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私の世界のすべてが消えた
あふれるはずの気持ちに形はなくて
何が悲しいのかすらわからない
本当はどこかで期待していた
あなたを失うなんて嘘だって
だって白に包まれたあなたは笑っていたもの
そして私を見てもくれなかった
私を愛してくれたあなた
だけどその唇から紡がれた名前に
心が凍りついた
その声だけが耳から離れなくて
守らなきゃいけなかったものも
大切になるはずだったものも
全部奪われて
それでもあなたの隣で笑うことなんて出来なかった
偽りの生ぬるい籠で囲われて
重ねられた想いと願い
すべてが崩れていった
もうすがる場所すら私にはない
ゆがんだ私の唯一の綺麗な居場所
それだけが私のすべて
だけどそんなもの
もうどこにもない
心に穴が開いたように
ただ寂しいのに
何も感じないようにおびえるの
愛していたの
だから失いたくなかった
願ったの
他には何もいらないから
なのにキミを求めてしまう
傍に居れないからじゃない
願う未来は違うから
キミが笑って願うなら
私はいつでも消えれるの
それはたぶん
小さすぎて
すぐに壊れるほどもろいものだと
わかっていたはずなのに・・・
私のために
自分を犠牲にして欲しくないと願う
なのに
私を選んでくれていると思えることに
酷く安慮する
ただ心が離れてしまっただけ
そして誰かを傷つけないために
大切なものを綺麗な形で遺すために
私たちは別々に生きて
死ぬことを選んだ
なのに
あなたの声を聞くたびに
冬の空にあなたの音が聞こえるたびに
冷たすぎる風にあなたのぬくもりを思い出し
ただ傍にいたいと願ってしまう
叶うはずのない願いだとわかっていながら
泣き叫びたいほどではない
歪めるほどの想いでも
見失うほどの痛みでもない
それでも
それでも・・・
氷の落ちる音が聞こえた
生ぬるいシーツに顔を擦りつけて
涙を拭ってはごまかすの
それしか道を知らないから
愚かだと笑うなら殺してください
終わりの来る夜だと
分かっていて辿り着くの
懼れるのは叱責なんかじゃない
孤独を生める別れと優しい言葉
狂うほど愛した人を
殺したのが自分だと知った瞬間から
私が私を責め立てるのを止められない
許せなかったのは私自身
髪を梳く濡れた手が
優しすぎて縋り付いてしまうの
汚れきった私を
綺麗だと愛していると
強く握り締めた腕に噛み付きながら囁くから
ごめんなさいと
稚拙な言葉で繰り返す
息ができないほど苦しくて
このまま死ねたら楽になると
そればかりが頭を廻る
何度貪っても
白の世界には逝き付けない
濡れた手が優しさなら
それはいつか
私を切り刻む兇器になる
その腕に抱きしめられて
厭きれるほどの悲鳴と嬌声が溢れ出る
グラスに残った氷の崩れる綺麗な音が
ただ痛すぎるほどに耳に響く
ずっと一緒にいたいと願うけれど
はやすぎるほどに終わりをむかえようとするあなたの時間
だからさよならを告げないといけないね
無理矢理自分を納得させて
笑顔を貼り付けてあなたに向かって嘘をつく
本当は怖い
だけどあなたのほうがずっと怖いはずだから
あなたの笑顔のために
だけどそれは私のただの自己満足
あなたに怨まれて憎まれて捨てて忘れ去られることが
何より怖い
泣いて縋り付いてしまえたなら
私がもっともっと馬鹿で愚かな女だったなら
引きとめようともがけたなら
あの日耐え切れずに飛び出した鳥籠
その下で死んでいる私に
あなたが気付く日は来ない・・・
貴方が笑っていられるのなら
私は最後の嘘をつこう
たとえあの日に帰れなくとも
できることならずっと傍にいたいけれど
貴方の両腕には
今は2人が寄り添っているのだから
私にはもう誰もいないのに
私は貴方に今は何も感じない
時が私を癒したのか壊したのかはわからないが
世界が姿を変えようとしているのは理解できる
貴方が正しいとは今も思わない
でもあの日の私の考えがすべてだとも思わない
愛でもなく
恋でもなく
それはただ絡まる糸のような絆
私と貴方がいた過去の時
あの日水面の上で見た優しい横顔
大きすぎるコートと不器用な単語
それだけで
私が貴方を好きになる理由は十分だろう
あの日の思い出
もう戻らない幸せすぎた時間
それが世界に変わるたびに
私はこれからも何かを失っていく
貴方のいなくなるこの世界で
思い出だけが世界を創る
だから私は嘘をつこう
それはあの日見上げた灰色の中の暁
藍色のにじんだセピア
泣いていた私との最後のさよなら
私はどこへ行きたいんだろう・・・
切れそうなモノを無理やりつないで
裏切った私に
追いかける権利などないのだと
心の底で思っていた
だから私に出来ることは
ただ諦め
違う何かを見つめること・・・
たとえどんなに嘘を重ねても
ただ楽になりたくて
けれど
いくら必死につないでも
切れかけたものが壊れるまでの
ただの時間稼ぎでしかない
どうしてまっすぐしあわせになれないんだろう
しあわせがほしいのにどうしてほかのすべてをすてられないんだろう
ただふたりでいたいだけなのに
さけべばてにはいるかもしれない
でもぜんぶこわしてしまうかもしれない
ずっとずっと
すきですきですきで
ただてをつないでいたかった
それだけ
言ってしまえばすべてが手に入るかもしれない
でも
言ってしまったらすべてを壊してしまうかもしれない
追いかければ
離れてしまった心はつながるんだろうか
すがり付けば
あなたを愛しぬけるんだろうか
あなたはどこにいる・・・?