通夜に行く。
暮れなずむ山並みをながめる葬祭場。
周辺の広場という広場を埋める車たち。
焼香した人は2~300人はいただろうか。
卒業後、初めて顔を合わせた元同級生たち。
式場に流れる文化祭での合唱。
式場入り口に飾られた写真の数々。
導師の読経前にすすり泣きの声が聞こえる。
仏式の通夜が終わり、棺に納められた顔を拝む。
事故が事故だっただけに、拝むことができたのはよかった。
……しかし、もっと生きていたかっただろうに。
ご両親、ご姉妹、ご祖父母の方々の形式ばった応対の奥に、やるせない悲しみがあふれている。
残された人々の悲しみ、尽きせぬ思い。
春の夜の通夜は、いっそうさびしい。
どうか安らかならんことを。