テリーのバンクラプトと焼鳥屋 | 複雑系レトリック~自営業白書~

テリーのバンクラプトと焼鳥屋

牛!

こんにちは。複雑系自営業者のコンプレクソロジストです。ごきげんいかが?


この写真は那須高原の南ヶ丘牧場というところにいた子牛。




さて本日の話題は昨日の続き、ノリノリのアメリカ人!テリーの話 です。


ものすごい勢いで他人との距離をつめるテリー・・・・


情熱に溢れていて、カッとするとすぐ手が出るテリー・・・・


とにかく日本語がヘタクソなテリー・・・・




彼は私と二人で、梅田の街で弾き語りをしようと誘いました。



練習はどうするん?なんの曲をやるん?って・・・・何回聞いても全部スルー・・・・(笑


聞き取れているのか、いないのか、意味が分かっててわざとスルーしているのか、天然なのか・・私の対人データベースでは対応できないくらい前例のないキャラクターだったもので、にわかには判断できんとです。



早い話がテリーのペースに巻き込まれています。私はテリーが言うとおりにするだけ・・・(笑



当時私はギターをやっていましたが、ずっとエレキギターばっかりやっていてアコースティックギターを持っていません。

心斎橋筋では「浪速のジミーペイジ」と自称するエレキギターの弾き語りがいましたけど、基本的にはやっぱアコースティックじゃないと荷物が大変なんです。



「コンプレさぁんは歌うたいながらバンクラプトのテリーがアコースティックでバンクラプト・・・・」



私、一応ギタリストだったんですが・・・まぁいいか。もうどうでもいいや(笑


テリーは自分が持っているアコースティックギターを持ってきていました。





そしていきなり開始!!!!打ち合わせなし!!!!





ギターを弾きながらでかい声で歌い出すテリー・・・・


ぬおおお!!!やるなーーーー!!!!





テリーがいきなりノリノリだったので、私もつられてでかい声を張り上げます。こうやっていきなりスイッチをオンに出来る人って好きです。


彼が選んだ曲はオーバーザレインボウ・・・・オズの魔法使いのテーマソング。



なるほど、こういうことか。私が歌える音楽を選んで弾いてくれるんだな。



ただ私は歌詞を正確に覚えてないので基本的にテキトウです。私は外国語の音楽をテキトウに歌うのが得意なんですけど、きっと普通にアメリカ人が聞いたら「ちゃんと覚えろよー!」って思うと思います。


