【紀勢本線384.2km乗り通し】特急くろしお&南紀を乗り継いで紀伊半島大迂回 | pass-case.com (Ameba版)

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今回のルート
和歌山市〜名古屋

こちらは和歌山市駅、和歌山市の中心駅であり、南海電鉄のターミナルとして機能します。

その端っこにあるのが、JR紀勢本線のプラットホーム。
 

棒線駅に小さく佇むのは、380kmに渡って紀伊半島を迂回してきた紀勢本線の終点です。
今日はこの紀勢本線を一気に乗り通すこととなります。
 
そんな長大路線の始まりは、和歌山駅まで僅か2区間を結ぶワンマン列車から。
 
紀伊国の城下町から難波までを直接結ぶ、南海本線と分かれます。

和歌山駅 着 
お隣には和歌山電鐵のチャギントン列車が停車中。
元々は南海貴志川線だった和歌山電鐵、赤字だったところの事業引継ぎ先として、岡山電気軌道が選ばれました。

和歌山電鉄と言えば猫のたま駅長で一躍有名になりました。駅の案内サインにも可愛らしい三毛猫が描かれています。
ちなみにグレーの四角は先程乗ってきた、紀勢本線の和歌山〜和歌山市を意味します。この区間には路線記号が設定されていないんですね。

さて、ここからは特急くろしおで一気に南下します。

乗車するのはちょっと怪しい顔が描かれた車両。パンダくろしおと呼ばれます。

特急くろしおは2022年春に自由席を廃止。現在は全車指定席になっています。
 
0848 新宮駅 発
大阪方面には289系の特急くろしおが停車中。
元々しらさぎに使用されていた683系2000番台ですが、直流専用に改造され「289系」として生まれ変わりました。

和歌山県の人口40%を占める和歌山市を出まして、すぐに停車するのは海南駅です。
この町は1960年代以降、重化学工業で栄えました。 

線路すぐ横にもENEOSの石油関連施設が見られ、非常に重厚な趣です。

そして紀勢本線と言えばこの景色でしょう、青い海が一面に広がるようになりました。
透明感というより深くて濃い色、太平洋はこの先ですが、広々とした海を感じさせます。
 
御坊駅
御坊駅からは日本一短い単独私鉄、紀州鉄道が発着しています。西御坊駅までの路線長は僅か2.7kmです。



紀州鉄道はリゾート開発を中心にした不動産業が主力。鉄道事業は完全に副業状態の不動産会社ですが、鉄道事業を行っているというブランドイメージ保持のために存続されています。

このパンダくろしおには、様々な装飾がなされています。
一番はなんと言っても、パンダの描かれたヘッドカバー。子どもパンダが乗っかってます。
 
一部の座席は、まだ体がピンク色の赤ちゃんパンダ。
ちょっと怖いですけどね(笑)

津波からの避難案内にもパンダ。ぷっくりした着ぐるみ感があってシュールです。

車両端部分の座席にはコンセントが備えられているので、指定席のご参考に。

印南駅に到着。
印南町では様々な施設にカエルのデザインを取り入れています。

その中でも印南駅の大阪寄りで、列車から見られるかえる大橋が代表的です。
とっても可愛らしいデザインで、色合いも幼稚園の遊具みたいにはっきりしています。

植生からも南国風の雰囲気が漂います。

太陽の光が細かく輝いており、実際には冬にも関わらず夏の雰囲気です。

少し内陸に入りまして、一軒家の立ち並ぶ街が広がっています。

中線に普通列車が停車中の、紀伊田辺駅に到着。
ここ田辺市は面積が1027㎢で近畿最大、紀伊山地の山中も含まれ、市長選では選挙期間1周間の内にすべての地域を回りきれないという問題まで起こっています。

大阪からの観光客が大勢降りていかれる、白浜駅に到着しました。
白浜と言えば日本一パンダがいるアドベンチャーワールド、この列車もそれにちなんでラッピングされている訳です。

列車からでも丘の上にある施設を見られました。
 
紀伊富田駅では283系と行き違い、向こう側が停車していました。
かつては特急オーシャンアローとして走っており、イルカをモデルにした先頭部からはパノラマビューも楽しめます。

紀勢本線は海沿いを走り続けるので河口部に近く、必然的に渡る川幅も広いものばかりです。

紀勢本線を対象にして、『きのくにトレイナート』というアートプロジェクトが立ち上げられています。
周参見駅も舞台のひとつで、駅舎には海の生き物を思わせるカラフルなペイントがされていました。

