使用シーンのストーリーを聞いて、新商品のアイデアを得る方法
It’s really hard to design products by focus groups.A lot of times, people don’t know what they want until you show it to them.フォーカスグループによって製品をデザインするのはとても難しい。多くの場合、人は形にして見せない限り、何が欲しいのかわからない。これは、スティーブジョブズ氏の名言の1つです。確かにジョブズ氏のおっしゃった通りなんですね。「何が欲しいか?」と聞いても、既存概念に縛られている消費者は答えられません。でも、フォーカスグループから「こんなものがあったら喜ぶだろうなあ」というアイデアは得られます。その場合は、消費者に現在の製品の問題点やら、どんな製品が欲しいかを聞くのではなく、製品を使用する生活シーンを聞くのです。その生活シーンのストーリーから、彼ら彼女らが気づいていない課題を見つけ、「こういう商品があったら、もっと喜んでもらえそう」という商品アイデアを考えるのです。実際にアイデアを商品のイラストが入ったコンセプトボードにして見せると、「そうそう。こういうのが欲しかった。」と目を輝かしてくれたり、 「そういえば、今までこういう不便があったけど、これがあれば解決する。」と、そこで初めて、気づかなかった課題に消費者自身が気づくんです。もっとわかりやすいようにケースを使ってご説明しますね。新しいトマトソース商品のアイデアを考えるとします。トマトソースを使われる方に対してインタビューを実施します。「どこで、どう買って、どう持ち運んで、どこにしまって、どんな時に使って、いつどのように廃棄するのか」一連の購入・使用シーンを、話してもらいます。ストーリーの中で、聞いてて、必ず「あれ?」と思える部分があるわけですが、インタビュー中は、相手の話を止めずに聞きます。「だったら、こうしたらいいんじゃないですか?」なんて、相手に突っ込んでしまうと、”矛盾のないように気をつけて話さなければ”と相手に思わせてしまい、真実の話を理解するという目的が達せなくなってしまいます。もっと深く聞きたい点は、ストーリーを全部、聞き終えてから質問します。インタビューを終えたら、新商品アイデアを考えます。「あれ?」と感じた部分から、アイデアの切り口を考えていきます。例えば・・・消費者の発言:“使い終わったトマトソースは、冷蔵後に戻すのですけど、毎日使わないから、どんどん奥へ入っちゃって見えないから、しまったのを忘れて、また新しいのを開けちゃったり。あー損しちゃったって、無駄使いしたって思います”企画者の頭の中:使い切らずに商品を無駄にしていることに罪の意識を感じている。「無駄をさせずに、罪の意識を感じさせない」という観点から、何かアイデアを探せないか?消費者の発言:“マヨネーズやケチャップは、両方とも調味料ですからプラスチックの容器でいいのですが、トマトソースは話が違うと思います。トマトソースは食材だから、瓶に入っている方がおいしそうで安全な気がします”企画者の頭の中:食材は瓶でないと安全でないのに、調味料であれば、プラスチック容器への抵抗はない。トマトソースを、食材ではなく調味料として位置づければ、プラスチック容器でも抵抗がないのでは?発見された切り口をつなげてアイデアを考えます。この場合、商品アイデアは、「調味料として使えるトマトソース」となります。このアイデアは、以下の点で消費者をハッピーにしてあげられます。 冷蔵庫の扉の裏の調味料ポケットにぴたりと入るので、冷蔵庫奥に入ってしまった瓶のトマトソースのことを思い出す機会が増える。賞味期限前に使いきれる可能性が高まる。(無駄したという罪の意識を軽減してあげられる) 煮込み料理にしか使えなかった瓶入りのトマトソースを調味料感覚で使えるので、料理のレパートリーが増える。 (家族に喜んでもらえる)