後輩の作詞家から「SP盤ってなんですか?」って聴かれたのですが、、、
そ、そうか、、知らんのかぁ……、無理もないです。
100年前の音楽のフォーマットですから……(笑)
でも、この「100年前の……」って言うのが侮れないんですよ、音楽の場合は。
あたしのように音楽をやっている人だったら、当然時代のトレンドも汲んで、最新のデジタルなものも使えないと仕事にはならないんですが、でも同時にちゃんと昔のも良い物を知らないと、ですね。
SP盤、簡単に言うと、「蓄音機用のレコード」の事です。
蓄音機に関しては以前のブログにちょっと書いてありますので、そちらをお読み下さい。
SP盤、パッと見はレコード(Vinyl)と同じですが、材料もフォーマットも異なります。
先ず時代ですが、明治時代からあります!
そして、家庭で音楽を聴くフォーマットが、1950年代にSP盤からレコードへ取って代わられて行き(その頃ちょっと両方が被ってますが)、大ざっぱに言うと、50年代より前の時代がSP盤で、それ以降がレコード(Vinyl)と思っておけばいいかと思います。
そうすると、、、ロックが登場したのがビートルズ(1962年)だとすると、「ロックのSP盤」ってのは無い事になりますね。
因みに日本では、その62年でSP盤の製造は中止されたらしいです。あたしの生まれた年です。
ですが、実はインド、フィリピン、アルゼンチンあたりでは、60年代に入ってからもSP盤が製造されていて、インドではビートルズのSP盤があったのだと聴いています(笑)。マジか!インド旅行に行く人、あたしのお土産はそれで(笑)。
ロック以前のR&Rやロカビリーの時代は、SP盤全盛期でもあります。ですから、プレスリーの全盛期はSP盤の時代ですね。
先日、小泉先輩の家で、SP盤でプレスリーを聴きましたが、まさに感動でした!!
あたしは、CDやレコードで何度もプレスリーは聴いてきましたが、今まで味わった事のない、すごい説得力がありました。
その時代の音楽を、その時代の聴き方で聴いているわけですから、そりゃそうですね。
一緒にいたお友達(拉麺店経営)は、
「僕は音楽は詳しくないんで……」
などと言ってましたが、そんなのは関係ありません。
一旦音楽が流れると、
「感動で泣きそうです!」
と言ってました。そうです、素直に聴けば、そのすばらしさは誰にでも伝わるもんです。
後日、彼は蓄音機を購入。店に置くんだそうです(笑。ラーメン店にジャズは、醤油の味と音がかみ合わないからやめてくれと言ったばかりなのに……笑)。
でも、そういう姿勢、流石です!!
レコード(Vinyl)とSP盤、互換性があるかと言われると、「あるにはあるが、普通はない」と答えてしまいます。
レコードには「回転数」ってフォーマットがあります。
これは、1分間にレコードが回る回数を表した物で、それがそのレコード(Vinyl)のフォーマットになります。
レコード(Vinyl)は一般的に、33回転(実際には33回と2分の1です)と45回転の2種類があるのですが、SP盤は78回転となっています。
SP盤は回転が速いので、収録時間が短いんです。
「一般的に」と言ったのは、実は昔は、それ以外の回転数の物もあったらしいです。あたしは見た事が無いですが。。。
今のレコード・プレーヤーは、回転数の切り返スイッチがついていて、33回転と45回転の2種類から選べますが、昔のレコード・プレーヤーには、それに足して「78回転」と言うスイッチが付いていた物もありました(今は殆どない)。
それでSP盤を掛ければ再生出来たのです。「針で盤の溝の横の振動を拾う」と言う原理は同じなので。。
あたしも子供の頃、父の所有してたSP盤をそのフォーマットで聴いた事があります。
でも、蓄音機にはそんな切り替えスイッチはありませんよ。ヴォリュームすらないですから(笑)。
当然、蓄音機(アコースティック)でSP盤聴くのと、78回転対応のレコード・プレーヤー(エレクトリック)で聴くのとでは、感じる物が違う筈です。
因みにレコード・プレーヤーの針圧と蓄音機の針圧とでは、蓄音機の方が50倍以上重いです。ですから、蓄音機でレコード(Vinyl)を掛けたら、回転数が速くなって音程が上がるだけでなく、その針の圧力で盤がボロボロになりますので、決してやってはいけません。レコード盤がかわいそうです。。。
盤の大きさですが、レコード(Vinyl)は7インチ(EP)と12インチ(LP)が主流。
SP盤は10インチと12インチが主流です。
これも実際には、他の大きさのもあるにはありますが、ほとんど見る事はないです。
材質。
レコード(Vinyl)が塩化ビニール、SP盤が「シェラック」と言う材質です。
シェラックの方は、蓄音機の重い針に耐えられるようにつくられています。でも、落とすと割れてしまいます。。。
材質が違うと、メンテナンスの方法もまるで変わってきます。
シェラックはアルコールに溶けるので、レコード(Vinyl)の洗浄液は使えません。
レコード(Vinyl)、SP盤のメンテの仕方には、「正解は無い」と言われてます。つまり、10人いれば、10通りのやり方があるわけです。
面白い物で、レコード(Vinyl)もSP盤もアナログですから、聴く度に出て来る音が違って聴こえます。
やはり時間をかけて綺麗にメンテしてやると、その時はいい音で鳴ってくれます。ノイズが減るだけでなく、低音の出方、高音の伸び、音量も変わります。
もちろん、簡単にチャチャっとメンテして掛けてしまう時もありますし、それで充分満足する時もあるのですが……。
中には「時間の無駄、レコードなんだから……」と言う人もいますが、その人がそう考えるのならそれでいいと思います。その人なりの聴き方で、あたしはいいと思ってます。
ただ、あたしは、レコード盤を大切にしたいと思うのと同時に、あたしも音楽を創ってる者のはしくれとして、そのレコードの制作者たちの想いに報いたい、という気持ちでレコード(Vinyl)やSP盤を聴いてしまうので、時には聴く時間よりもメンテの時間の方がが長引いてしまう本末転倒も、あまり苦ではないのです。
レコードで音楽を聴く前のルーティンみたいなもんです。茶道とかと一緒です(笑)。
10代〜20代の頃はただただ「面倒臭い」と思ってたのですが、昨年レコードを再び聴きはじめるようになってから、なぜか全然そのように思わなくなっているのであります。不思議ですね。
この1年で、レコード(Vinyl)とSP盤、多分延べで、2千枚はメンテしたと思いますよ(笑)。CDも入れると4〜5千枚はやりましたよ。
実は引っ越しを機に、カビ埃等を新居に持ち込みたくないと言う理由で、CDを全部メンテナンスしたので、一時期は一日に5時間以上やってました。まさに労働です。これは流石に辛かったです(笑)。ちなみにCDは綺麗にメンテしてもしなくても、毎回同じ音で再生されます、、、、エラーはなくなりますが、個人的にはつまらないです。レコード(Vinyl)やSP盤は綺麗にすると、それに反応してくれますから。←あたし、恐いですね(笑)。
さて、今日もこんなところで、、続きはあした。ではまた!