2025イタリア・ボローニャ国際絵本原画展

板橋区立美術館

2025年8月9日(土)



板橋区立美術館の夏の恒例の展覧会です。私は西高島平駅から歩いて行くので、この展覧会は蝉が鳴いているイメージがあります。赤塚溜池公園を抜けるときの蝉時雨は本当に日本の夏らしい。





さて、展覧会の方ですが作品撮影がOKになっていました。時代の流れですね。




何十年も見ているとだんだん驚くような作家に出会うことは少なくなってきます。そのなかで、私が注目するのは馴染みのない国の作家の作品です。



26  イシタ・ジェイン   真夜中のバイク


インドの夜をバイクで駆けるとこんな感じなのでしょうか。サリーを着た女性が娘を後ろに乗せて走っています。マフラーが長いので大きめのバイクに見えます。日本の子供を乗せたママチャリのインド版ですかね。



24   パルヴィーン・ヘイダリーザーデ  ぼくはヒーロー


イランって凄い国だと思います。アメリカから経済制裁を受け経済的に苦しい。世界的にも孤立している。国内も安定しているわけではないのにサッカーやバスケなどスポーツが強い。イスラム教の国なのに絵本を描く人もいる。レスリングの強国で金メダリストもいます。勝てばヒーローです。



36  マリヤム・マファムーデイー=モガッダム

ぼくらの農園は、すべてがかんぺき


これもイランです。イスラム教を信仰する国での表現活動とはどういうものなのだろう。イスラム教の価値観の中で、世界に自らのクリエイティブを問う。絵本の世界であれば、さほど矛盾は無いのでしょうか。



45  マヌエラ・モントヤ=エスコバル

コロンビアの神話と伝説


どの国でも、その国ならではの歴史、文化、風俗があります。コロンビアの神話は全く知りません。しかし、サボテン、帽子、髭、野生動物と、それらしさを感じます。



32   リム・ジャホイ  はずかしがりやのトマトさん


マレーシアです。どこの国にも恥ずかしがり屋さんはいます。子供ならなおさらです。知らない国の人と共感しあえる部分はあるものです。



44   アンヘリーナ・モンテーロ  街の断片


これはウルグアイ。サッカーで日本代表とよく試合をするイメージです。南米の国ですが、寒そうにマフラーを首に巻いてすれ違う都会の人々の絵。

 国の特徴は気候や自然に紐づいていることが多いので現代の街の日常は地球の裏側もあまり変わりない。そういうこともよくあります。



12   オリガ・デミードヴァ  天使のおしごと



ロシアです。今ロシアというとプーチン、ウクライナ侵攻と連想するのは仕方ありません。しかし国民がすべて好戦的なはずもありません。ささやかな日常を見守る天使の絵を描く人もいるということを忘れてはならないと思います。



特別展示 エンリケ・コゼール・モレイラ

空と大地のダンス


最後に取り上げるのは、エンリケ・コゼール・モレイラ。2024年にボローニャSM出版賞を受賞しました。これは35歳以下の新しい才能を発掘するための賞で絵本を出版する機会を与えられます。

 この新しい絵本のために、モレイラはサイレントブックをつくりました。いわゆる文字のない絵本です。大人が読み聞かせはできませんが、子供が自ら読み解いて行きやすいつくりになっています。絵を見ると文字の読めない子供には高度な内容にも思えますが、読んで(観て)みた感じでは楽しい絵作りなので何かつかんでくれるでしょう。


この展覧会は長く続いているのでワークショップなどのイベントも充実していて、板橋区民がうらやましいです。


 

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