ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築 

東京シティビュー

2023年5月13日(土)


 

イギリスの建築事務所、ヘザウィック・スタジオの展覧会です。ロンドンオリンピックの聖火台、上海万博のイギリス館、Googleの本社、など世界的なプロジェクトを手がけてきました。


先日の広島サミットの合間をぬって、英国スナク首相がここでレセプションを開催しています。

 

なぜヘザウィック・スタジオ?

 

森ビルの「麻布台ヒルズ(低層部)」を担当しているからです。今年2023年秋の竣工に向けて絶賛建設中の複合都市開発プロジェクト。プロモーションの一環とはいえ、現役バリバリの建築事務所の作品をまとめて見られるいい機会です。

 

 

上海万博英国館 竣工:2010

 

上海万博ももう10年以上前のこととなりました。行くつもりだったのですが、上海近いし、空いている時期を狙って行こうとか思っているうちに終了していました。行けば良かったと反省しております。(2025年の大阪万博は必ず行きます。)

 

さて、アイデア建築の博覧会でもある万博の中でも話題になった英国館。200を越える出展パビリオンの中で上位5位に入るデザインをという条件に対し提案、実現しました。

 

ウニのような針千本の外観。アクリルの棒で外部も内部も覆われています。長さ7.5メートルのアクリル棒は内部まで突き抜けており外光を内部に届けます。

 

 

内部のアクリルの先端は植物の種が埋め込まれた小さな展示ケースになっていて、その数は6万本(6万種)を越えるそうです。

 

 

主要な産業、文化、歴史を総花的に展示するのではなく、世界的にも古い歴史をもつ英国の植物学、公園などにテーマを絞り、デザインしています。

 

建物全体もひとつの種になっているアート作品のような建築で、狙い通りパビリオン・デザイン部門金賞を受賞しました。

 

 

グーグル・ベイ・ビュー 竣工:2023

アメリカ カリフォルニア州に建設中のGoogle の新社屋です。

 

展示の中で最も実物を見てみたい建築物です。最先端のIT企業が考える理想の職場環境を現実のものとするため、BIG、ヘザウィック・スタジオ、そして、Googleの3社が協力して作っています。

 

 

広大な敷地に3つの建物で構成され、オープンスペース、ワークスペース、イベントセンター、宿泊施設があります。高い巨大なテントのような屋根はシルバーの太陽光パネルで覆われています。所々に設けられた隙間は自然光を照明として取り入れると同時に、内部からは外の景色を眺められるようになっています。もちろんカーボンニュートラル、ウォーターニュートラルを高い水準で実現するそうです。    

柱の数を極力減らした開放的な空間には2つのフロアがあり、上のフロアはデスクとチームスペース、下のフロアはアメニティスペースが、設けられています。とても仕事がはかどりそうな、気がしてきませんか。

 

三者共同のプロジェクトですので、どこまでヘザウィック・スタジオらしさが入っているのかは、わかりませんが、最先端の建築であることは疑いないです。

 

 

シンガポール南洋理工大学 ラーニング・ハブ

竣工:2015

 

コロナ禍で学生がリモートで講義を受けることが日常になった今、既存の大学の校舎はそれにふさわしい形態をしているのか。そんな問いかけをチラホラ聞くようになりましたが、それに先立って新しい大学の形を現実のものとしたのが、シンガポール南洋理工大学です。

 

リモートの講義を受けるデジタル世代のための新しい空間をコンセプトに設計されました。誰もいない空っぽの教室を廃止。教師と学生が自然と対話、情報交換できる環境を目指し、通路、スペース、ベンチなどを人同士の触れ合いを促すようなデザインにしています。


実際どんな雰囲気の建築かは大学のサイトでお確かめをください。


 

 

ヴェッセル  竣工:2019

 

ニューヨーク、マンハッタンの西側、ハドソン・ヤードの開発地区の目玉になるものを。そのお題に答えた建築です。

 

ヴェッセルの名の通り器のような形をしています。タワーを形作る骨格が階段と通路。フロアはないのにどこも展望スペースなっています。光沢のある銅色の外観もいいですよね。土台が小さく逆円錐形のような形は、どの層からでも真下が空いているので、高所恐怖症の方はドキドキするかもしれません。

 

マンハッタンの高層ビル群の中では高くないので、見晴らしが良いかは微妙ですが、ハドソン川の夕陽や、夜の摩天楼は綺麗な眺めでしょう。

 

独創的でありながら、機能的な形ですので他の観光地の展望台にも建てれば良いのにと思います。

 

 

麻布台ヒルズ/低層部    竣工:2023

 

まもなく竣工の森ビルの都市開発プロジェクト「麻布台ヒルズ」は複数の建築家、デザイナーを集めて進められています。そのうち低層部をヘザウィック・スタジオが担当。丘や小山のような構造のビルをデザインしました。麻布台ヒルズの敷地を緑で覆うというコンセプトに対して、四角い建物に屋上庭園、側面はガラス張りというではなく、どこからでも緑が豊か見えるような形を追求しています。テクノロジーの塊のような外観の六本木ヒルズに対して、自然を感じられる空間を目指しているのが、わかります。


素人には模型から完成した状態を想像するのは難しいところがありますが、まもなく実際にこの目で確かめることができますので、構想と現実がどこまで一致しているか期待して待ちたいと思います。


 

スパン Spun

 

ヘザウィック・スタジオは建築以外の仕事もしています。これは椅子です。コマのように安定せずぐるぐる回るけれども、決して倒れない構造になっています。


この椅子は前から座ってみたかったので、休憩スペースに置いてあるものに早速座ってみました。楽しいです。座ってから後ろに体重をかけると、右回りか左回りにぐるんと回り、後ろに倒れます。そのままグデっとなったままでもいいですし、ぐるんぐるん回って遊べます。もちろん安定感は全くないので、仕事には向きません。スペースをとる作りで狭いお家にも置けないので欲しい方はまず大きい部屋から用意しましょう。

 

さて、ほんの一部の展示しか紹介できませんでしたが、他にも面白い展示がたくさんあります。


まもなく終了ですので、興味の湧いた方は急いでお越しください。

 

 

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