あたしは昨年の5月に、何十年かぶりにレコードと再会しました。
それまであたしのレコードは、レコード・プレーヤーがなかったので、ずっと眠ったままでした。
一時、安いレコード・プレーヤーを買って聴こうと試みましたが、針飛びが酷く、あっという間に挫折、、、。
レコードの針・カートリッジには「針圧」というものがあって、それをプレーヤーのアームのお尻の所の重りで調整をします。ところが、余りに安い機種にはそれがなく、多分、そんな事も針飛びの原因だったのではないかと思ったのでありました。
んで、去年の5月です。
後輩のT君が、彼のお下がりのデノンのDP-300Fと言う機種を1万円で売ってくれるっちゅうことで、とりあえずは今度はそれで聴いてみる事にしました(昔はみんな「デンオン」と言ってましたが、いつの間にか世間では「デノン」と言うようになってました。浦島太郎)。
サンスイのプリメイン・アンプは半年前に断捨離してしまいました……。捨てなければ良かったか……しかし。
やっぱり、仕事で使うシステムで鳴らさなければ、自分の場合は意味がないかもなぁ……と言う事で気を取り直し、とりあえずはベリンガーのフォノ用の3千円くらいの安いI/Oを買ってみて、それでMacとプレーヤーを繋ぎ、あたしのニアフィールド・モニターから音が出るようにしてみました。
あたしたち作曲家の殆どは現在、大体コンピューターを使って仕事をしています。クラシック系の人でもノーテーション・ソフト(楽譜作るソフトで音も出ます)くらいは使っています。ポップス系はほぼ100%、DTMソフトを使っているのではないでしょうか?
因みにあたしはコンピューターはMacで、メインがLogic Pro、ノーテーションはSibeliusです。この辺の事はいずれ改めて、詳しく書きますね。
さて、話を去年の5月に戻して……、
レコード・プレーヤーをアンプなどに繋ぐのには(CDプレーヤーなどと違って出力レベルが低いので)、信号のレベルををちょっと上げてやんないといけません。オーディオ用のアンプだと、レコード・プレーヤーを専用で繋ぐ為の入力端子の「Phono In」と言うところが有って、そこに繋げばそれでOKなのですが、それがない場合は「Phono イコライザー」なる物で、入力を増幅させてやる必要があります。幸い、友達から買ったDP-300Fはそれが内蔵されているので、そのスイッチをONにするだけで、普通にライン入力にさせば音が出ます。因みにベリンガーのI/Oも「Phono イコライザー」が内蔵されており、そのスイッチがありました(こちらはOFFですが……)。
再びプレーヤーを買ってレコードを聴こうと思ったのは、どうしてもCD化されてない、レコードにしかない懐かしい曲を聴く為と言う程度の想いだったのですが……。
そしていよいよレコード、、、音を出してみてビックリ!!
「こ、こんなに音がちがうの?!」
CDやファイルで聴くのとこんなにちがうものなのか!と驚きました。
高音は、鋭く切れが有り、しかし痛くない心地いい音。
低音は、よりリアルで音が近い。迫力はあるのに、無駄な嫌な圧力を感じない。
ベースにギターにドラム、、、本当にそこで演奏してる様なリアル感たっぷりの音です。
レコーディングしていると、それぞれの楽器の音をソロで聴く事が出来ます。しかし、色々な楽器が入ってくる事で、他の楽器と音が混じり、倍音がマスキングされ、プレイのピュアな感じが失われて行きます。
ところが、レコードでは、まるでそれぞれの楽器をソロで聴いているようなセパレーション・分離感があり、とってもリアルに聴こえるのです。
なにより、音楽の説得力がすごい!そして分かりやすい!
そのアーティストが伝えたいことが直に伝わってくる。まさに衝撃でした!
まあ、レコードの良い所を書くとキリが無いのですが……。
なんか、あたしは何十年も損をしてたような気にすらなりましたよ、ホント(笑)。
それ以降、あたしの家に来た音楽仲間にも、音楽関係でない人にもレコードとCDの機器比べをしてもらいましたが、「僕にはわからないんじゃないでしょうか?」と言ってた人でも「うわぁ、全然違う!」となりました。
作曲家仲間やミュージシャンはこれが分からないようではおしまいです(笑)。レコードはプレーヤーの場所もとるし、置き場所に困るので、音楽家でも現在レコードで音楽を聴いてない人の方が圧倒的に多いです。でも、聴いている人が口を揃えて言うのは、レコードの方が圧倒的にいい音がすると言う事です。
因みにあたしがこれまで聴かせた音楽関係以外の人は、女優さん、車のディーラーの営業マン、小学校の先生、中学校の先生、ラーメン屋さん、お巡りさん(教え子です)、電機メーカーのエンジニア、娘婿、ご近所さん、、、などなど、、。
違いはみんなが感じてくれて、その打率は10割、みなさん驚いておりました(笑)。
で、結局はプレーヤーも買い替えて、入力はベリンガーのI/Oではなく、あたしのメインで使っているのUADのI/Oに差し替え、現在はLogic内でマスタリングしながらレコードを聴いています。この辺のこともまた、いずれ詳しく。
レコードと運命的な「感動の再会♡」を果たしたあたし。
ここ数年は「仕事なので冷静に音楽を聴く」って感じでした。どうしても音楽を分析しちゃうんです。。
それでも量は相当聴いてますよ。
あたしのiTunesの中には200ギガちかいMP3が入っていて、いつでも直ちに聴きたい物が聴けます。
ジャンルも自分なりに130位のジャンルに分けていて、リリースの年代も正確に記してジャケットの画像もそれがあるものは100%入れてます。作曲家仲間はそれをみると、必ず感心してくれるんですよ、別に嬉しかないですが(笑)。自分でも、「オレっち、意外と几帳面なんだ……」と思うほどです(笑)。
……仕事ですからね。
ですから、楽しんで素直な気持ちで聴けるのは、酔っぱらってる時だけだったんです、ここ最近は。
が、レコード聴くようになり、今は普段でも「音楽聴けばワクワクする」って感じです。
しかも、何かをしながら音楽を聴くのではなく、若い頃のように、「音楽聴く為だけの時間」を作って、楽しんで聴けてます。
冷静に聴いて、音楽を分析するのはいつだって出来ます。大事なのは、理屈抜きで楽しんで聴けるかどうかです。
それがまた出来るようになったのが、ホント、とっても嬉しいです。
レコードさん、ありがとう!!!!!
って、今日はこんなところで。
続きはまた明日!
↑デノンのプレーヤー。
これは後輩から買った物ではないです。次に買ったやつ。
やっぱりこっちの方が音が安定してる。