④チューニングがもたらすもの | てるみん&すらいどぱんふるうと道場

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スライド笛と電子楽器テルミン 奮闘記

前回記事【番外編】にも関連しますが、この楽器においてのチューニング作業は、自分でその感覚をつかむことに大きな意味があります。

 

 

 

小さい頃、初めて自転車の補助輪を外して乗る練習をしたとき、ふらふらしながら何回もこけて、バランスを身に付けていったのではないでしょうか。

 

乗れるようになってしまえば、特に意識することなく、スッとバランスがとれています。

 

 

 

この楽器においてのチューニング作業も、最初のうちは少し時間がかかるものです。

 

しかし、その感覚をつかんで慣れてしまえば、そんなに時間のかかるものではありません。

 

逆に、先ず この感覚をつかまないままでは、ちょっと弾きこなすのは難しいかもしれません。

 

 

 

と言いますのは、この楽器のチューニングは、チューニングが合えばいいという問題ではないからです。

 

他の楽器は、たとえばギターならば、それぞれの弦を基準の音にチューニングします。

そして、誰かがチューニングしたものを、他の人が弾いても大丈夫です。

 

ですが、この楽器はそういうわけにはいきません。

まわりの環境、気温などに加え、演奏者の体格が大きく影響します。

他の人が代わってチューニング作業することができないのです。

 

その点は管楽器に多少似ていると思います。

 

 

 

 

そして、ここからが重要なポイントですが、

 

演奏者の体格とともに、楽器に対する立ち位置、姿勢、手の軌道が大きく関わってきます。

 

それらがいいかげんだと、毎回、同じようには鳴ってくれません。

個別の部分的なものではなく、全てひっくるめた総合的なバランスです。

 

そのうえで、はじめて微妙な違いを見極める感覚が養われます。

 

 

チューニングの時点で 既に演奏者の心構えが試されているのです。

 

 

 

 

演奏前に いつも、書道で硯に墨を磨るような気持ちで、こころをおちつかせ、自分と楽器との信頼関係を構築する時間が、この楽器のチューニングだと考えています。(あくまでも個人的見解です)