と今後の支援についての言及も。

(日本のトップが東京国際映画祭で見せる姿と相違し、
芸術や女性の地位、国や社会問題への責任感をも感じさせる作品セレクト。
そもそも日本では外国人労働者や
近年特に問題になっている法務省入国管理局管轄の外国人収容施設における人権侵害や外国人が命を落とすケースの多さ
25万人の外国人技能実習生への人権侵害、虐待から搾取の現実が一切可視化=映画化もされていない現状と対照的。

外国人実習生が火だるま、という異常な事件も(/_;)

ここ何年か女性ふたりが主人公、女性バディものの映画
男性バディ 남남케미(男同士のケミストリー、化学反応)映画の多さに比しては少数だが韓国で製作され続けているという実感もあるが
本作も疎外された女性二人がメイン、
そのふたりが追い追われる形式の、一種のバディ映画だった。

갑을 甲乙関係、갑질(カプチル)、甲の横暴が復讐あるいは(ジソンが)ターゲットとされた原因、遠因で
そこに気づかされ思い当たるまでの恐怖に追いつめられる過程は
一見身に覚えのない、理不尽に思える被害が
実は過去の自らの横暴さによるもの、相手を踏みにじったことに起因していた、というもの。
そんな因果応報の要素は過去の韓国映画(イ・ミンギ主演チョ・ボムグ監督『クイック!! 퀵』)にも
描かれていたと思い当たるが、
ここ何年か韓国でクローズアップされている갑질(カプチル)甲の横暴を提示もしている。
ただ、足を踏んだ側に足を踏まれた側が思い知らせる個人的な次元のサスペンスにとどまらず
現代社会の問題を取り込みふくらませ
女性が疎外されている社会問題を提起するテイストも醸し出している。
文大統領がセレクトするのも納得。
特に、クライマックスまでには
女性はごく一握りの最上位の階層を除いて
上から下までが体を張って生き、疎外されながら疲弊もしながら子どもを育てなければならないのだ
という日本社会にも共通する現実を見せつけられ、胸が締め付けられそうになった。

その胸が苦しくなる現実にカタルシスをもたらしそうだったのが
遂にハンメ(コン・ヒョジン)の苦しみを理解し
「仲間」として手を差し伸べたジソン(オム・ジウォン)の姿だったが
ハンメはジソンの手を取ることなく海に沈んで行き
カタルシスは悲しみの中に霧散した。
ハンメの疎外感は
ジソンの理解や連帯感によっても救われないほど深く絶望的だったのかもしれないと
あらためて気づかされる。
そこに、異文化に生きる外国人の深い疎外感と悲しみも映し出す。
もっと早く気づいてあげられなかったのかという後悔も残す。

しかし、映画の中で終始「ママ、ママ」と「ママ」を呼んでいた幼い娘ダウンが
(「ママ」は中国語の「媽媽」である)
最後についに韓国語で「オンマ」と母親を呼んだ時
働きながら子どもを育てる苦労の果てに少しは母親が報われ
重荷からリリースされる...という小さなカタルシスにほっとした。
リアルな社会と地続きの重苦しいシーンが続き、息を止めて観ていた映画も
最後の「オンマ」の一言でふっと肩の荷が下り息を吐き出せるような気もした。

それでも
非情な現実社会の重苦しさは余韻としてまだ残っているが...

to be continued...!?

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