ホームには、異常に背の高い駅名標が立っているのも特徴的です。 

列車は益々自然の景観へ。
トンネルで山を貫くのではなく、険しい海岸沿いを走っていきます。

途中の普通列車しか止まらない駅も、海沿いの小さな玄関口って感じがします。

少し出っ張った先に位置するのが、本州最南端の地「潮岬」です。

潮岬へは串本駅からバスがあり、10分ほどになります。

最南端を過ぎて、紀伊半島も東側に来たということ。
潮岬と隣り合うようにして、紀伊大島が浮かびます。

みどりの券売機も無い小さな駅ですが、古座駅にも停車。
こういった駅でも特急が停まり、大切な交通手段です。

古座川町はこの古座川を渡って内陸側。川沿いの平地に集落が広がって、独特な一枚岩などの景観があり、古座川と共に営む町です。

列車は鬼の洗濯岩みたいな、岩肌を海面に現す横を駆け抜けます。陸地側は砂浜なのに奥は岩という、あべこべ感です。

一方で、細かい砂が波に巻き上げられる光景も、非常に綺麗です。

何十頭、何百頭ものパンダと駆けてきた、特急くろしおの旅もそろそろ終わりとなります。

1140 紀伊勝浦駅 着
列車はJR西日本とJR東海の境界駅、新宮駅が終点ですが、今回は紀伊勝浦駅で下車。

目が充血したパンダを見送ります。

ここは熊野速玉大社への玄関口ということで、跨線橋が朱色に塗られていました。

那智勝浦町はマグロや黒飴も有名。お土産屋さんを中心としたお店が立ち並んでいます。

ここから乗車するのはJR東海の特急ワイドビュー南紀です。
この列車はJR西日本エリアの新宮〜紀伊勝浦に乗り入れています。

2020年、特急南紀からはグリーン車が廃止され、繁忙期を除いて2両編成が基本に。
こうしてみると本当に寂しい長さですね。

国鉄民営化時代に作られた車両なので、ある程度のふるさは感じます。2022年夏には特急ひだでHC85系がデビューしましたが、この車両が特急南紀にも導入される予定です。

1223 紀伊勝浦駅 発
一方で、キハ85系で一番良いところは、この前面展望を楽しめる所。
自由席なので、最前列は早いもの勝ちになります。

那智駅を通過中、堤防の向こう側は穏やかな砂浜です。海水浴場もある那智津浦海浜公園で、特急が停車していた過去もあります。

三輪崎〜新宮では紀勢本線で最も険しい海岸沿いを走ります。
大きな岩々の向こうにいつまでも太平洋が続く光景は壮観です。

その直後には王子ヶ浜を駆け抜けており、景色の変化が激しいです。

和歌山県最後の駅、新宮駅に到着です。
ここでJR西日本エリアは終了となります。

運転士さんもJR西日本の方からJR東海の方へ交代されます。

新宮駅を出発しまして、まずは熊野川を渡ります。
この川が県境となっており、三重県に入りました。

その先にあるのが、鵜殿駅。
旧鵜殿村は2.88㎢で日本一面積が小さく、日本一人口密度が高い市町村でした。
2006年に紀宝町と合併したことで、この村は無くなってしまいました。

阿田和駅には、入鹿鉱山で採掘した銅が索道で運び出されていました。ここから鉄道で新宮方面へ輸送していたのですが、鉱山は1978年に閉じられています。
紀州鉱山鉄道の廃線跡は現在、鉱山トロッコ電車として観光資源に活用されています。

熊野市駅に到着しました。
コロナ禍前、熊野大花火大会開催時には名古屋まで夜行列車が走っていたのですが、復活するのでしょうか。

大泊駅近くには、2021年に全通した熊野尾鷲道路の終点、熊野大泊ICがあります。
ここから先も和歌山方面へ伸ばされる予定で、特急列車はいよいよ厳しい状況に立たされます。

紀勢本線の秘境駅ともされる、波田須駅を通過。
アニメ「凪のあすから」の聖地としても認知されており、人気のスポットになりました。


真っ白な砂浜に孤を描いた水面が見えてきました。この新鹿海水浴場は日本一美しい海水浴場として紹介されることもあります。

その最寄駅である新鹿駅で特急南紀と行き違い。
連結できる貫通型の顔も、強面でかっこいいですね。

紀勢本線はここからトンネルが増えます。
紀勢本線が全通したのは1959年、新鹿〜三山里が最後の開通区間でした。新しい技術が投入されているので、当然トンネルが多くなる訳です。
紀勢本線は意外にもその歴史が浅く、全通からは60数年しか経っていません。それだけ紀伊半島は厳しい地理状況なのですね。

リアス式海岸の出っ張った部分を切り取るようにして線路が貫いており、その切り込み口部分では海が見られます。

通過しているのは三木里駅、ここまでが最後の開通区間です。
名古屋方面からの列車はここで折り返していたということ。2005年に交換設備も撤去され、今では完全な棒線駅です。

尾鷲駅に到着。
台風の通り道にあり、降水量日本一の地域。
東海地方の方なら天気予報で聞きますし、全国的にも台風中継されがちです。

トンネルと言うより、鉄路が山を切り開くようにして走ります。

紀伊長島駅は紀勢本線の中で、運行上重要な駅です。ここで運転士さんが交代されました。

紀伊長島駅を出発したところで、海とはお別れです。

志摩半島を迂回するなんてことはせず、名古屋方面へ山を突っ切ります。

紀勢本線の上を直交する紀勢自動車道、すぐ右側には紀勢大内山ICが位置します。
近くには全国的にも珍しい個人経営の動物園、大内山動物園があります。ライオンやトラなども飼育しているという、とても面白そうなところです。 

