ウィ・ギチョル 위기철原作のベストセラー小説
「아홉살 인생 九歳の人生」を
ユン・イノ 윤인호監督 が映画化。
原作はソウルのタルトンネ 달동네 が舞台だったが
映画では慶尚道の山村に。
ただ、映画は麗水ヨスなどのほかに
ソウル市内のタルトンネ
チュンゲ洞などでも撮影。
チュンゲ洞 중계동(중계본동)はパク・チャンギョン監督『萬神 만신』や
イ・サンウ監督『親愛なる指導者同志へ 친애하는 지도자동지께』

なども撮影された場所。

あらすじ

1970年代、山村の小学校3年生ペク・ヨミン(キム・ソク)9歳。
ギジョン(キム・ミョンジェ)には弁当を分け与え、
グムボク(ナ・アヒョン)の言葉に耳を貸しては
黒つばめを制圧し小学校内に平和をもたらす。

しかし、ヨミンの平和で均衡していた日常はある日崩れ去る。
ソウルからおませなチャン・ウリム(イ・セヨン)が転校して来て
ヨミンの隣の席に座ったのだ!

チョン・ソンギョン、アン・ネサン、チ・デハン、チェ・ドンムン共演
ユン・イノ監督『僕が9歳だったころ 아홉살 인생
When I Turned Nine』(2004年)

(以下、映画の核心に触れる部分もございます)

子どもの世界の義理と人情
家族、家庭に仮託するものと
(対照的に)完全無欠ではない家族、家庭に引っ張られ
引きずられる事々が入り混じり
子供の感情を揺さぶる。

子どもは小さい大人ではないが
頑是なき子どもの純情さと義理の世界、
無口でぶっきらぼうな男の子の義理と人情を踏ん張る世界に
女の子のプライド、自尊心が絡み合い
子どもの哀しみと少しずつ大人へなる過渡期を映し出す。

子どもの哀しみ。
それは小さいけれど深い

子どもの怒り。
それも小さく見えるけれど深い。
その振幅が
さまざまな家庭と事情の子どもたちを通して
情緒深く掬われ描かれている。

子どもを小さい大人としているわけではないが
9歳という過渡期に
守らなければならないものをたくさん抱えた子どもが
ふと大人びて見える時を掬いとらえている。
遠景の大人たちの方が
時に弱弱しく軟弱に見える一方、
前景、近景の子どもたちは
ちいさな心を痛めながらも
頭を働かせ心も働かせけんめいに
友を家族を勁く守ろうとして
その姿は大人以上に大人びてしっかりして見えた。
フレームは子どもの情景でありながら
大人らしさと責任感に
心が揺れる繊細な心理と過渡期の淡いが重ねられている。
そんなアンビバレントな9歳、そして人生。

소나기(ソナギ。夕立・驟雨)的にふたりを結びつける水 の隠喩、暗喩、
ソナギの変奏曲としての川も印象的。

ソナギの派生として
川などの水辺や、水に纏わる蛍などが
ふたりを結びつける韓国映画はほかにもあるかも...
『永遠の魂』 もそうだったかしら、記憶違いでなければホタルが出ていたような...
『ダンサーの純情』にもホタル。

ヨミンの父が
男(の子)は女性を守るもの、とヨミンにおしえ諭すシーンに
日本の子育てとの相違が端的に表れてもいるようで印象的。
男の子は泣かない、男の子は強く、が時に前面に出がちな
日本の子育てポリシーとはギャップがあり、
現実に出会う韓国男子の優しさや気遣いは
こういった父の教えや
子育て哲学の相違から来ているのかも...と
肌でリアルに感じたことと共鳴する部分もあり。
韓国的情緒、韓国男性の情緒の源泉、
本物の男の原点も感じたり。

あるいは
義理のある男を象徴する、象徴的な存在の
70年代のヨミン、
ノスタルジーを伴う昔の子どもに仮託、投影されている사나이サナイの姿、
サナイ(漢)というイデア、サナイの原型も立ちのぼる。
子どもは小さい大人ではないが
子どもの中に、子どもの世界に
義理も人情もある本物の男 진짜 사나이が投影されている。

(ヨミンは진짜 사나이 本物の男なのだけれど!)

2008年公開の映画に
2014年の流行語「의리 義理」の片鱗がすでに投影されていた
ように...
義理なき大人の世界や現実社会と対照的な
本物の男 진짜 사나이のいる過去が
ノスタルジーのオブラートに包まれた子供の世界として
仮託されているのかも...

2006年鑑賞時はあっさりめ

buzz KOREA

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