物静かな優等生インディア・ストーカー(ミア・ワシコウスカ)。
18歳の誕生日に最愛の父を交通事故で亡くしてしまう。
母エヴィ(ニコール・キッドマン)と参列した葬儀の場に
長い間消息も知れなかった父の弟チャーリー(マシュー・グード)がとつぜん現れ
一緒に暮らすことになるが...パク・チャヌク監督作品。

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ドラマ「プリズン・ブレイク」主演ウェントワース・ミラーの脚本は
ヒッチコック『疑惑の影』へのオマージュが感じられる。
パク・チャヌク監督を映画の世界へ引きずり込んだ作品二つのうちのひとつが
ヒッチコックの『めまい』だそうで、
脚本にも演出にもヒッチコックの陰翳も感じられるが...
サスペンスというよりは
少女のビルドゥングスロマン/Bildungsromanの趣がつよい。

これまでのパク・チャヌク監督の作品の中では
「娘に見せる」という共通点から
『サイボーグでも大丈夫』 の系譜。
パク・チャヌクらしさがない、という人もいるけれど...
監督がハリウッドデビュー作としてこの脚本を選んだ理由のひとつは
「映画の主人公であるインディアと私の娘の年齢が同じだったということ」。
だから、
18歳、大学生になった娘に見せる
ファンタジックな少女の現実、世界は
すこし残酷な童話のようにも描かれる。
蛹が蝶に生まれ変わる、その不安定な過渡期には
贈り物も与えられるが、
一方で少女から大人の女性になる時にだれもが覗いたであろう深淵を
繊細な映像と音で綴っている。
美しかった。
撮影監督はチョン・ジョンフン。

フィリップ・グラスやクリント・マンセルの音楽の彩りもさることながら、
インディアが纏う洋服は
PRADAやCARVENのデザインを思わせる
ちょっとレトロで固い蕾の雰囲気。
プレゼントにもらうハイヒールは
ソールが赤だったのでルブタンかも。

最近観たミアの出演作は『アルバート氏の人生/Albert Nobbs』。
ミアの容貌は
ペ・ドゥナを思わせた。
全体としては似ていないけれど
おおきな瞳に丸っこい鼻、
アヒル口で薄めの上唇...とパーツが似ている。
永遠に少女っぽく、ハリウッドのペ・ドゥナな印象で
これは...韓国映画!?
冒頭のスカートを風でふくらませる、という表現も韓国語っぽかった。

マシュー・グードがなかなか良い。
『シングルマン』 では主人公の恋人ジムを演じていたが...
今回デビッド・バーン(Talking Heads)に似た背格好で
ドラマ「シャーロック」 でモリアティを演じたアンドリュー・スコットのように
瞳に微かな狂気を秘めながら上品な笑みで
より得体が知れない。

ニコールの役はなかなか難しく、辛そう。
娘が
なりたくない、将来こんな風になりたくない、と思う女であり、母であるから。

インディアが在りし日の父と狩猟をしながら父に言われた言葉、
「最悪のことをしないために
少し悪いことをする」
というリフレインが谺(こだま)する。
インディアの内面の葛藤を超えて
抑えられていた野生が本能が飛び出し、
そのインパクトをより強める、シーンとセリフの音楽的なリズムがあった。
倫理的な響きは
少女の本能の深さとの対比を強め、ひたひたと根源的な恐怖感を増す。

最後の方のシーンで
インディアが微かに首をかしげながら
不思議そうに栽木(?)鋏を助手席に放り投げる。
なぜこの大きな鋏を持って行くのか...
インディア本人も(これは...?)と思っている風で、
意識と本能、自覚と野生の勘、のようなふたつの世界の鬩ぎあいが
少女の小首を傾げる愛らしいしぐさに込められている。
そんな無垢な/イノセントな恐ろしさが余韻を残す。

黄色が多くの場面で登場し
黄色に赤い血が散っていくシーンが印象的。
冒頭の無垢な淡い黄色が
濃い黄色に変わっていき、
血液の赤を多く纏うようになる...
映画の中の色の意味をもっと知りたいと思った。

to be continued...!?

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