韓国全州国際映画祭で上映された『光のノスタルジア』の
パトリシオ・グスマン Patricio Guzman
監督
『チリの闘い ブルジョワジーの叛乱 La batalla de Chile
La lucha de un pueblo sin armas - Primera parte: La insurreción de la burguesía
』(1975年)
三部作がついに日本の劇場で公開。
撮影はホルヘ・ミューラー・シルバ Jorge Müller Silva 。
本作は、チリ軍事政権に捕らえられ投獄後行方が知れないカメラマンの
シルバに捧げられている。

(以下、映画の核心に触れる部分もございます)

公園などでくつろぐ人々は人民連合支持が多く
乗用車を走らせる人は右派を支持。
ワシントンと右派による2年半の経済排斥後、総選挙を前にした都市の風景。

大きくて丸いマイクをとんとんとたたいて
家族との休日を過ごす人々の口元に差し出し
インタビューを重ねる冒頭は
左派と右派がくっきりするものの、なごやかだったのだが...

徐々に事態は切迫し、
映像も緊迫感を加速させてくる。

史上初の自由選挙による社会党政権は
「共産主義国は暴力革命によってしか生まれない」プロパガンダも繰り広げていた
アメリカにとっては目の上のたんこぶでしかない。
議会制民主主義と社会主義が見事に両立し成立していたから。

そして...
最大の右派支援者はアメリカ国務省と明かされもする。
(CIA要員が20名位チリに入り込んでいる、と)

選挙で負けた右派が扇動や暴挙で政権に圧力をかけ始める。
右派は国会でも政府を妨害、
さらにストライキを決行もする。
工場にはチェ・ゲバラの写真
「民衆はあなたを守る」の弾幕が対比もされる。
(サルバドール・アジェンデ Salvador Allende の医師からの転身は
チェ・ゲバラと同じ...)

このあたりの(劇的な対比、対立)演出は若干、
キューバの革命映画にならったプロパガンダらしさもうっすら。
撮りためたフィルムをもってキューバに脱したグスマン監督は
キューバで本作を編集。
流れ行く冒頭クレジットの中に
ICAIC
(=Instituto Cubano del Arte e Industria Cinematográficos
キューバ映画芸術産業庁)を目視確認していたので、なるほど、と...

憲法改正を迫る右派と拒む大統領。
大統領は憲法改正は違憲であると憲法裁判所に訴える。
まだアジェンデ政権にそれほどの混乱は見られなかった第一部だが...

フォトジャーナリストの Leonardo Henrichsenが
銃口を向けられ撃たれながら撮った
クーデター Coup d'étatの朝のショットで第一部は終わる。

工場でインタビューに答える方々が知的な面立ちで
思わずキム・ミレ監督のドキュメンタリーに登場していた労働者
の知的な貌立ちも想起。

普通の父親が自分の子どもたちのために、
未来のために左派を支持すると表明していたのも印象的。
労働者としての誇り高く、未来を見据え
ふだんからいろいろ考えている様子が声、声、声からうかがえる。
さまざまな理解や切り口、視点、表現はあるものの
自分の言葉でインタビューに答えるふつうの市民の声が重なり
重層的にその瞬間がとらえられている。
多層をなす声、個別の声が重なりうねり、映画に多様性拡張性を響かせ
現代に疎通させる普遍性を獲得している趣。
彼ら市民がカメラを見つめながら語る声は
現代にも響き、説得力ある(今の右傾化している日本だからなお更響くのかも)。
子どもたちの未来のために彼らは選択していたのだ...
そして彼らが見ていた時代と未来は現在、現代につながっている、
地続きだから...
彼らが見つめていたものの先に私たちの時代があるから。

2年半の経済排斥(字幕で「排斥」となっていたが...
当時の言葉(スペイン語)・表現なのかもしれない。
現代は「経済封鎖」がよく使われるから)進行下、
撮影フィルムが不足してくると
クリス・マルケル監督
グスマン監督にフィルムを送ってきてくれたという(/_;)
製作はクリス・マルケル監督ほか。

チリやアルゼンチンの、国有企業民営化の問題

韓国とチリ

キューバ 革命映画から映画革命へ

ピノチェトのやり口が
全斗煥を髣髴とさせ、うなってしまう...第二部(続く...)。

to be continued...!?

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