あらすじ
海兵隊110期、頑固な独り者ソンチル(パク・クニョン)は
その性格ゆえ、勤務するチャンス・マートでもお客と衝突。
しかし、向かいに越して来た同年代の
グンニム(ユン・ヨジョン)に惹かれ
穏やかになってきたようだが...
地域の再開発事業でチャンス・マート売却に
奔走する社長チャンス(チョ・ジヌン)、
母グンニムの恋に反対の娘(ハン・ジミン)に
地域の住民をも巻き込んだ
ふたりの恋の行方は...!?
ナム・ミョンニョル、ムン・ガヨン
EXOチャンヨルら共演
カン・ジェギュ監督『チャンス商会~初恋を探して~ 장수상회
Salut D’Amour』(2015年)
(以下、映画の核心に触れる部分もございます)
エンド・クレジットによると
ニック・ファクラー Nicholas Fackler監督
マーティン・ランドー、メアリー - エレン・バースティン主演
『やさしい嘘と贈り物 Lovely, Still』(2010年)のリメイク。
最近観た映画では
『犬どろぼう完全計画』 もそうだったが...
原作、オリジナルよりも人間関係、人間模様をだいぶふくらませている。
韓国らしい。
複数の家族・家庭が登場し
(オリジナルではおじいさんの息子も娘もまだ独身で若い)
家族との関わり、多くの人たちとの相互作用が響き合う演出。
オリジナルには
ちょっとヘンな人はほとんど出て来ないのだが...
韓国版は個性的な近所の人ばかり!登場人物も増えている。
クリーニング屋(キム・ジョンテ)
中華料理店店主(イ・ジュニョク)
元ヤンのコーヒー姉さん(ファンウ・スレ)
チャンス・マート店員チェガル/諸葛・チョンス(ペ・ホグン)など...
ソンチルの後輩格だが
すでに痴呆症が始まっている海兵隊131期チェ氏(イム・ハリョン)や
ソンチルと渡り合うバス運転手(ペク・イルソプ)の登場も
「花よりおじいさん 꽃보다 할배」(パク・クニョン出演バラエティ)のように!?
おじいさん群像。(ちなみに映画のキャッチコピーは「花より恋愛 꽃보다 연애」)
同世代のおじいさんの明暗や強弱ある描き分けは
ちょっとしたシーンだが心に残る(/_;)
脚色にはパン・ウンジン監督が関わっている。
『国際市場』 もユン監督の両親が主人公のキャラクターに投影されているが...
韓国の映画監督たちも少しずつ歳をとり、
自分たちのようなミドル世代以下を主役にした映画から
老いて行く親たちの映画も撮ってきているのかもという感慨も。
インタビューによると
カン監督も父のキャラクターをソンチルに投影したそう。
韓国が短い間に急速なスピードで近代化のプロセスを経た
圧縮された近代compressed modernity は
ちょうど人間の一生の間くらいに起こっているが...
韓国人の人生と韓国の激動の現代史と韓国の経済発展は
ちょうど同じくらいのスパンで重なっていることもあらためて
想起させられる。
経済発展のスパンと言えば、
冒頭、高校生ソンチルが学校から家に帰るのどかな田園風景は
ソウルの수유동近辺のよう。
(高校生ソンチルが通学につかっているバスの行き先に
우이か수유と書かれていたような...우이동は수유동に隣接する)
チャンス・マート等の撮影も
수유동(スユ洞)で行われたそうで
一面の田園風景から
ぽつんとチャンス商会が誕生し
やがて商店街の中のチャンス・マートになり
そして再開発事業で
巨大ショッピング・モールに飲み込まれようとしている...
スユ洞を、
そしてある韓国人の一生を定点観測したように
町の変化と人の一生、おじいさんの人生が前景で
韓国の経済発展、現代史の後景に重ね合わせられてもいるのが
よくわかる。
ホームレスにホームシェアや疑似家族が小説に反映もされている最近の韓国 で
困難に出会ってばらばらになりそうな家族が
「非」家族を演じ、疑似「非」家族になってまで
ただひとりの家族を守ろうとする愛、献身に心を打たれる(;_;)
ソンチルはひとりで暮らしているようで...
実は「非」家族を装う家族の深い愛に包囲され守られていた。
そのような愛のかたち、家族愛のかたちも21世紀にはあるのだと
考えさせられる。
チャンスが生まれた頃は
子が夭折もせず健康に長生きするようにという意味で
名付けたかもしれないチャンス(=장수の同音異義語は長寿)。
しかし、現代社会は
長寿に、長く生きると痴呆症、アルツハイマー症等といった
平均寿命が短かった頃には思いもよらなかった問題にぶつかってしまう。
チャンス=長寿のアイロニー。
でも、
「本当に大切な想いは
歳を重ねても記憶でなく
心にきっと残っている」
忘却される記憶、出来事の中にも
愛し愛された想いは奥深く秘められ
心にとどまる気がして来る...
ユン・ヨジョンが少女のような姿を見せて
これまでのイメージを覆す。
チャニョルは少女時代のMVに出ていた頃 と変わらない...
まだ高校生のように見える...
オリジナル『やさしい嘘と贈り物』のおじいさんは
ゆるふわな感じで
ソンチルのように頑固でも怒りっぽくもなく
あっという間におばあさんを受け入れ、
仲良くなってキスもしてしまう(〃〃)が...
銃を持っているのがアメリカ映画らしい(;_;)
韓国リメイクの方が人間関係が複雑になっているのと、
おじいさんの性格が偏屈な設定になっているので
紆余曲折や落差を激しく感じた。
甘辛コチュジャンでツンデレの国、韓国らしい設定。
フラッシュバックするおじいさんの過去、断片的な記憶は
オリジナルではサブリミナルな映像に。
韓国リメイクで初恋の甘酸っぱさ切なさが出ているのと対照的。
オリジナルの季節はクリスマスで、
クリスマスの愛の映画になっていて
クリスマス・ソングに鏤められている。
Sunrise, Sunsetの曲が意味深げに響いた。
ニック・ファクラー監督は若干24歳で『やさしい嘘と贈り物』を製作。すごい!
アメリカ映画でマーティン・ランドーのようなベテラン俳優、おじいさんが
主役を演じることはなかなか難しくなっているそうだが...
今回ファクラー監督のために製作にも関わったそう。
to be continued...!?
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