あらすじ
デス・スターの設計図を奪うため
その設計者の一人である父親の行方も探しつつ
ジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)ら反乱軍のはみ出し者チーム
ロ―グ・ワンが困難なミッションに挑む。

ディエゴ・ルナ、ドニー・イェン 甄子丹
ベン・メンデルソーン、マッツ・ミケルセン
アラン・テュディック、フォレスト・ウィテカー
チアン・ウェン 姜文、リズ・アーメッド主演
クリス・ワイツ、トニー・ギルロイ脚本
ギャレス・エドワーズ監督
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー ROGUE ONE: A STAR WARS STORY』(2016年)

swrogue1 1.jpg

(以下、映画の核心に触れる部分もございます)

ソポクレスΣοφοκλῆς
「アンティゴネ Ἀντιγόνη」の父娘の状況を想起もし
原始的古典的神話的でもあるが...
韓国の史劇(時代劇)歴史映画
等に描かれてきたような
無名の者たち市井の者たちの歴史、物語としての印象も強い。

『スター・ウォーズ』シリーズ外伝/スピンオフ・シリーズとなる
「アンソロジー・シリーズ」の第1作目ゆえ、
目立ったヒーロー、英雄中心の視点ではなく
視点がずれ歴史観もかわっているゆえの
英雄譚、英雄伝からの距離感、温度差も演出に表れているかも...

デス・スターの設計図が隠されたデータタワーに素手で登る
よじ登る上昇運動は今までのスター・ウォーズには見られなかった運動、「動き」ではなかったか、
と考えながら観ていた。
フォース forceを、超人的能力もいっさい持たない、はみ出し者「ローグ・ワン」のジン、
無一物で英雄からほど遠い人間が
神に挑戦するかのようにバベルの塔
ただひたすらに分不相応にもタワーに登っていく姿。
神話的でもあり、
フォースを備えた
これまでのスター・ウォーズの登場人物とは異なる
人間的なあまりに人間的な姿も象徴的だった。

地に足の着いた、地べたを這いつくばる人間が
バベルの塔のようなタワーの高みをめざし上昇運動をする画面なのだから。

また、パンドラの箱の底に最後に希望が残っていたように
ジンがフォースなしで、ただ素手でよじ登ったタワー(~バベルの塔)の先には
希望が獲得された、という、英雄によらない神話的物語、歴史が織り成されたような余韻もある。

もちろん、それはジンだけではない。
フォースを持たない、そして滅びる肉体を持つ故
最後には滅びてしまったすべてのローグ・ワンのナラティブだった。

約1年前に公開された
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒
STAR WARS: THE FORCE AWAKENS』

登場人物の民族、人種のダイバーシティ diversity
trans national/multi ethnic と
聞こえてくる言葉の多様性が顕著に印象的だったが、
今作は四次元的に西洋と東洋の二つの世界観が並立している趣が興味深かった。

ジンたちが砂浜でデス・スターによる爆発を見る最期は
終末、キリスト教的直線的時間の終末的世界観を孕んでもいるよう
(『猿の惑星』も想起)だった。
一方、チアルートは
I'm one with the Force, and the Force is with me.
を念仏のように仏教の祈りのように唱え続けていた。
メビウスの輪のようにぐるっと一周して戻ってくる言葉。
その祈りのような言葉、円環構造の言葉はついにベイズにも伝染し、
まるで円環を閉じるようにふたりにより繰り返される。
アジア系登場人物たちは
そのようにどこか円環的時間の東洋的世界観を体現して
欧米系登場人物たちとは対照的にも見えたが、
映画の中ではふたつの時間観宇宙観、
即ち西洋的直線的終末論的世界観と
東洋的円環的時間観宇宙観がローグ・ワンとして統合され
一体となっていたのが興味深い。

ローグ・ワンのどのメンバーもフォースを備えていないながら
ジンとキャシアンは素手でデータタワーに登りミッションを完遂することで、
チアルートは
実際の超人的パワー、フォースではなく
言霊としてのフォースと共に在ることで(言霊を声に出し発し続けることで)
リアルな希望を獲得して行く過程。

言霊としてのフォースが
リアルな希望に変遷していくさまが
人間的なあまりに市井の人間的な「英雄」ローグ・ワンの辿った道が
これまでのヒーローから見たスター・ウォーズとは異なる視点、低さとベクトルで
名も無き戦士たちの物語として繰り広げられていた。

