佐藤可士和展

国立新美術館
2021年2月11日(木)
 
日本を代表するクリエイティブディレクター
佐藤可士和の展覧会に行きました。
博報堂で広告の仕事を始め、やがて独立して
クリエイティブ・スタジオ「SAMURAI 」を設立。アートディレクションを武器に多方面で活躍しています。
 
 
国立新美術館のロゴも佐藤可士和の作品なんですよね。新しい美術館として積極的に現代のクリエイティブを取り上げているわけです。
 
実は私も広告業界の人間なので正直
見ていて妙な感じでした。
 
アートと決定的に違うのは
自分の想いをカタチにするのではなく、
他人の想いをカタチにするということ。 
 
 
単独の物理的なオリジナルは存在しないが
基準となる厳密なコンセプトが存在し、
様々なメディアで複製、展開され
メッセージを見る人に届けるということ。
 
先日、東京都現代美術館で見た
石岡瑛子は本人の哲学が
デザインに内包されている感じがあり、
アーティストぽかったのですが、
佐藤可士和はクライアントの課題を
解決するという姿勢が明確でドライ。
 
それでも佐藤可士和らしさはベースにあり
最後のコーナーに展示されている
アート作品にその特徴がよく現れている。
シンプルな形状、インパクトの強い色彩でミニマルアートのようなアプローチの「LINES」、
真っ白なカンバスに絵の具を投げつけて、素手の
勢いと重力に任せて描く「FLOW」。
 
論理的な課題解決とクリエイティブという
別の2つの能力を佐藤可士和は兼ね備えている。
 
それにしても手掛けた仕事が本当に多い。
その作品は巷に溢れ、
知ると知らずとその影響の中で
私たちは生活しています。
 
 
実際、シンプルに洗練されたクリエイティブに
囲まれていることは私たちの人生を
より良く豊かなものにしています。
 
現実にビジュアルの力で人の心を
確かに動かしている。
 
美術館がデザインや広告を無視できない理由が
ここにあります。
 
ただ広告は今を表現するツールなので、
いずれは変化するか、消える運命です。
 
今回展示されている中で
いくつの作品が時を経て人々の心に残り
アートとしてアーカイブされるでしょうか。
 
ミュシャのポスターやロートレックのリトグラフ、はたまた日本の浮世絵のように、100年後に異国の美術館でユニクロのマークを見に多くの人が集まるようになっていたら面白いですね。