梱包の芸術家、クリストとジャンヌ=クロードの最後のプロジェクト「梱包された凱旋門」がいよいよ実現します。
フランスのパリの凱旋門を文字通り、布で梱包するというもので、期間は2021年9月18日から2021年10月3日を予定しています。既に全体を布で覆う作業は終わっています。
Instagram、Twitter 上に多くの画像がUPされていますので、ハッシュタグ
#ChristoJeanneClaude
#ChristoParis
で、検索してみてください。
クリストとジャンヌ=クロードは共に1935年6月13日生まれのアーティストです。クリストはブルガリア生まれ、ジャンヌ=クロードはフランス領モロッコのカサブランカ生まれ。パリで出会い二人で数々のプロジェクトを実現してきました。
その土地のランドマークになる建築物などを布で梱包する巨大な作品が有名です。これまでに、
フランス パリのポンヌフ、ドイツ ベルリンのライヒスターク(帝国議会議事堂)、オーストリアの海岸、など世界各地で梱包を実現してきました。
制作費はすべて自費、プロジェクトのためのスケッチやコラージュを売って賄い、実施の際の観覧は無料。
しかし、お金の負担は無くとも実現のためには政府、自治体、関係者の許可、協力は不可欠です。そのための提案、交渉が最大のハードルで実際の制作作業より交渉、手続きの時間の方が長く、アイデアのままの実現していないプロジェクトがいくつもあります。
凱旋門を梱包するアイデアは1961年、クリストがジャンヌ=クロードに出会ってから3年後、凱旋門の近くにアパートを借りた頃に思いついたそうです。つまり、実現までに60年かかったことになります。
ジャンヌ=クロードは2009年11月18日に亡くなり、クリストは2020年5月31日に亡くなってしまいましたが、進行中だったこのプロジェクトはクリストの事務所が引き継ぎ、実現にこぎつけました。
彼らは私の最も好きな現代アーティストです。悪い言葉ですが芸術家らしい傲慢なところに痺れます。自分の見たいものをどんな壁があろうとも形にするという強烈なエゴの持ち主。自分の主張を貫くために経済的援助は決して受けない。そしてどんなに大きな喝采や反響があって作品を終わらせてしまう。決して作品を他人に所有させない。
パリに行けないのは残念ですが、インターネットのおかげで現地の様子もよくわかります。これからSNS上に膨大な数の投稿が上がるでしょう。
凱旋門はパリの何処からでも見える位置にありますので、映える写真も楽しみです。