本日のニュースにありましたが、米ヤフーが37歳の女性エンジニア、マリッサ・メイヤー氏を最高経営責任者(CEO)として起用しました。
経営不振が続くヤフーは、昨年9月にキャロル・バーツ元CEOが退任した後、今年5月、後任のスコット・トンプソン前CEOも大株主のヘッジファンド(米サードポイント)との対立や学歴詐称問題を受けて辞任しました。後任探しが難航していると報じられ、ロス・レビンソン暫定CEOがそのまま正式なCEOに昇格するとの見方もありました。メイヤー氏の起用は、各方面より驚きをもって受け止められているようです。
私がこのニュースを見て驚いたことは何点かあります。それは、メイヤー氏が①37歳という若さであること、②女性であること、そして③エンジニア出身であることです。しかし、よくよく考えてみますと、ヤフーだからこそ起こり得たことなのでしょう。
ヤフーはシリコンバレーのスタートアップとしてジェリー・ヤングその他メンバーにより創業されて以来、十数年経ちます。その過程でヤフーは株式公開し、巨大化していきましたが、それでも根底ではシリコンバレーの若々しい、革新的なスピリッツがまだ生き続けているのではないかと思います。従って、例え大企業であるとしても、30代のCEOを迎い入れることについて、他業界の大企業と比べれば抵抗は低かったのではないでしょうか。
また、アメリカとはいえ「ガラスの天井」が存在し続けることは間違いないと思います。つまり、女性の出世を妨げる目に見えない障害(ガラスの天井)があることは確かだということです。しかし、女性CEOは現代アメリカでは前代未問ではなく、過去に遡れば例えばEBay(アメリカのオークションサイト運営企業)の創業者兼CEOやPepsiCo(飲料大手)などの多数の大企業が女性CEOを起用した経緯があります。(しかも、PepsiCoの場合はインド出身の女性でした。)ヤフーでも、過去に女性であるバーツ氏をCEOに起用したことがあります。同氏は円満な形でヤフーを去ったわけではありませんが、「女性の起用」そのものに関して抵抗が生じた訳ではないようです。
3つ目の「エンジニア出身であること」ですが、メイヤー氏は、ライバルのグーグルに20番目の社員として1999年に入社し、グーグルの黎明期から同社のエンジニアとして活躍してきました。アメリカの大手企業をリードしているのは、多くの場合、エンジニアではなくビジネス(経営、ファイナンス、マーケティングなど)のバックグラウンドを持つ人間です。大学の専攻はあまり関係ありませんが、その後のキャリアでビジネスの分野に携わっていたかどうかが影響を及ぼすのではないかと思います。そして、多くのが経営者はMBA(経営学修士)も取得しております。しかし、ヤフーはもともとインターネットポータルを運営する会社であり、それを支えているは多数のソフトウェアエンジニア(SE)なのです。従って、エンジニアがヤフーのCEOの座に就くのは時間の問題だったのかもしれません。
さて、メイヤー氏が対処しなければならない課題は何でしょう?日経新聞の記事によると、課題は3つあるようです。まずは、「スピード」です。いかに早く社内を掌握し、具体的な再建策を提示、実行に移すかがポイントになります。次が「人材の確保」です。ヤフーは今後、「プロダクト(製品やサービス)のイノベーション(技術革新)に再び注力する」と転換を強調しておりますが、ここ数年の人員削減で、優秀な人材の流出が続いております。最後に、「社内外で求心力を保てるかどうか」です。例えばトンプソン前CEOと対立してきたサードポイントに信用してもらえるかどうかがCEOとしての成功の鍵となりそうです。
様々な課題を克服する必要があるメイヤー氏ですが、是非ヤフーをアメリカのITビジネスの柱として立て直して頂きたいと思います。
