本校の美術教師でもあるH先生の個展が地元のデパートで開催されました。
二紀展や安田火災美術財団奨励賞や宮崎県美術海外留学賞受賞など輝かしい実績を持たれた方です。
先生の作品のテーマの一つに、長崎の軍艦島からモチーフを得た 『風の砦』『風の彷徨』『風の架け橋』など、一連の『風』をテーマにしたシリーズがあります。
今回の個展でも 『風の~』の作品が半分近くを占めていたのですが、そのうちの最も印象に残ったのがこの二つ。
荒涼とした大地にたたずむ石造りの巨大な砦。
人の気配はなく、わずかにそのまわりを青と白の鳥が舞っている。
砦や大地から立ち上る煙、僅かに風にたなびく赤い旗。
それが風化してゆく人の営みの象徴のように思える。
天から堕ちてきたのか、天に突き刺さったのか。
むなしい空間に浮遊する石の建造物の不気味さ、脆さ。
まるで黙示録のように、文明の危うさを象徴しているように思える。
この個展を見た多くの人がもらした感想。
「この砦は、まるで今の原発のようだ。」
石は崩れ去るにまかせておけばよいかもしれぬ。
しかし、原発はぼろぼろになっても人間はこの鬼子を抱え込まなくてはならない。
原発とともに人間が滅びることは許されないのだ。
そういう思いを感じ続けた個展でした。
今日もウィノローグに来ていただきありがとうございました。
原発。日替わりで問題が出てくる。
相当長期にわたる戦いとなるのだろうと予感されます。