昨年完結した人気コミック「神の雫」の
続編「マリアージュ 〜神の雫 最終章〜」の
最終巻26巻を読み終えました。
いつか取り上げるつもりでしたが、
終わった今が最も良い機会でしょう。
一応ざっくりあらすじを書くと、
主人公・神咲雫は世界的なワイン評論家である
父・神咲豊多香が残したワインコレクションの相続を巡り、天才ワイン評論家・遠峰一青と戦うことになる。
戦いの内容は神咲豊多香が選んだ12本の偉大なワイン「十二使徒」とその頂点に立つ「神の雫」を当てること。ワインは全く素人乍ら超人的な嗅覚をもつ神咲雫は仲間の助けも借りながら遠峰一青と戦いを繰り広げていく。
このコミックの見どころは、紹介するワインの素晴らしさを表現するところです。
ワインを単なる飲み物ではなく芸術作品として鑑賞し表現する行為は、アートを観て、その感動をコラムで書くということと同じです。
紹介されるのは特別なワインばかりですので、シンプルに「とても美味しい」では、違いがわかりません。究極の食レポスキルが求められるのです。
色、香り、味に加えて、葡萄の品種、テロワール、醸造法、作り手のこだわり、想い、までも組んだ上で、ワインの印象を表現するため、文学、音楽、美術、世界各地の文化、風土、自然、人生の営みまで、あらゆる比喩を用います。
神咲雫と遠峰一青の鋭い感性と深い造詣、
豊かな表現力は、コラムを書く者の理想です。
そして二人の表現に臨む姿勢、
先にワインを飲んで言葉を準備するのではなく、
ぶっつけ本番で真っさらな心から湧き上がる
イメージを言葉に置き換えていく。
この姿勢はとても参考になります。
事前に情報があると印象もそちらに
引っ張られてしまう。
脳の感じる部分でなく、記憶する部分を使うと
新しい表現が出てこない。
感じたものを言葉にするプロセスは
自分の内になくてはならない。
心に何かもやっとしたものが宿る、
心がぐっと動く、
その体験を得ることが、
アートを観る意味だと思います。
その上で人に共感を得る表現が伴えば
「究極の見手」といえるのですが。
そんな人になれるよう精進していきたいと
思います。