SIDE CORE 展|コンクリート・プラネット
ワタリウム美術館
2024年11月24日(日)
都会の夜はキレイです。暗闇に光るライトが並んで流れていく様、派手に目立つ大きなサイン、回転するランプ、点滅しながら動いていく小さな電球の輝き。
これを使ってアートを制作しようと考える人が現れても不思議ではありません。
SIDE COREはアートチームです。メンバーは高須咲恵、松下徹、西広太志。映像ディレクターが播本和宜。屋内にこもることなく、都市公共空間、ストリートにこだわって活動を続けています。
モノトーン・サンセット
ナトリウムランプは単色光で、低消費電力。道路やトンネル、工事現場に昔はよく使われていましたが、最近は珍しくなってきています。見たことのない方は、色が一色のモノトーン世界に新鮮な驚きがあるでしょう。夕暮れの世界と言われれば、そうかもなと思います。
夜の息
自動車のヘッドライト、テールライトで制作した作品です。中古ショップに片方だけ売っていたものです。夜の街の明かりひとつひとつがそれぞれの人の生活と営みの証であるように、自動車のライトも誰かの人生と共に歩んできた光です。中島みゆきの歌、「ヘッドライト、テールライト」を思い浮かべたのは私だけでしょうか。表現しているものは同じだと思います。
コンピューターとブルトーザーのための時間
建築工事の現場で使われるパイプをつなげて制作した彫刻、と見えますがそうではありません。パイプの空洞は上から下までつながっていて、中に玉を転がすことができます。大型のスペースレールのようなものです。
中身は見えませんが、玉を転がすとけたたましい音が響き渡ります。よく耳をすますと、音が移動しているのがわかります。子供が喜びそうなサウンドアート作品です。
東京の通り
工事現場にあるピクトグラムを集めて制作しています。東京に住んでいるとあちこちで再開発が進んでいるので見慣れたものですが、実は標準化されていません。ですので、微妙に形状が違う。ピクトグラムばかりでなく、文字の書体も統一されていません。固定されているようで、固定されていないイメージのカオスを作品に仕立てています。カオスも含めて共通のイメージとなって
無題
ワタリウムの周辺にある建築物を撮影して流しています。このあたりはハイカラな建物が多いのでスチル写真でもアートな感じがよく出ます。使用している3台のテレビはあのナム・ジュン・パイクの作品に使われていたものです。ワタリウムならではの仕込みです。
unnamed road photographs
携帯電話に撮り溜めた膨大な写真からセレクトしたものをプリントした作品。壁に貼られた写真は交互に点灯し、画像が現れます。携帯のカメラ機能が一般的になってから、写真や映像は手のひらの四角いフレームの中で見るものとなりました。そのようにな新しい視覚体験をアイデアにした作品です。
untitled
羽田空港の近くにあるトンネルの歩道はほとんど人が通りません。そのため、永らく清掃も行われていない。歩道の壁には何年もかけて汚れがついています。その壁に肩をつけて擦りながら歩道を歩いていくという作品です。
トンネルの壁をカンヴァスにした絵画であり、道路に刻んだ都市のランドアートであり、パフォーマンスともいえます。
empty spring
コロナ禍で人のいなくなった街で撮影したポルターガイスト現象の映像です。人が誰もいないにも関わらず、横断歩道を渡るコーン。よく見るとコーンにつけられた糸が反射してチラッと見えるのはご愛嬌。無人の街を映像作品に仕立てるというのもありですが、その舞台装置を使いテーマの違う作品に仕立てました。
4階の展示室の絵画の前に置かれたベンチ。近くに何故かポリバケツ。のぞいて見ると思わぬ景色を見ることができます。
ヒヤっとする高さです。仮設の床が丈夫かどうか急に不安になります。
下から見上げるとこんな感じです。
ワタリウムの4階どうなっていたっけ?
と考えを巡らせてしまいました。
ねずみくん
ワタリウムの向かいの建物の屋上に展示している作品です。SIDE COREの展覧会には、よく登場するキャラクターです。大都市にネズミはつきものです。ここ以外にも無数のネズミたちが隠れているでしょう。
SIDE COREの作品は見た目がカッコいいものが多いです。それは都会のカッコ良さとも言えますが、実は普段見向きもされない場所や風景、事物を使っているものが多く、やはり見せ方が上手いのだと思います。これからも見たことがあるようで、見たことがないカッコいい景色を見せてくれると思います。
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