きのうまでは、交通事故で人を死傷させた場合、刑の上限・最高刑が懲役20年の危険運転致死傷罪か、最高刑が懲役7年の自動車運転過失致死傷罪のどちらかが適用されていました。
危険運転致死傷罪は、「酒や薬物の影響で、正常な運転が困難な状態で事故を起こした場合」などに適用されますが、正常な運転が困難だったことの立証が難しいことなどから、悪質な運転による重大な事故でも適用されないケースがほとんどでした。
きょう施行された「自動車運転死傷行為処罰法」は、この2つの罪の規定を刑法から抜き出して独立させ、特別法として作られました。
従来の自動車運転過失致死傷罪は、適用要件などはそのままで、罪名を過失運転致死傷罪に変えました。
そして、これまでなかった新たな罰則の規定が、主に3つ、作られました。


1つは、これまであった危険運転致死傷罪と自動車運転過失致死傷罪の量刑の差が大きかったため、この間に、最高刑が懲役15年の、新しい危険運転致死傷罪を設けたことです。
「酒や薬物、特定の症状を伴う病気の影響で、正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で事故を起こした場合」に適用されます。
従来の危険運転致死傷罪の適用要件を緩めて、いわば適用のハードルを下げて、危険運転致死傷罪として処罰する対象を広げました。
「特定の病気」については、意識障害などをもたらす発作が再発するおそれがあるてんかんなどが、政令で定められています。
これまでと変わった2つめは、「発覚免脱罪」という新しい罪の規定を設けたことです。
事故の後、逃げて飲酒していたことなどをわからなくすると刑罰が軽くなるという「逃げ得」と呼ばれる問題を防ぐための規定で、酒や薬物の影響で事故を起こした後、そのことが発覚するのを免れるために逃走した場合などに適用されます。
最高刑は懲役12年で、ひき逃げの罪と併合すると懲役18年になります。
そして、3つめは、無免許で運転して、これらの罪にあたる事故を起こした場合は、それぞれ刑罰を重くする規定を、新たに設けたことです。
このように、交通事故で人を死傷させた場合に適用される法律が、きょうから大きく変わり、悪質な運転による事故が厳罰化されました。
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