珍しく脳みそをフルに稼働させて試験に向けての勉強をする。
脳にも体力がある。働かせることが「珍しい」なんて表現出来ちゃう間は駄目。
すぐ疲れる。疲れたら休みたくなる。疲れたら眠くなる。逆らえず眠る。



僕は夢の中で水色の湖とエメラルドの樹木に覆われた
幻想的で美しい湖畔を自転車で走る。走る。ひたすらに走る。

目の前に富士山が見える。視界を遮るものはない。とても大きい。
ある種の恐怖を感じる程の存在感がそこにはある。
自転車を止めて携帯電話を取り出して写真を撮ろうとする。
ブログにでも載せよう、という平凡な考えである。

携帯の画面に映る雄大な富士山に動きがあることに気付く。
画面を覗き込む僕の足はすっかり止まっているのに
どんどんと大きくなる。威圧感を増す。
その全景を捉えるようとして画面を調整するが
膨張を続ける富士山は直ぐに画面いっぱいに広がってしまう。手こずる。

山が急激に膨張するなんてことがありえるのだろうかと考える。
考えて手を止める。携帯を閉じる。画面に集中していた視界を戻す。

間違いを知る。
膨張でなはい。前進だ。
山が、それも日本一の山が、音も立てず動いている。

ぼんやりとした恐怖が鮮明になる。
富士山が進むその先に僕がいる、と感じる。
ここに留まっていてはいけない、逃げなくてはいけない。

携帯を鞄の中のポケットにしまう。鞄は自転車の籠に入れる。
自転車に乗り、来た道を戻ろうとする。逃げようとする。
先程までの幻想的な景色が色を失っている。
白と黒の中間の色。随分と退廃的な色になっている。
一体何が起こっているんだろう。

熾烈な恐怖を背中に感じ振り返る。
富士山が僕の背中のすぐ後ろにまで来ている。逃げきれない。
富士山に手足がある。目の前の異常な光景と恐怖で心が乱れる。
富士山の手がこちらに向かって伸びる。簡単に捕まる。
殺される、と思う。あっけないな、と思う。
覚悟を決める。目を瞑る。

…死なない。殺されない。

富士山は僕の服を剥ぎ取る。
色を失った樹木の枝が無数に伸びてきて
僕の手足を縛る。色を失った地面に固定する。

富士山が覆い被さってくる。僕は富士山に犯される。
快感の欠片もない。恐怖恐怖恐怖。泣き叫ぶ。
やめてくれ、やめてくれと声を上げ続ける…



…という所で目が覚める。

近年稀にみる超不可思議、超不愉快な夢だった。
大体山に犯されるって何なのそれ。どういうことよ。
自分の脳みその奇天烈振りに呆れ返る。まったく。

マボロシ - THE ワルダクミ


休む為に眠ったのにこれっぽちも休まった気がしない。
好きな音楽を流して無理矢理気合を入れて勉強を再開。
最近よく聴いているマボロシ。

今日の試験はあらかじめ問題が提示されている。
だからと言って楽は出来ない。非常に難解な論述を要求される。
提示された問題は5問。実際に試験に出るのはこの内2問。

つまり5問全ての回答を用意しておけば完璧ってわけだけど
いや、これがね、無理。一晩二晩でどうにかなるレベルではなかった。
現時点で僕が回答を用意したのは3問。これが出そうだなあって思った3問。
根拠はない。勘だ、勘。