瀬戸内国際芸術祭2022 秋

高見島

2022年10月9日(日)


 

瀬戸内国際芸術祭2日目は、二つの島を巡ります。

計画では、午前中に高見島(たかみじま)、午後に粟島(あわしま)です。


天気予報は曇り時々雨。今日も外を歩かなくてはならないので、雨の降らないことを祈ります。

 

丸亀駅からJR予讃線で多度津駅へ。多度津駅から歩いて多度津港へ。多度津港から、たどつ汽船で高見島へ。



 


  高見島(たかみじま)

 

高見島の港に着くと大きな彫刻が、お出迎えです。

 

内田晴之

Merry Gates

 

やはりこれは「T」。高見島の頭文字の「T」なんでしょうね。島の玄関、門である場所に楽しげで目立つ島の顔となる作品。瀬戸内海は島が多いですから、どの港も変わり映えしないので、このような作品は必要だと思います。

 

さて、高見島の展示の中心は斜面にある古民家です。狭い歩道を登ったり降りたりしながら、古民家を回ります。なんかゲームの世界にリアルに紛れ込んだようです。

 

 

アーティストに貸し出している古民家は、人が住まなくなって年月が経ってかなり傷んでいて、シロアリが柱を食い尽くしていることもあるそうです。安全面の配慮から、最初の作業は建物のリフォーム。作品の制作はそれからです。

 

 

村田のぞみ

まなうらの景色2022

 

 

薄暗い部屋に吊り下げされているのは、大量の針金を雲のような立体にして部屋全体に配したインスタレーションです。高見島から見える海、空、雲を抽象化した造形物だと思います。撮影が難しいので、分かりにくいですがとても現代的な雰囲気の綺麗な作品です。

 

竹腰耕平

高見島の木

 

タイトルの高見島の木とは、この古民家の庭に生えた木のことでしょう。木は切り倒されて切り株しかありませんが根は地中に残っています。家の床や地面に円形の輪を置き、掘った所に剥き出しの根が見えます。作者の狙いとしては、もっと太い根を期待していたのではないでしょうか。生命の力強さや隠れた歴史などを感じさせるものが掘り出せたらインパクトがあったのですが、細いので少し残念な気持ちになります。

 

 

中島伽耶子

うつりかわりの家

 

古民家の中に入ると一面、星のような光の点が輝いています。透明なアクリルの細い棒を、家全体に挿すことでできている作品です。輝き方は天候と日時によって変化します。意外に雲一つない晴天より曇りぐらいの方がキレイに見えるそうです。 

 

小枝繁昭

はなのこえ・こころのいろ

この古民家は花をテーマにした作品が展示されています。一階は花の絵と、花の炭(炭の花?多分。)が展示されています。花はいいですね。これだけ敷き詰めると色彩が部屋に溢れます。なんか遊郭の一室のようにも見えます。

 

西山美なコ

高見島パフェ

 

先述した古民家の二階です。薔薇の花のインスタレーションです。飾り付けられたたくさんの薔薇の花

、グラスや花瓶に生けてあったり、ソファや化粧台に盛られています。そして甘い香りが部屋中にします。美しいに決まっています。

 しかしただ美しいだけではありません。この薔薇の花はシュガーペーストで作られていて時間と共に崩れていきます。朽ちるからこそ尚、今の輝きが眩しい。日本人らしい美意識だと思います。

 

鐡羅佑

通りぬけた家

 

古民家のそばは別室のような建屋をくっつけた作品です。鉄の板を繋ぎ合わせて部屋にしています。わざと空けてある隙間から外の光が漏れて来ます。奥にある扉を開けると眺めの良い瀬戸内海の景色が飛び込んでくる趣向です。自撮りをする方が絶えない作品です。

 

鈴木健太郎

かたちづくられるもの

 

壁、天井、襖、障子、座布団を藍の絵で覆いつくしています。私は日本の伝統的な藍の色は何か地味な感じがあり、あまりいいイメージを持っていなかったのですか、ここは良かったです。藍しかないのにそんな気がしない。墨が一色でありながら色が無いことを意識させないように、この部屋も藍であって藍でない空間でした。

 

 

藤野裕美子

過日の同居2022

 

 

島の歴史、風俗、生活を丹念に島民から聞き取り、自然の景色と合わせて繋ぎ合わさるように描いた絵画です。基本的には絵画作品でありながら、部屋をはみ出すような大きさと配置の工夫でいい空間になっています。時間があれば座布団に座ってお茶しながらゆっくりしたいです。

 

 

ケンデル・ギール

FLOW

 

島内唯一のイタリア料理レストラン「海のテラス」店内に設置された作品です。「海のテラス」も作品なのですが、お客さんがいっぱいで撮影しにくいので、こちらをUPします。見るとわかるように四角い穴から瀬戸内海がうまく切り抜かれる額縁のようになっています。絵になる景色です。

 



Re:mind

山下茜里



皮を剥がされた真っ赤な身体、ギョロリとした目をもつ人型の異形の者たちが建物に充満しているホラーな作品です。一階は絵画で二階は立体(マペット)で表現。作者はアール・ブリュットの方かと一瞬思いましたが、表現に秩序を感じるので違うでしょう。それでもこのエネルギー量は凄いと思います。



中島伽耶子

時のふる家

 

うつりかわりの家と同じ中島伽耶子の作品です。こちらは壁にアクリルの板を貫通させて光を取り込む方式です。電気も使わずに暗闇に光の線の模様が浮かぶのは驚きと面白みがあります。

 


さて、これで高見島の作品は、見終わりました。12時過ぎです。


粟島行きの船の出発まで時間があるので、昼食をとります。コンビニで買ったお茶とおにぎりです。



地方の芸術祭は食事をどこでとるかが悩ましい。ガイドに紹介されているお店は混んでいます。そして他に店が少ない。私は時間優先でカンタンに済ませることが多いです。


とにかく旅はここまで順調です。実はパラパラ雨が降って傘をさす瞬間もありましたが、もちこたえています。


次は粟島です。この調子でアートの島めぐりは続きます。


 

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