しかしテリーは完全無頓着。どうでもいいらしい。


テリーが日本語苦手なのと同じように、私は英語がむちゃくちゃですから、これでおあいこだ・・・



私はちょっとでも知っている曲をテキトウに歌い続けました。

テリーはどんな曲でもすぐに弾けた・・・





ところで私は身長が164センチの小柄なオトコです。


一方のテリーは180オーバーと思われる大男。体重はきっと120キロくらいはあると思う。

まじでレスラーみたいな人なんです。




この二人組の弾き語りというのも、わりと前代未聞だと思う。


当時私は肩くらいまで髪の毛を伸ばしていて一つに結んでいて、地黒のせいでよくタイ人に間違えられていました。

テリーの外見は昨日も書きましたが、一言で言うとテキサスな感じの人・・・



梅田はサラリーマンが多い忙しい街だと思いますが、変な二人組の登場で結構沢山の人が立ち止まってくれました。





同じ曲を何度も繰り返している私たちの弾き語りを聞いてくれる人の中に、一人のお爺ちゃんがいました。


この爺ちゃんはきっと80才手前くらいかなー。



テリーは自分のギターケースを広げていてそこにはパラパラと小銭が入っていましたが、このお爺ちゃんはなんと1000円札を一枚、ギターのケースに入れてくれたんです。



私たちは歌いながら深くおじぎをします。


お爺ちゃんは立ち去ることなく30分くらいずっと私たちを見続けていて、曲と曲の間で私たちに話しかけました。



「あんたアメリカ人かい?懐かしいねぇ懐かしいねぇ。」


テリーはニコニコして聞いています。でも私はテリーが聞いているフリをして全部スルーしているのを知っていました。

興味ないクサイ(笑



この爺ちゃんは若いときにアメリカに住んでいたそうで、テリーを見て、そして懐かしい音楽を聴いて足を止めてくれたのだそうです。


私はわりと爺ちゃん婆ちゃんの話が好きでその話を聞いていましたが、飽きたテリーは一人で歌い出します。まぁいいや、歌っててね。


話をしながらそれを聞いていたお爺ちゃんはついに泣きだしました。いろいろ思いだしたんだな・・・きっと。いろいろあったんだなー。



泣きながらまたしても千円札を渡そうとするお爺ちゃん・・・・


「いやいや、さっき十分いただきましたから・・・」と遠慮する私の手に、強引に千円札を押し込むお爺ちゃん・・・・



この爺ちゃん、結局こんな調子で5000円ほど置いていかれました。この日の私たちの売上の9割を占めます(笑


お爺ちゃんに対する興味をにわかに取り戻すテリー・・・・


あとで話の内容を説明してあげたものの、話のほうはやっぱり興味ないらしい(笑


聞け!!!!







売上をきっちりと山分けし、時間も遅かったのでその日はテリーの家に泊まらせてもらうことにします。



その日の夜中、彼は私をお気に入りの店に誘ってくれました。


テリーが連れて行ってくれたのは、焼鳥屋。




「コンプレさぁんすぐ近のぉーコンプレさぁん自転車ではむらいこーん」



昨日はブロークンジャパニーズを聞き取るのが得意だなんて書きましたが、もうたいがいなんて言ってるのか分からないので私は既に言葉でのコミュニケーションを手放しかけています(笑




テリーは自分のマシン(自転車)を私に見せ、荷台に乗れと言います。言いますっていうか、ほとんどジェスチャーね(笑


自転車に二人乗りですか・・・2ケツですか・・・・・まぁいいや、もうどうにでもしてくれ。




テリーは自転車の後ろに私を乗せて、ものすげぇ勢いで自転車をこぎます。



このオトコ、とにかく体力がハンパじゃねぇ・・・休みなく30分はこぎ続けましたよ。

どこが「すぐ近く」なんだ・・・


しんどそうな素振りをみじんも見せません。


ほんと、この人ってみたいだ。テキサスからやってきた荒ぶる雄牛だ!もうめんどくさいから勝手にテキサス出身にします。




到着した店の焼き鳥はかなり普通でした(笑


ただ、ここのマスターがとっても気さくな方で、テリーのわけわからない日本語にほどよくツッコミを入れたりしていて・・・・テリーがこの店を気に入った理由が分かります





ぶっちゃけると昨日お話した音楽のイベントで、テリーはほどよくつまはじきにされていました。


まぁ、すぐ殴ったりするし、なに言ってるかよくわからんし。


日本人スタッフから見て付き合い難いのは言うまでもありませんが、その他の外国人にとってもテリーはやっぱりブッ飛んでいます。



だけどテリーはシンプルにそのときそのときすごい一生懸命なんですよね。


彼の大事な居場所に私を誘ってくれたのが非常にありがたいと思いました。






翌日、酔っぱらったテリーは当たり前のように寝坊・・・・あ、もちろん私も寝坊。


私は学生だったからかまいませんでしたが、彼は既に社会人になっていて、起きてすぐに会社に電話を入れる姿が情けない・・・(笑




本当に日本人のようにぺこぺこと電話口で頭を下げます。似合わねぇ・・・・


やっぱ電話口でぺこぺこするのって日本人が一番しっくり来るな!




テリーは別れ際、一枚の名刺を私にくれました。




両面印刷された彼の名刺。片方は英語で書かれていますが、もう片面はカタカナで名前がかかれています。


テリーの名字・・・言うとまずいよな・・・たとえばスミスだとしましょうか。テリースミス



彼の名刺には



スミス・テリー



と書かれていました。つまり姓名の順番ってこと・・・




この名刺は会社が発行したものではなくて英会話の先生のアルバイトをしているテリーが自分で作ったものだそうです。

そこで自分の名前を姓名の順で書いてある・・・・私はこれ、結構感動しましたよ!!!




私は前々から日本語を全く話せないことを当たり前だと思っている外国人に納得がいかない面があります。駅で英語をつかって道をたずねられ、分からなくてどぎまぎする日本人もどうかと思います。


だってここ、日本よ!!!



英語は世界共通語じゃないし、英語が通じない国なんて沢山ある。日本で生活したいなら、ちったぁ話せるようになろうって思ってみたらどうだい。


そんな風に思っています。



テリーの名刺は、彼が日本に適応しようとしている心意気を感じさせてくれました。



「コンプレさぁん、わたし日本だいすき日本人すき」




今はどこでなにをやっているか分かりませんが、とっても愛すべきアメリカ人の友人です。