各位


デロンギのエスプレッソマシンはご存知であろうか。いつもスーパーで廉価で販売されているUCCの豆を入れても、気を利かせて持ち寄ったサーカスコーヒーの豆を入れても、抽出される液体は全て「デロンギの味」になる名器である。

喉の奥まで苦味が走るそのコーヒーは明治エッセルスーパーカップと特別相性が良く、アフォガードとなり溶け合う二人は何に例えられようか。


春気に誘われるかのように梅小路公園まで自転車を飛ばし、近くのベーカリーで買ったパンを食べ、タバコを吸うわけでもなく、誰かと話をするわけでもなく、梅咲いてねえじゃんこれじゃただの小路公園だと悪態をつき七条から六条、五条と上がっていく。

何の気なしに家を飛び出し三日三晩彷徨い続けた顔をした迷子の26歳は三条で足を止めて、二条通の暗がりに身を投じた。


どれだけ月日が経とうとも、どんな映画を観ても、誰に抱かれても、ここで飲むデロンギのコーヒーは同じ味なのだ。病めるときも健やかなるときも。


明日の朝、目を覚ませばきっとデロンギのコーヒーは枕元にあって、うす苦いそれを飲み干すと何事もなくまた一週間が始まるのである。このままではいられないと迷子の俺は思うのだ。本当はその味苦手なんだとは言えないのだ。