哲学クラスタ的には
ニーチェを何度か想起させる映画だった。
Amor Fati、運命愛も...


エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー
フォレスト・ウィテカー、マイケル・スタールバーグ
マーク・オブライエン、ツィ・マー 出演
ドゥニ・ヴィルヌーヴ Denis Villeneuve 監督
『メッセージ ARRIVAL』(2016年)

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(以下、映画の核心に触れる部分もございます)

映画の初めの方で
「記憶はいろいろな見え方をする」とナレーションが入ったことで
映画のフラッシュバックが
フラッシュバックではないと気付いていく。
通常の映画のナラティブ、
フラッシュバックは「過去の回想」というフレームが破られている。

娘の名前が
palindrome 回文になっている
その名 Hannah にも
non-linear な時間が仄めかされていると気付く。

さて、哲学クラスタ的には
ニーチェ「ツァラトゥストラ Thus Spoke Zarathustra」の
永遠回帰、運命愛が表れてもいるように観取した。
未来が見えてしまっても
この生を引き受けるamor fati が感じられた。

言語クラスタ的には
ニーチェ、カントの著作等でもなじみある
「サピア=ウォーフの仮説 Sapir-Whorf hypothesis」が映画に現れるなんて!
ニーチェは著作の中で古代ギリシャ語やドイツ語を挙げて
言語、言葉が思考を、思索を形作るといった内容の論を展開していたことを思い出す...

バベルの塔の神話・伝説(旧約聖書創世記」11章)で
全ての地は、同じ言葉と同じ言語を用いていた人間が
我々は下って、彼らの言葉を乱してやろう。
彼らが互いに相手の言葉を理解できなくなるように
なったのとは、
今回逆のことが起こったようにも見える。
ヘプタポッド Heptapod によってバラバラになった世界が
一つになって...

思考を制限する「1984年」のニュースピークと対照的に
時間の観念を解き放つ
non-linear な時間認識を
「言語を通して」獲得するというストーリーに魅せられた。

時制を超越した
四次元を俯瞰するような言語体系の習得による
思考の変化、
ある種の進化、新しい価値観への到達 arrival が表れてもいる。

武器は
言語によっては
道具と言う
の一節も絡み合って印象的。

物理学クラスタとしては
原作者のTed Chiang が念頭に置いていたという
アインシュタインの
The distinction between the past, present and future is
only a stubbornly persistent illusion.

も腑に落ちる。
物理学あってのSF!
総合的にはニーチェを屡々思い浮かべたものの...

to be continued...!?

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