たとえば
カンヌでパルム・ドールを取ったアピチャッポン・ウィラーセタクン の作品は
映画より先に
ギャラリー美術館で
映像インスタレーション、アート作品 を見ていた。

ムーダン(巫堂)の伝統と近代化・国際化、
自己と他者など相反するものを内側に抱えながらも
急速に発展した韓国。

その内なる矛盾や葛藤は
韓国映画などでよく表現されてきているが...
今回現代美術家たちの映像作品を見て
そのぎゅっとしたエッセンスを感じた。

映画は起承転結あり、
物語として収束・終息しなければならないけれど...
現代美術、映像インスタレーションはその括りがない分、
終わり方を気にせずに自由に主題を提示し問題提起している。

イム・ミヌク/LIM Minoukの「Portable Keeper」は
記憶、場所の記憶の喪失が
アピチャッポンの歴史の記憶の喪失と響きあう気もした。

チェ・ワンジュン/CHE Onejoonの「Mullae/文來」
東京で言ったら大田区のような...工場密集地域をとらえていて興味深い。
これもアートとしての記憶装置のひとつかも。

特に気に入ったのが
ジョン・ヨンドゥ/JUNG Yeondooの作品。
「Hanging Garden/空中庭園」
象徴的に
目の前の現実と映像が映し出す「リアル」の差、あるいは脳裏に浮かぶリアルとの差をも示して見せる。
お話しする機会があったが
お互いウィリアム・ケントリッジ が好きという共通点もあった!

彼の作品は
後日訪れた北欧映画祭で観た、北欧の現代美術家の作品のリアリティとも呼応していて感嘆した。
リアルについての真理はどこにいようと
同じように到達するのだと...

ク・ドンヒ/KOO Dongheem「The King Fish」もおもしろかった。
この一年釣りの映画を観る機会が多い気がするけれど...(『波瀾万丈』や韓国インディ映画『魚』など...)
庶民のリアルな心情、射幸心をゆらゆら立ち上らせるかのような、
そのアンダーグラウンドな空気、独特の怪しさ、
いわゆるビニールハウスを暗喩しているかのような風景がとても興味深かった。

ナム・ファーヨン/NAM Hwayeon「Do not harm your ghost」は舞踊が登場する。
2011年に観た舞台芸術、
舞踊と映像と朗読と...
舞台上のメディアミックスで何重にも表現されたジョン・グムヒョンの「油圧ヴァイブレーター」
も想起した。
現代美術の映像作品の中で
舞踊をつかって、舞踊でもさらに表現しようとしている...表現の入れ子。

ほかに
LIM Minouk「The Weight of Hands」
Yang Haegue「Unfolding Places」

韓国現代美術特集/Korean Contemporary Artは
テーマやその切り口と
リアルへのアプローチが下手な映画よりおもしろく興味深い。
(先日TVで台北24時というオムニバス映画の後編を視たのだけれど
とてもつまらなくて...前編はもっとおもしろいのかしら?
思わず現代美術特集の方がおもしろい!と比較してしまった)

韓国のアーティストふたりに話を聴く機会があったけれど
特にアピチャッポンのようにジャンルの横断は考えていないようだった。
William Kentridge はアートだけでなく
スカラ座等オペラの演出も最高だった(≧∀≦*)
これからも韓国のアートと映画の間は...
交わることはないかもしれないけれど...
刺激はし合って進むのかなぁ。

いずれにしても...
現代美術アーティストの、リアリティへの多様な視点が映像化されると
そのリアルは出来の悪い映画よりはるかにおもしろく楽しかった。

恵比寿映像祭はほかにもよい作品を見たので
また別途記します!

buzz KOREA

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