死ぬかと思った
みなさん死にかけた経験はありますか?私は入院もしたことがありませんし、幸い未だに大きな病気は一度も経験がありません。
しかし私は物心付く前に、一度死にかけたことがあります。
物心付く前ですからこのことはまったく覚えていません。家族から伝え聞いた伝説です。
この話には私の爺ちゃんが重要な役割を果たしています。爺ちゃんは10年ほど前に天寿をまっとうして死にましたが、非常に強烈な人物でした。
まず、ウチの爺ちゃんはまともに職に付いたことがありません。ギャンブル好きの放蕩じじいで、仕事を見つけちゃわけの分からない理由ですぐ辞めるという繰り返しだったようです。
一度などは弁当のイモが気に食わないという理由で仕事を辞めたことがあるそうです。本当に意味が分かりません。
そんなわけで婆ちゃんは稀代の苦労人で、婆ちゃんの言うことはとても重みがあります。一方爺ちゃんの言うことは風船のようにスカスカです。
ただ、乱暴なことはしない人でした。純粋に死ぬまで大人になりきれなかっただけで、そういう意味ではみんなに愛される屈託のない人でした。
さて、私の爺ちゃんは、私が生まれてまもなく(長男の孫ということでうれしかったのでしょう)ご機嫌で私を連れ出してうろうろしていたんだそうです。
またこれが悪いことに一杯ひっかけており、かなり千鳥足でした。
事件は起きました。爺ちゃんはこともあろうに階段でコケたんです。
私は爺ちゃんの腕に抱かれていましたが、コケた勢いで遠くに吹き飛ばされました。
しかしその時ヒーローが現れます。そこにいたのは会社帰りの中年サラリーマンです。
すわ、空中の私を見つけるやいなや、とっさのスーパーミレニアムジャンプ!!
はっしと私を掴み取り、ざざざと滑る音もサラリーマンのシャツを引き裂く一瞬の出来事!!
私は次の瞬間、ぼろぼろになったサラリーマンのおやじの腕に抱かれていたのです。
今でもその現場(階段)は存在しますが、ここは勾配の急な神社の階段。どう考えてもあそこで乳児を落とすとタダでは済みません。
今現在、私がここに存在するのは、このスーパーサラリーマンのおかげです。このおじさんがこの瞬間、この場所にいなかったら私はどうなっていたか・・・
サラリーマンは、爺ちゃんに私を渡し、ただ一言・・・
「爺ちゃん、気ぃつけないかんばい」
そして名前も名乗らず颯爽と立ち去ったのでした。
かっこいい・・・このサラリーマンに私は会いたい。会って一言お礼を申し上げたい。しかし名前も分かりませんし、今回適当にイメージ先行でイラストを描きましたが、外見の特徴なども全く不明です。
年のころから考えて、多分今はおじいちゃんになっていると思います。
それにしても私の爺ちゃんは本当にタチが悪いです。
もし九州のこんな話を聞いたことがある方、お心当たりのある方は是非私に一言ご連絡ください(マジで)。
よろしくお願い申し上げます。