compnehano1972のブログ

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 子供の頃私は体が弱かった。月に一度は必ず熱を出し二三日学校を休んだ。すぐ近所に医院はあったのだがそこは評判が悪いということで三十分ほど歩いて隣町の医院に行った。その評判の悪い医院は私が小学校のうちに夜逃げした。熱があっても隣町の医院まで苦もなく歩いたのだからそれほど具合は悪くなかったのだろう。医院に行くとすぐ注射をし喉に薬を塗った。今はこんなにすぐに注射をすることはないだろうが当時はすぐした。医者が注射をしなさそうだなと感じると一緒についてきた祖母が、先生注射は、と催促した。病気には注射が効く、注射をしなければ治らない、と当時の人は固く信じていたに違いない。昔と今とでは違うことがいくつもある。水を飲ませるなと言ったり飲ませろと言ったり、温めろと言ったり冷やせと言ったり、様々な事態で対処法が百八十度違うのには驚く。今のほうがきっと正しいのだろうが、そうなると昔のあれはいったいなんなのだ。それなりに科学的合理的客観的に研究した成果だったはずだが、そうなると科学的も結構怪しいものということになる。今の治療法が五十年後にはまた百八十度違うことだって、十分にありうる。人間社会は常に過渡期、生物としての人類だって進化、もしくは停滞か退化、の途中にあるわけだからだ。人類の次の世代はどんな生物が出てくるのだろう。地球上の生物で人類以外は体を環境に適応させる。人類は脳を発達させ環境を体に適応させて来た。方向性とすればやはりこれなのだろうが、社会が肥大化複雑化し、脳が環境は適応させられても社会をさせられないと言うことだってある。人類は社会がなければ生きられないが、その必要不可欠の社会が刃となって自らに降りかかり人類を滅ぼす、SFだね。  さて、元へ戻って、体の弱かった私はこの毎月熱が出る状況をどう感じていたのかだ。それはもちろん病気は気分が悪いので病気をしない強い体になりたいと思っていたことはいたが、月に一度同級生たちみんなが授業で苦しんでいる時に家でぼやぼやと寝ていられるのは嬉しくないこともなかった。熱を出すと普段は怒ることしかしない母親も突然やさしくなり、美味しい果物を持ってきてくれたりジュースを飲ませてくれたり、こんなことは元気であれば絶対にないことだ。自分は他所から貰われてきた子なんじゃないかと思いも、病気をすればそれが思い違いだということが分かる。真っ昼間に何もしないで寝ていられることも嬉しかった。二つしかない部屋の一つを占領し布団を一つ部屋の真ん中に敷いて襖を締め切り個室にしてそこで寝る。家の中の物音や部落の他の家から聞こえてくる物音など、午前の遅くや午後の早くにしか絶対に味わえないような気怠い長閑な気分を味わえた。買い物に行っていた母親が帰って来た音がするとすぐに襖が開いて、マガジン買ってきてやったよ。病気にでもならなければこういうこともまあない。私は腹ばいになって漫画雑誌を読みふけった。  しかしこのように待遇がいいのも病気になった初日だけ、二日目になると、まだ熱あるのかい、という顔をされるし、三日目になったら熱があるにもかかわらず布団を上げられかねない。病気は二日の間には必ず治さなければならないものだった。  熱が下がれば学校だ。月曜日に学校に行くより病気明けの学校の方が嫌だった。特にそれが土曜日だったりすると、半ドンなんだからもう一日くらいいいじゃない、と言いたくなる。二日も寝ていて朝早く起きると少し体がふらつくし、歩くと息が切れる。通学路で友人に会ったりすると頭が痛くなる。月一回必ず学校を休む私だから友人たちもそれをよく承知していて、病気が治って学校へ出ても、病気治ったのとか、大変だったねとか、苦しかったかいとか、そう言った慰めの言葉は一切なかった。あるのは、またサボったな、の視線だ。もちろん先生たちも体の弱い私に同情を寄せることは一切なく、普段は当てないのにそう言う時だけは二回も三回も当てたりした。昔は小学校でさえも弱肉強食だったのだ。 「蹲る闇」 ー日常に潜む非日常、  不連続世界をめぐる四つの中編小説ー http://www.amazon.co.jp/%E8%B9%B2%E3%82%8B%E9%97%87-%E7%9C%9F%E6%99%B4%E7%8C%B4%E5%BD%A6-ebook/dp/B00HBYEU2C 「月と星」 ー絹の街が紬出す愛と憎しみのサスペンスー 母が着た紅色結城は六道の迷い道 http://www.amazon.co.jp/%E6%9C%88%E3%81%A8%E6%98%9F-%E7%9C%9F%E6%99%B4%E7%8C%B4%E5%BD%A6-ebook/dp/B00J62YTW8/ref=sr_1_1?s=digital-text&ie=UTF8&qid=1395619351&sr=1-1&keywords=%E6%9C%88%E3%81%A8%E6%98%9F 「時は魔術師」 ーあの暗い戦争の直前     僕の暮らした街を爽やかに駆け抜けた                女子大生探偵がいたー http://www.amazon.co.jp/時は魔術師-真晴猴彦-ebook/dp/B00N8A9WIK/ref=sr_1_12?s=digital-text&ie=UTF8&qid=1409700806&sr=1-12 真晴猴彦のブログ ...