滝原駅にて普通列車と行き違い。
まるで東海道本線などの313系電車ですが、ここは非電化区間。デザイン的には瓜二つのキハ25系です。

栃原駅にて運転停車し、特急南紀と行き違いました。
特急列車であっても単線なので、このように扉を開けない停車が行われます。

伊勢・鳥羽方面から参宮線が合流してきました。
参宮線に特急は走っていませんが、名古屋からの快速みえが結びます。

乗換駅となるのが、ここ多気駅です。
津・松阪からの普通列車は伊勢市方面へ向かい、紀勢本線は多気駅が発着地。運行系統を考えれば、紀勢本線の起点は多気駅の方が自然です。

それでも紀勢本線はまだ続きます。伊勢市方面から来た近鉄山田線が並行してきました。

松阪駅に到着。
この駅は近鉄とJRの共同駅となっていて、改札も同じです。松阪牛の駅弁も有名ですが、予め列車を指定して連絡しておけば、扉のところまで届けてくれます。

松阪駅を発車するところで、伊勢市方面への近鉄特急がやってきました。名古屋〜伊勢はJRと近鉄の競争が激しいですが、近鉄のほうが輸送力に長けており、シェアも占めているでしょう。

JR東海で一番のローカル線、名松線が左手に分かれていきました。

近鉄線は今度は左側に。JRがすり抜けている津新町駅は割と大きな駅ですが、乗り換えはできません。

1512 津駅 着
津駅は松阪駅と同じく、JRと近鉄が改札を共有している駅です。

特急南紀はこの先第三セクター、伊勢鉄道へ入ります。今回は紀勢本線に乗らなければならないので、ここで下車しました。

JR東海の駅名標の向こうには、近鉄アーバンライナーが停車中。まるでHC85系が停まってるみたいですね。

無機質でありながら昔ながらの立派な駅舎。中には商業施設が入居しています。

1608 津駅 発
JR東海エリアで見慣れた顔、それでも気動車のキハ25系に乗り込みます。

伊勢鉄道が四日市・名古屋方面へ分かれていきました。特急南紀や快速みえがここを走り、名古屋から伊勢・紀州方面へのアクセスを向上させています。

下校時間ということで、一身田駅には大勢の高校生の生徒さんが列車を待っています。
ちょっとこれは二度見しましたよ(笑)

1628 亀山駅 着
これによって和歌山市〜亀山の384.2kmの旅を終えました。

紀勢本線の0キロポストも立っており、ここが起点だということが示されています。

ここ亀山駅はJR東海とJR西日本の境界駅。
向こうにはJR西日本のキハ120形が停まっています。

亀山駅では駅前広場整備の工事が行われている所。どうやらロータリーの待つ場所に屋根が付けられるようです。

これから向かう関西本線、名古屋〜亀山は電化されています。

1724 亀山駅 発
これまでディーゼル音を聞き続けていましたが、電車として静かに出発。

津駅から短絡線としてやって来た、伊勢鉄道が合流してました。
元々は国鉄伊勢線だったのですが、路線自体の運賃収入が少なかったため第三セクターになっています。

1752 四日市駅 着
四日市市は三重県で一番の町。旅客ホームに隣接して貨物駅があり、コンテナが積まれています。

ちょうど赤い機関車もいて、石油タンクを連ねているところでした。

しかし、駅舎を見てみるとかなり寂しい雰囲気。
完全に貨物駅と化しています。

ちなみにこちらが近鉄四日市駅。大きな近鉄百貨店と一体化しており、もはや比べ物になりません。

2043 四日市駅 発
近鉄四日市駅近くでご飯を食べまして、四日市駅から再開。

桑名駅は2020年に新駅舎となり、JR・近鉄・養老鉄道の改札は全て別になっています。
元々は津駅・松阪駅と同じような共同改札でした。

弥富駅のホーム向かい側に停まっているのは、JR東海にはふさわしくない赤い電車。あちらは名鉄尾西線です。
弥富駅はJRの駅ですが、名鉄が3番線を使わせてもらっている状態になります。

名古屋駅が近くなってくる所、左手の車両基地にはキハ85系、HC85などが停まっていました。
名古屋駅のビル群をバックにした、車両基地の夜景が非常に綺麗ということで有名です。

2131 名古屋駅 着
中京圏で一番の大都会。駅ビルの下には特急しなの383系電車が停車中です。

偶然ホームで、動画投稿者のスーツさんとお会いできました。この旅行のこともご存知頂いており、とても嬉しかったです。

さて、ここからはちょっとルートを外れまして、寄り道をしてきます。ルートに復帰するのはここ名古屋駅からです。

今回もご覧いただき、ありがとうございました。