4月16日(土)のオーケストラ・エレティールとの演奏会のご案内です。
今日は選曲について書こうと思います。
本文は演奏会情報のあと続けます。
(選曲について書くなんて野暮かなぁと思いましたが、せっかく考えたプログラムなので皆さんに知ってほしくて勢いで書いてしまいましたがかなり長文になってしまいました😝最後までお読みいただけると嬉しいです😊)
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オーケストラ・エレティール第65回定期演奏会
日時:2022年4月16日(土)13時15分開場 14時開演
会場:IMAホール(光が丘)
指揮:佐伯正則
ウェーバー 歌劇『オイリアンテ』序曲 作品81(J.291)
C.Weber “Euryanthe” Ouvertüre op.81 J.291
メンデルスゾーン 歌劇『異国よりの帰郷』序曲 作品89
F.Mendelssohn Bartholdy “Die Heimkehr aus der Fremde” Ouvertüre op.89
ゲーゼ スコットランド序曲『高地にて』作品7
N.W.Gade Schottische Ouvertüre “ Im Hochland ” op.7
シューマン 交響曲第2番 ハ長調 作品61
R.Schumann Symphonie Nr.2 C-Dur op.61
入場無料ですが事前登録制となっています。
事前のご登録がないと入場できません。
ご登録は下記のサイトから4月14日(木)までにお願いします。
ご登録はこちら↓
https://www.eltl.org/65th/
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今回の選曲は、オーケストラからシューマン交響曲第2番をご提案いただきこの曲をメインに据えるというところからはじまりました。
以前からライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の公式サイト内にあるゲヴァントハウス管のコンサートプログラムアーカイブ(アルヒーフ)をちょくちょく見ていたこともあり、せっかくだからシューマン交響曲第2番が作曲・初演された頃のライプツィヒの状況を参考に時代的にまとまりのあるプログラムをつくってみようと考えました。
① ウェーバー 歌劇『オイリアンテ』序曲 作品81(J.291)
まず最初に決めたのがオープニングを飾るこちらの曲。
選んだ理由は、シューマン交響曲第2番がライプツィヒでメンデルスゾーン指揮により初演された時、この曲がやはり演奏会の最初を飾ったこと。
また演奏会のオープニングに相応しい華やかな曲であり、そして楽器編成的にもちょうど良かったということもあります。
選曲した時点では、シューマンとウェーバーの繋がりはないと思っていましたが、選んだ後に山崎太郎先生が翻訳した《アドラー著「シューマンとその時代」西村書店》をしっかり読み込んだところ、シューマン本人との繋がりはないものの父親が音楽の才能を表しはじめ芸術家になりたいというロベルトの考えを応援してウェーバーに手紙で連絡を取り、弟子として受けいれてもらう承諾を得ていたという繋がりがあったことを知りました。これは残念ながらシューマン16歳の1826年にウェーバーがロンドンで客死してしまったので弟子入りは実現しませんでした(ちなみに芸術家になることを応援してくれた父親アウグストも1826年に結核で亡くなってしまいます)が、そういう繋がりもあって交響曲第2番の初演時に同じプログラムで演奏されたというのはより感慨深いものがあります(ただ、当時のゲヴァントハウスの記録を見ると「オイリアンテ」序曲やアリアはかなりの回数演奏されているので、オーケストラにとって慣れていた、メンデルスゾーンが好んでいた、聴衆の受けが良かった、などの理由でたまたま一緒に演奏されたというだけかもしれません😅笑)
② メンデルスゾーン 歌劇『異国よりの帰郷』序曲 作品89
交友関係があり初演時に指揮をしたメンデルスゾーン(ただ初演時の感情のもつれでその後2人の関係は悪化してしまいますが・・・)の曲も入れたいと考えました。
もっと時代的にうまく当てはまるメンデルスゾーンのライプツィヒ時代の曲の方がよかったかもしれませんが、今回の参加メンバーの乗り番を考慮するとウェーバー・メンデルスゾーンともう1曲必要になることもあり、同じような編成の曲が並ぶよりは、この曲がtimp無しの2管編成で、楽曲構成がとてもオシャレで終わり方がチャーミングなこと(これも選んだ後に知りましたが、この終わり方を若き日のR・シュトラウスが評価したそうです)もあり選びました。
