「植田正治を変奏する RESEARCH/TRIBUTE」
写大ギャラリー
2022年1月29日(土)
写大ギャラリーは東京工芸大学が運営するギャラリーです。地下鉄 中野坂上駅から徒歩10分の場所にあります。入場無料です。
今日は入学試験の日だったんですね。
何かものものしい感じでした。
写真のギャラリーらしく入り口ともう一部屋という広さですが、かえって近い距離でじっくり観ることのできるとても良い展示でした。コロナで人の出が少ないからかもしれません。
内容は東京工芸大学写真学科教授の田中仁が企画したもので、植田正治の写真のオリジナルプリントと、オリジナルのネガを田中仁が焼いたモダンプリントが展示されています。
加えて植田正治の三男で植田カメラ店を引き継いだ植田亨へのインタビュー映像(面白かったです。)と植田正治の遺品を撮影した写真の展示。
写真の方は代表作品が揃っていました。
1950年代から山陰の生活を撮影した「童暦」、1980年代にファッション広告を席巻した「砂丘モード」、そして「Ueda-Cho(植田調)」の代名詞的な砂丘の家族写真のシリーズ、誰もが目にしたことがあるであろう「パパとママとコドモたち」「ボクのわたしのお母さん」など。
オリジナルプリントは、ゼラチンシルバープリント。アナログ写真らしく、独特の深い黒、ほどよい粒子の粗さ。少し金色になっているものも。
雲一つない真っ青な空や、足跡一つない鳥取砂丘のまっ白なグラデーションは見ていて気持ち良い。
植田正治本人が同じ風景写真のネガを時を経てプリントした作品が2点あり明るい部分の飛ばし方やボカシ方の違いが分かって面白かったです。
田中仁によるモダンプリントがどちらかというとネガに写っているものを残している感じで、植田正治は明るい部分はとぼして綺麗な余白を作り、黒いところは深く落として仕上げプリントでも細かい演出が為されているようです。本人でないとあまり積極的にいじくり回せないし当時の薬品も手に入らないとのことなので難しい作業ですが、田中仁のモダンプリントも植田正治っぽいと思いました。
かねてから鳥取の植田正治写真美術館へは必ず行こうと決めているのですが昨今の状況ではそれもかなわず、そんな中、こうしてじっくりオリジナルプリントを見る機会を得ることができ、いい時間を過ごせました。
久しぶりにフィルムカメラも触ってみたくなりました。
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