これまたご大層な書き出しかと思われるかもしれませんがマジです。


― Sleeping Workers ―-kimonos

KIMONOS 『KIMONOS』

ちょっと真面目に考察しつつ大絶賛してみようと思います。

まず、衝撃だったのが"Soundtrack to murder"のPVの完成度。
一見した時に"Zegen vs Undercover"の時みたいな撮り方が相変わらず好きなんだなあ、と
思ったのも束の間、ナンバガの頃と全く異なる事に気がつきました。
ナンバガのPVって向井秀徳のベクトルをそのまま体現したような印象をずっと受けていて
それはつまり「向井秀徳はこんなことがしたい(目指すべき方向性はコッチ)」という矢印そのものだった。
ところがどっこい、KIMONOSはいわばスカラーというか現象そのもので、
それは、受け手に全てを委ね、説明というものをしてはならない芸術という分野において
最も基本、かつ最も純粋な表現です。
そしてそれが、ものすごく雄弁なのに寡黙なわけです。
「研ぎすました」「削ぎ落とした」「緊張」「クール」「和洋折衷」「陰影」という
おそらく表現者(KIMONOS)が表現したことと
受け手(視聴者)が感じることに、寸分の狂いも生じていないのではと思うのです。

五分五分の凄み。
向井秀徳という唯一無二の巨人がLEO今井という知名度の低い若いシンガーに歌わせた
という類いのプロジェクトでは断じてなく、
同じベクトルを持つ優れた音楽家2人が、
共闘しているような、
居合の仕合をしているような、
抜き身で斬り結んでいるような、
もの凄く質の高い緊張感を体験させられる新たなデュオ。

言葉の凄み。
"Soundtrack to murder"の「Warning head to head」という
日本語ではない言語で歌われる日本の場面。
"Miss"の「エコーするせせら笑い」「聖歌隊がうるさい」なんて言葉はどこから出てくるんですか!!
"Almost Human"のメッセージなんて、ずっと歌われてきたことのハズなのに
どうしてこんなに身に沁みるんですか。。

この2日間、インタビューやレビューを読み漁っていて、
何とかKIMONOSを読み解こう読み解こうとしているのですが
聴けば聴くほど、それらで語られた情報が尽きる事無く溢れ出してくることへの驚き。
極めてシンプルな楽曲だからこそ、尚更驚きが大きいのです。

10年に1枚有るか無いか(そして有った)の大傑作だと思います。

「鼻血ブー」の続きを書こう書こうと思っていた矢先に、その意思が霞んでしまいました。


追記)
初めてPVを観た際に感じた違和感は、「LEO今井=照英(もしくは田口トモロヲ)」ということで片が付きました。