最近アマチュアオーケストラでも少しづつ取り上げられはじめていますがなかなか聴けないメンデルスゾーンの秘曲を、交響曲でいうメヌエットやスケルツォ楽章的な曲としてお客様にもリラックスして聴いていただければと思っています(演奏は大変難しいのでメンバーは気を抜けませんが😅笑)
③ ゲーゼ スコットランド序曲『高地にて』作品7
メンデルスゾーンのところでも書きましたが、今回の参加メンバー的に上記2曲だけでは乗り番が足りない、そしてそれに合致する曲はとなった時にこちらの曲が思い浮かびました。
編成的にうまくハマったというだけでなく、今回のコンセプトにも合致する曲で、この曲もゲヴァントハウス管弦楽団で初演されています。シューマン交響曲第2番より2年早い1844年11月25日に作曲者本人の指揮で初演されています。
それとシューマンとゲーゼを組み合わせたかったもう一つの理由は2人の関係。いままで何度かヨーロッパに行った時にライプツィヒのメンデルスゾーンハウス、ライプツィヒのシューマンハウス、そして生地ツヴィッカウのシューマンハウスなどいくつかの博物館を見て感じていた、ゲーゼといえばと名前の出てくるメンデルスゾーンよりも、シューマンとの接点の方がたくさんありそうだなぁという個人的な思いでした。
もちろん才能を見出してくれて世に紹介してくれたメンデルスゾーンは大恩人だと思うのですが、シューマンハウスにあるゲーゼ関連の資料の多さ、そしてここ最近読み漁っているシューマン関連資料・ゲーゼ関連資料そのどちらにもシューマンがゲーゼの才能を認めてそして叱咤激励していたことが書かれているのを見ると、この2人の曲を一緒に演奏する意義があるように思います。
ちなみにシューマンはデュッセルドルフの音楽監督就任演奏会のプログラムおいて“自らの芸術信条を表明するプログラム”(前述のアドラーの本より)を組んでいますが、そのなかにゲーゼの曲も選んでいます(もちろんメンデルスゾーンの曲も)
その一方で親称で呼び合っていたのに1844年にシューマンがゲーゼのことを“Sie”と改まって手紙に書きはじめたという記録がシューマンの家計簿(の編者注釈)にあったりもします。(時期的にゲヴァントハウスのメンデルスゾーンの代理指揮者が自分ではなくゲーゼが選ばれたことに関係すると思われます。シューマンの人間臭さが感じられるエピソードですね😅)
そのような背景とは別に、曲そのものも『オシアンの余韻』・交響曲第1番とライプツィヒで順調に評価されていたゲーゼが、交響曲第2番があまり芳しくなく評価されず低迷しそうになったところをこの『高地にて』で再び再起しようと意気込んで作曲したこと、また本人のその強い再起への想いが曲の中に込められていることがゲーゼ解説本に詳しく説明されていて、デビュー当初の『オシアンの余韻』・交響曲第1番がとかく注目されがちなゲーゼの音楽人生にとって想像以上に大事なポイントとなる曲であることもわかり、今回その想いも伝える演奏をしたいと思っております。
以上が前半のプログラムの選曲意図や演奏への思いです。
個人的な話になりますが、シューマン交響曲第2番はシューマンの交響曲の中で唯一手がけたことのない曲で、ズッと避けてきた曲でもありました。一度だけあるアマチュアオーケストラの練習で一部の楽章を振らせていただいたことがありますが、いま思うと恥ずかしいくらい何も曲のことをわかっていない状態だったと思います。今回オーケストラからご提案いただいて、このように深く勉強する機会をもらえて本当に良かったです。
そしてシューマンにからめて前半のプログラムをこのように組むことを承認してくださったのも本当にありがたく思っております。
乗り番上の問題だけでなく、演奏時間的にも前半2曲だけでは少し足りない感じもあり、今回序曲3曲に交響曲というプログラムになりました。
実は今秋の演奏会もエレティールさんとご一緒させていただけることになっていて、序曲3曲に交響曲というのは少し曲数が多いかなと感じるけれどもチャレンジしてみようということになったのは、秋にもつなげるという意図も密かにあります。
秋のプログラムはまたおいおい発表されると思いますが、まずは16日に足をお運びいただけると嬉しいです。
長文を最後までお読みくださりありがとうございました♪
16日、光ヶ丘IMAホールにてお待ちしております!