関西で活動する音楽グループConceptusです。


突然の宣言ですが、

「ラ・ボエーム」は発起人が大嫌いなオペラです。

今度やる癖に何をほざいとんねん!?と思われるでしょうが、

「椿姫」と並ぶ、嫌いなオペラです。


ええ、「椿姫」は去年の5月にアヴェンヌで上演しましたとも!


ですから私の気に入るようなやり方で、

色々と原作の設定に近づけてやってみたのですが、

終わって3日後、朝起きたら、

「全然ダメじゃん」と気が付いて落ち込んだ次第です。

私のお気に入りは、デュマ・フィス原作の「椿姫」という小説。

演者が上手ければ上手いほど、ダメさに気付く内容だったのです。


譬えて言うなら、私は水炊きが食いたいと思って、

料理人たちに鶏を渡したつもりなのですが、

実際に渡していたのは、鶏ではなく、その卵。

オムレツだの天津飯だの、彼らは腕をふるってくれますが、

私が食べたいのは鶏の水炊き。

しかし、製品化された卵からヒヨコになるわけもなく、

どう頑張っても、水炊きは出て来ないのですよ。

そんな「椿姫」となってしまいました。


では、嫌いなオペラ二大巨頭の一つ、

このボエームはどうかというと、

登場人物が繰り広げる世界は、

私が欲しかったけど得られなかった青春時代の一場面です。

音楽大学にでも入っていれば、

何か似たような経験が出来たのでしょうけれども、

もう入手不可能な幻となってしまいました。


だからこんな羨ましいワンシーンであるにも関わらず、

見ていると泣かされてしまうのです。

こんなに腹の立つことはない。

だから大嫌いなのです。




さて、今回のボエームは、

ある人・・・それは私でもいいし、皆さん一人一人でもいいのですが、

ある人が見た、「哀しい恋の夢」という設定で上演します。

だから、夢の中でありがちな、変なことを色々起こしますし、

小道具も何か決定的なものを欠落させて、

現実感を欠如させてしまいます。

例えば、ワイン瓶で酒を注ぐが、実際のグラスは持っていない、など。


1幕は彼女のいない男に彼女が出来る夢。

2幕は別れたがまだ愛している女と再会した夢。

3幕はどこか現実感のない別れ話の夢。

4幕は1幕で出来た彼女が死んでしまう夢。


何度か公言していますが、

このボエームで、私の「白バラオペラ」は終わりです。

「夢」という言葉で括って、封印してしまいます・・・白バラを。


2014年の「コジ・ファン・トゥッテ」に始まり、

「セヴィリア」、「フィガロ」ときて、この「ラ・ボエーム」で

白バラを象徴にした演出作品が終了します。


まあ、再演するならまた使うでしょうが、

新作で白バラを象徴に使うことはしないでおこうと思います。

・・・それでも、オマージュとしては出てくるかも。


ともあれ、12月3日、4日には

「哀しい恋の夢」を見て起きた後のような気分で、

サロン・ドゥ・アヴェンヌを後にしていただきたい、

そう願いつつ、作り上げていきます。


・・・そうやって楽譜を読んだり、

YouTubeで聴いたりしていると、

歌手仲間たちがボエーム好きなのがよくわかります。

ある種のツボが満載な作品なのです。

日頃モーツァルトで追い回されている音大の歌手たちが、

自主公演ではボエームを取り上げたくなるのもわかります。


ひょっとしたら私にとっても、

大好きなオペラになりつつあるのかもしれません。

私の知る限りのプッチーニオペラの中では、

トスカより、バタフライより、トゥーランドットより、

傑作であることは間違いないと思います。