かなり泣いたけれど心の襞に触れる、心震わせる
繊細なディテールにいろいろ考えさせられたドラマ。

あらすじ

シンガ産業社長(チェ・ジョンウ)のひとり娘ジヒョン(ナム・ギュリ)は
不慮の事故で生死をさまようこん睡状態に。

ただし、彼女の寿命はまだ尽きていない、「スケジュール」にない突然の死だったため
この世とあの世を結ぶ仲介者=「スケジューラー」(チョン・イル)は
ジヒョンに49日の期限内に家族以外に彼女を心から愛する3人の涙を得れば
生きかえることができる、と告げる。

ジヒョンはイギョンに憑依することを許され
この世を彷徨いながら、真の涙、純粋な3粒の涙を探し求めるが
彼女を愛していたはずの人々の真実の姿を知り愕然とする...

韓国ドラマの大きな特徴のひとつ、
子ども時代の影響は今回も重要だけれど...

特に胸を衝かれたのは
ソン・イギョン(イ・ヨウォン)の生い立ち。

ウニー・ルコント監督、キム・セロン主演映画『冬の小鳥』 とおなじように...
弟が生まれて邪険にされ親から捨てられてしまったという設定。
(最後になってそれは子ども時代の記憶違いと判明するのだが...)

今回も
生い立ちや子どものころの家庭環境で
考え方発想が違ってくるのだなぁと
その宿命的な生について
つくづく主人公たちを視て考えた。

というのは
最後の時間をだれと過ごすか、
家族に愛されて育ったジヒョンは真っ先に両親が思い浮かぶ一方
イギョンは同じ施設(孤児院)で育ったイスしか思い浮かぶ人がいない。
死を目前にして親を思う子の心が露わになるジヒョンと、
たとえそうなってもいっしょに育ったイスしかいないイギョン。
ふたりの対照的な心の動きは
ふたりの対照的な子ども時代を照射する。
心の傷や
心の旅程によって
心が向かう対象も違ってきているのがわかる。

49d 1.jpg

男性主人公たちの親への思いも屈折していた。
ハン・ガン(チョ・ヒョンジェ)は
子ども時代に
死ぬ直前に自分をアメリカの父の元へ送った母親、ガン末期を悟られまいという母の行動が忘れられない。
だから、目の前で生死を彷徨っているジヒョンの手を離して
ひとりで逝かせたくない
二度と同じ後悔を繰り返したくないと強く思っている。
(だからハン・ガンはジヒョンが憑依したイギョンをいつも手伝っている...。
経営するレストランHeavenはいつもお客さんがほとんどいなくて
空いているように見えて心配だったけれど...
同時期に視ている「パスタ」のラ・スフェラは混みこみで
お客さん取られている?と思うほどw)

一方カン・ミノ(ペ・スビン)は父親に痛めつけられた母親を見て育ちながら
自分の野望のために自分を愛する女性たちを裏切ろうとする、
その苛酷さはミノの父親が母親にした以上だ、とガンに責められる。

徐々に明らかになる、
登場人物それぞれの育った環境や過去、
そしてその家庭環境が影を落としているかのような因果や宿命。
子どものころの親との関係性によって心の傷を抱えていた事実。
そんな背景が
大人になった彼らの価値観や判断、心理に影を落とし、
人間関係や人生観にも深く絡み合っていることがわかってくる。
人間理解が奥深く、重奏的。

49d 2.jpg

同じ脚本家ソ・ヒョンギョンの「華麗なる遺産」では
聖書に登場する寡婦の施しの話、
チャン・スクチャ社長(パン・ヒョジョン)が
コ・ウンソン(ハン・ヒョジュ)について語った言葉が印象的だった。

第21話で
なぜスクチャおばあさんはコ・ウンソンを選んだのか、
その理由について語る場面。

「コ・ウンソンには惻隠(そくいん)の情がある。
五臓六腑を持つ人間なら誰しも同情心はあるが惻隠の情は別物だ。
哀れな人間を見て
同情心がかわいそうだと憐れむ心なら、
惻隠の情は見捨てられない心なのだ。
見て見ぬ振りを出来ないことをいう。
どんな人間でも気の毒がることはできる。
だからといって手を差し伸べるまではしない。
だが惻隠の情を持つ人間はどうしても手を差し伸べてしまう。
まるで聖書にでてくる、なけなしの金を差し出した寡婦と同じだ。
食べ物の余りを与えるのではなく
空腹でも分け与えた。
自分でもお金に困っていたのに...」

惻隠の情は
あらゆる人に善の兆しが先天的に備わっているとする
孟子の「性善説」で四端の心のひとつ。
他者の苦境を見過ごせない「忍びざる心」(憐れみの心)。

ただ、ドラマでも言われていた通り
聖書にも同様のエピソードがある。

今年の震災の時に
買い占めに遭って水も米もラーメンも買えなくなった一方、
韓国の友人がいち早く段ボールいっぱいに食料を送ってくれて
惻隠の情を感じていた。

「華麗なる遺産」を思いだしながら
「私の期限は49日」のハン・ガンやソン・イギョンの心の動きや行動も
惻隠の情に通じるなぁと思って視ていた。
涙の色も
本当に純粋な無色透明な涙はなかなかなくて
腹黒い涙は黒かったり赤かったり紫だったり...
惻隠の情の対極にあるよう。

そんなふうに
「華麗なる遺産」と同じ脚本家ゆえか
共通点や
響き合うところがあって興味深かった。

出演者も重なるところがあった。

「華麗なる遺産」のスクチャおばあさんは
スケジューラー・イスの上司、元締め(!?)で登場。
さいしょはあまりに濃いメイクとロック・スタイルでバイクにまたがる姿が
イメージとまったく違っていて誰かわからなかったけれど...(≧ω≦*)

ペ・スビンは
パク・ジュンセからカン・ミノへ。
ジュンセの父親役チェ・ジョンウは
ジヒョンの父役(いい父親)に。
ファン(イ・スンギ)の母親役ユ・ジインはジヒョンの母役に。

こんなふうにキャストも少し(4人くらい)かぶっているので...
オープニングの音楽も雰囲気が「華麗なる遺産」と似た響きなので
思い出して比較してしまう。

死んだ恋人を忘れられずに悼み続けるイ・ヨウォンの役どころは
映画『テンジャン(味噌)』(イ・ヨウォン、イ・ドンウク主演、イ・ソグン監督)のヒロイン役も思い出させ
オーヴァーラップするなぁ。

最後に最終回には
過去を
死んだ人をいつまでも思っていないで
未来へ向かって...と伝えたかったイスとジヒョンの気持ちが痛いほど伝わり...(号泣)
死者を悼み苦しみ続ける生者を救うファンタジーだったなぁとしみじみ。
喪失から再生へ向かう
魂の彷徨と旅程。
それは澄んだ涙で多くの人を巻き込んで...まわりの人をも浄化した。

喪失と再生から
パク・チャヌク、パク・チャンギョンの『波瀾万丈』 を思い出したりもした。

そして罪を犯したミノたちをも救った。このあたり、贖罪と救済も「華麗なる遺産」と共通する。

「私の期限は49日」でFlower Dollっぽかったナム・ギュリは
SeeYa出身の元祖K-Popアイドル。
最近出演したLED AppleのBoy Meet Girl では
Ice Dollの雰囲気でロボットを演じているのが話題。

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