Order
(の言葉遣い)について。
記憶に間違いがなければ
今作では一度ほど、
ジンが「命令(order)が間違っていても従うの?」とキャシアスに詰め寄るシーンが印象的。
「そんなの Stormtrooper といっしょじゃない?」と。

これまでのスター・ウォーズなら、
Jedi order
などジェダイの掟としてOrderは必ず守るものと認識も共有されていたが
反乱軍側でありながら
第三者の視点を備えたはみ出し者のジンだからこそ
幼いころから戦争の時代に生きていたからこその
視点が表れているようだった。
シリアの内戦の状況、現状もジンの視点から想起させられる。
政府と反政府軍、そのどちらでもなく逃げまどう市井の人々、普通の市民の視点を...

monolith モノリスのように
黒光りする金属の立方体のような姿に赤いヴェールをかぶっている市民が
ジェダ Jedhaを行き交っていたのも目に留まった)
「相対的な正義」に疑義を呈する視点は
キム・ギドク『一対一(殺されたミンジュ) 일대일 ONE ON ONE』

等と共通もし、
現代の民主主義が共通に抱えるジレンマの一つでもあると観取した。
また、ジンの第三者的視点からは
These-Antithese-Synthese 定立・反定立・総合 的スタンスも...

インドネシア語も聞こえてきた
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
と相違もし、言語的には各種アメリカ英語*がほとんどのように聞こえた本作で
ゴールド・リーダー Gold leader の英語がレトロでむかしのSFドラマ/映画っぽいしゃべり方と
思っていたら俳優アンガス・マッキネスのCG アーカイブ映像だったとは!
レッド・リーダー(ドリュー・ヘンレイ)もCG アーカイブ映像。
(エピソードIVで使われなかったフッテージから)
ターキン総督(ガイ・ヘンリー)もピーター・カッシングのCG アーカイブ映像
レイア・オーガナ姫(イングヴィルド・デイラ)もキャリー・フィッシャーのCG アーカイブ映像...
R.I.P. Carrie Fisher...(;_;)
『ソーシャル・ネットワーク The Social Network
双子のウィンクルボスはJosh Penceが一人の顔から下を演じ
顔はアーミー・ハマーだったことも思い出し...
約40年前、19歳で『スター・ウォーズ』のレイア姫役に抜擢された時
肖像権を放棄していたキャリー・フィッシャーは
自身の顔がついたキャラクターグッズを複雑な思いで眺めることになったが...
現在はアーカイブ映像がCGで合成され、
いつまでも「出演」出来てしまう時代なのだなぁ...閑話休題。

* 主演のメキシコ系ディエゴ・ルナ・アレクサンダー Diego Luna に
南アジア(パキスタン等)系リズ・アーメッドが登場し(『ジェイソン・ボーン』ではIT企業創業者を演じ)
Diversity in Entertainment論文等で書かれているような
人種、民族の比率が概ね反映されているような印象も。
Disney製作のスター・ウォーズ第2作で。
オスカー・アイザック(『スター・ウォーズ/フォースの覚醒
STAR WARS: THE FORCE AWAKENS』)
の方が
ルックスのラテン度は高かったけれど...

前述の東洋的時間観と西洋的時間観が入り混じることと関連して
四次元的な広がりは
東洋西洋から
過去のフッテージによるむかしの英語までからも感じられた。

中華圏でのタイトルがいい。

swrogue1 2.jpg

侠盗一号:星球大戦外傅
Rogue Oneが侠盗一号
になっている。

余談ですが
シールドを通らないデータ容量というセリフ(字幕)が引っかかった。
容量の問題かしら。
「地球」の場合は
ネットワークレイヤーか通信サービスレイヤーの問題になるはずだけれど...
レイヤーの問題では...!?

to be continued...!?

buzz KOREA

Click...

にほんブログ村 韓国映画

にほんブログ村 映画

にほんブログ村 映画評論・レビュー

にほんブログ村 韓国情報

にほんブログ村 K-POP

にほんブログ村

 

Copyright 2003-2025 Dalnara, confuoco. All rights reserved.

本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は
著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください
無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、
表現
情報、意見、
解釈、考察、解説
ロジックや発想(アイデア)
視点(着眼点)
写真・画像等も
コピー・利用・流用・
盗用することは禁止します。
剽窃厳禁
悪質なキュレーション Curation 型剽窃、
つまみ食い剽窃もお断り。
複製のみならず、
ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃、
リライト

切り刻んで翻案等も著作権侵害です。