十八代目中村勘三郎。 | bistro-confl.

十八代目中村勘三郎。

こんにちは。

昨日、早すぎる訃報に、戸惑い、時間が経つとともに、
ただただ残念で、ただただ悲しいという思いで一日を過ごしました。

十八代目中村勘三郎。
もちろん面識はありませんし、氏についてたくさん語れるほど、長く知っているわけではありません。
6,7年前でしょうか。
渋谷のシアターコクーンで初めて勘三郎さんの歌舞伎を拝見しました。
それまで、歌舞伎と言えば、取りあえず長唄で爆睡、踊りでうとうと。
半分夢の中で半日が終わるという印象でした。
その印象が一変する強烈なステージでした。

その出会いから、コクーン歌舞伎、平成中村座。チケットが取れれば観に行きました。

強烈な存在感。ダメでどうしようもない男を演じるのが本当に上手い。

私の歌舞伎に対する印象を変えてくれた人です。
さらには、その姿勢。
氏ほど、古典を愛し、先達を尊敬し大切にした人はいないのではないでしょうか。
また、歌舞伎を愛し、愛すがゆえに壊して、新しい風を吹き込もうとする溢れるアイディアとセンス、行動力に圧倒されます。
その根源に全て歌舞伎への愛が感じられるのです。

これって、他の仕事、芸術なんでもいいですが、
他のことに置き換えることも出来ると思うのです。

出来上がった文化、システム、形、その中にいると安全で安心で、
中にいる人たちは快適ですよね。
でもそれって、衰退していくしか道はきっとなくて、
その根っこにあるものは大切にして、新しいことをどんどん取り入れていくことによって、
周りに注目されたり、驚かれたりして、進化していくことが大切です。
それを正に体現していた人だと私は思っています。

勘三郎さんは何かのインタビューか、雑誌かでこう言っていたそうです。

『型を極めた人が、破天荒なことをやるから【型破り】であって、
型も無い奴がそれをやったらただの【型無し】だ』と。

至言です。

早く亡くなって良い人なんて一人もいないのですが、
勘三郎さんはダメでしょ!ってわけのわからない我がままを言いたい気分です。
誰に言えば良いのかもわからないのですが。

これから歌舞伎座も新しくなって、新春の舞台に立って欲しかった。
中村座での彌十郎さんや亀蔵さんと躍動する姿を観たかったです。

本当に本当に残念です。

勘三郎さんの歌舞伎を観て、感じたことを少しでも体現できるように、
私も命を燃焼して熱く生きたいと思います。

十八代目中村勘三郎さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。