ファン・ソンミのベストセラー絵本『庭を出ためんどり』が
オ・ソンユン監督により映画化、
韓国の劇場用アニメ映画としては
この夏動員220万人を超える空前のヒットとなっていた。
その『庭を出ためんどり／Leafie, a Hen into the Wild』が
釜山国際映画祭に登場！
あらすじ（物語の核心を含んでいます。未見の方はご注意ください）
めんどりのイプサック／Leafie（声：ムン・ソリ）は
卵を産まされるだけの生活から逃れたい！
とある日、野スズメのアドバイスを受けて
死んだフリをして庭を出ることに成功！
晴れて自由の身となったイプサックだが
片目の野イタチに襲われそうになったところを
ナグネ（＝旅人、とイプサックが勝手に命名）のイケメン☆マガモ（真鴨）に助けられる。
しかしナグネ（声：チェ・ミンシク）とその妻は
ひとつの卵を残してこの世を去ってしまう。
イプサックは
のこった卵をひとりであたため...
生まれた雛チョロギ（声：ユ・スンホ）ははじめて見たイプサックを
「ままー！」と呼び
種の違う母子の生活がはじまった。
飛べない、水面を渡れないイプサックと
水かきを持ち飛ぶことが出来るマガモの子チョロギ。
種を超えた母子愛。
庭を出ためんどりイプサックの
自由を求め、自分の生を求め
それを実現する強い意志。
女性の視点で言えば
イプセンの「人形の家」もちょっと想起するけれど...
女性に限らず
もっと広く、普遍的な自由と独立と愛を獲得する過程が描かれている。
夢と希望をあきらめず
群れのリーダーとなって大空に羽ばたくチョロギも
自己を実現。
種を超えた親子愛の熱い絆は
人間同士も
国籍や人種の壁を超えて
愛することが出来る世界を示唆しているよう。
そして
アニメの中で
高円宮久子さまが韓国を訪問された際に撮影した
韓国らしい鳥たちが登場している のも発見！(≧∇≦*)（溝五位っぽい）
鳥好き、小鳥好きなので
ついディテールにも魅かれてしまう...
半島の鳥たちの生態や生態系、
そして物語のラストでは
生態系ピラミッドや食物連鎖に気付かされ...(;_;)
生物界、自然のしくみも感じ取ることができる作品になってると感じた。
回想シーンでは
背景の画のタッチが変わるなど
繊細な描写の絵も印象的。
約5千人収容の
釜山国際映画祭専用「映画の殿堂」野外劇場では
主人公たちと共に泣いたり笑ったり。
拍手が客席を波打ったり。
舞台あいさつには
7年近い歳月をかけて映画を完成させたオ・ソンユン監督と
ダルス（カワウソ）役のパク・チョルミン と
登場人物たちの着ぐるみが登場。
さらに盛り上がり！
古くは
イ・ソンガン監督『マリといた夏』（2001年） で
イ・ビョンホン、コン・ヒョンジン、アン・ソンギが声優を務めていたが...
今回声優としてのムン・ソリの演技も素晴らしかった。
映画の時とは雰囲気の異なる、
ヒロインに合ったふんわり柔らかで楽観的な声の演技に魅了される。
映画では未だ共演していない、
ムン・ソリとチェ・ミンシクの共演もステキだった。
テーマ曲はIU 。
ミョン・フィルム製作、セールスはFINECUT。
本作は9月に中国で公開されていたが
今回釜山国際映画祭の時期に開かれたフィルム・マーケットで
ポルトガル、ロシア、インドネシアにも販売されたそう。
FINECUT／ファインカットは
チョン・ジェホン監督『豊山犬』や
パク・チャヌク、パク・チャンギョン監督の
2011年ベルリン国際映画祭短編金熊賞『波乱万丈』 も
日本に販売したとか。
アニメをはじめ
コンテンツは現在どこの国もそうだけれど...
将来の多チャネルなマーケティングを考慮して
キャラクターの確立度が高くなってきている傾向も感じる。
キャラクタービジネスという手法、コンテンツビジネスも
世界を席巻しているから...
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