レナ嬢の誘惑に既に負けて、眠れない月曜の管理人です。


ワンブロからお付き合い下さっている各位には、大昔の記事とかぶりますがお許しを。また、長くなりそうな予感しますので、、、出来るだけコンパクトにしようとはおもいますが、敢えてのこのテーマなのでそのつもりでお付き合い下さい。



まず、タイトルは「たなばた」ではなく「しちがつなのか」とそのまま日付でお読み下さい。


発病前、管理人は管理人の個人事務所で独立系のケアマネの仕事をし、本職とし、家計を支えていた。副職として介護福祉系の講演を月に二本程度とバイトで遊び、バンクの運営資金にしていた。


バブル期には請われて企業の役員待遇。その前は役人だった。



ケアマネ期には、管理人のキャリアと独立系ということもあって、様々なところから処遇困難事例の紹介が多く、そのほとんどを引き受け、成果を挙げるその道のプロとさえ呼ばれていた。



七月七日になると、その処遇困難事例のなかの一人のジジイを思い出す。今は亡きジジイ。結局ジジイと呼べる関係までになっていた。



ジジイは最期まで独身一人暮らしを貫き、施設も拒否し続け、間質性肺炎で入院先の病院で息を引き取った。


ジジイは介護保険スタート当初から寝たきりで申請すれば要介護5なのだが、それすら拒否した。



近在に住む姪御さん二人の支えを受けて、寝たきりで一人暮らしを貫く頑固なジジイで、管理人からはホネの太い筋金入りの昭和一桁の頑固ジジイだが、女性蔑視だけはいただけず、その点が管理人に取っても処遇困難事例だった。



やっと説得に応じ、オイラが担当することで介護保険の認定を受けて、ケアマネも男性、ヘルパーも男性のみからスタート。


通院介助も往診は拒否で、病院なんか掛からずにこのまま死ぬと言い張るのを説得して、男性ヘルパーの介助でやっと通院。



通院から外出慣れしてくれたので、ヘルパーの介助でならデイサービスに行ってくれる様になり、世の中の情勢も自分の立場も理解し始め、施設にやっと申し込みをし、待機1番にして入院されそのまま帰らぬジジイとなった。



管理人はこのジジイが大好きだ。彼を担当できたのは誇りですらある。



ジジイは、戦時中志願して陸軍に従軍していた。終戦は内地にいた。その話は奇想天外で、驚きでもあり、有る意味悲偶でもある。


ジジイは、志願して陸軍に従軍するが、やや虚弱で鹿児島の連隊に配属され、終戦まで連隊は転々とするが通信兵として戦線の先鋒近くにいた。シナ、東シナ、南シナから転戦しビルマ戦線で病に倒れた。

命からがら呉まで戻り、戻る途中ではジジイの乗った駆逐艦の護衛艦は全て沈められている。

こうして戻った呉から広島の病院で養生し一旦静岡の連隊にかわる。直後に広島に原爆が落とされている。

戦線では通信兵として何万の望郷の兵士の憤死を見届け、帰らぬ特攻隊の無線を傍受している。



デイサービスに行ってくれる様にはなったものの七月七日が近づくと頑なにデイサービスに行くことをワケも言わずに拒否した。



入院するその年も同じ様に拒否したが、ワケも聞かずそのまま受け入れたが、初めてジジイはそのワケを語り始めた。



ジジイは、長生きし過ぎた、悔やんでも悔やみきれない、と涙ながらに自分の半生を語り出した。



七月七日、今日が無ければ今の平和な日本は無い。敗戦が無ければ安穏とした日本は無いと言い、戦争が無ければたくさんの命が無為に奪われることもなかったと言う。



日本は戦争があってもたなばた祭りはしていたのであろうが、デイサービスでも平和にその準備をすることには、耐え難い感情が複雑にこみ上げてくるのだと言う。



戦時下、志願して入った陸軍でわずかな虚弱で通信兵となり戦線の先鋒にはいたものの前線に赴くことはなく、結果多過ぎる命を見送り、病に倒れ内地に戻るも途中でも自らの命の代わりに僚艦と同胞が命を落とし、わずかな時間差で広島を離れる。



自分は何かに助けられたと言う思いより、死ねずに生き恥を晒しているとさえ言う。



トラウマ、PTSD、、、



ジジイとはそんなジジイだった。



ジジイの恩給手帳にはその時系列が細かく記載されていた。

恩給手帳の時系列を見ながら、涙流しながらやっと話してくれた。

本当にPTSDなら、話すこと自体が苦痛だったに違いない。



オレは長生きし過ぎた。
でも今日と言う日が無ければ
今日は無い





そんな今日は、七月七日。
平和な日本はたなばた


ジジイには、忘れられない日。
盧溝橋事件。
1937年(昭和12年)七月七日。
歴史の一部ではなく、まだリアルな現実がそこにはまだある。








ジジイにとっては、命の潰える歴史が始まる忌し七月七日だったのだ。



語り尽くした半年後、ジジイは長生きし過ぎたと言う命の幕を降ろした。