8月10日。
長崎原爆の日の翌日、朝刊をめくると、ある記事が目に飛び込んできた。


"被爆クスノキ大樹見納め"


長崎市坂本の山王神社境内にある被爆クスノキの大樹冠が、この夏で見納めになってしまう。弱っている幹への負担軽減と周囲への安全確保のため、枝の3割程度を間引き、今後については毎年刈り込みと治療を施すという。

昨年9月、「0806081508091102」のタイトルで被爆樹木についてコラムを書かせていただいた。その折、広島の被爆アオギリと共に、このクスノキについてご紹介した。その中で"いつかきっと会いに行こう"と書いたものの、どうやら一足遅かったようだ。宮司の船本勝之助さんは「今のような姿はこの夏が最後」と記事中でおっしゃっている。思い立ったが吉日、早く行っておけばよかったと悔やまれてならない。枝葉茂る下に立ったならば、きっと、その盛大さに笑みがこぼれたに違いない。

せっかく精一杯伸ばした枝葉が剪定されてしまうのは忍びない。でも、姿変われど惨禍の日を伝え続けてくれる。また思い立ったら会いに行けばいいさ。



被爆クスノキ2世 (逗子市第一運動公園)



記事は、こう締めくくられている。
"船本宮司は「責任を持って守っていきたい」と話す。"


*2016.8.10付 東京新聞朝刊より一部引用。