ちびまる子ちゃん考
私はケーブルテレビのアニメチャンネルで毎日欠かさずちびまる子ちゃんを見ています。もちろん再放送。最初に放送されていたのは私が高校か中学のころでしたが、そのころはたいして面白いとも感じない、サザエさんの焼き直しみたいなもんだと捉えていました。
しかしこの年(28歳)になって改めてみてみるといろいろなことが見えてくるのです。
まるちゃんの家庭には大きく分けて2つの人種が混在しています。
ひとつはおばあちゃん・お母さん・お姉ちゃんの3人で、彼らは基本的な常識をわきまえたタイプの人間です。決められた期日までにやるべきことをやるという基本的な行動のクセを身につけており、ソツなくなんでもこなせるタイプと言えるでしょう。この人種をここでは母派と言います。
一方、まるこ・爺さん(ともぞう)・父(ひろし)の3者は妄想ぎみでなるべくならひたすらボケーっとしていたいと考える人種です。彼らはきわめてマイペースで物事を後回しにすることで一時的な錯覚的解決を好みます。この人種をここでは父派と呼びます。
まず各々の特徴を具体例を交えておさらいしましょう。
(確か)クリスマスの出来事です。さくら家では子供が親からプレゼントを貰うというだけではなく子供が親にプレゼントをあげる習慣があるようで、姉・まることも両親にプレゼントを用意する必要がありました。イベント当日になってまるこは姉に「お姉ちゃんプレゼント用意した?」と問いかけますが、それに対して姉はネックレスなどの無難なものを用意してあると答えます。
まるこは若干の焦りを感じますが、それでも(当然のように)まったく何も用意していなかった自分を悔いることはなく、いかにこの急場を凌ぐか熟考するのです。
そもそも当日になってそのような確認をすること自体が父派の特徴をよく表していますが、彼らの底力が発揮されるのはここからです。
「あんたいまごろになって用意してないっていってもどうしようもないでしょう」としごくもっともな姉の意見に対してまるこは動じるそぶりもありません。
最終的にまるこは母:お手伝い券 父:肩たたき券という最も安易な方法でピンチ脱出をはかるのです。
またまるこは「まるこはなんていい子なんだ。本当にうれしいよ。こんなにいいもの貰っちゃったんだから使うのもったいないね」という両親のリアクションを予想していたこともあり、最小のリスクで最大の効果が得られる妙案であると考えます。つまり親心としては貰っても使わないだろうという打算があるのです。しまいには「お姉ちゃんはわざわざ前もってお金をかけて大変な思いをしてプレゼントを用意するなんてバカだね」などとほくそえむ始末です。
さて、クリスマスならではのご馳走もたくさん食べ、大人はほろ酔い気分で実際にプレゼントを渡す段となります。姉のプレゼントは当然のごとく両親から喜ばれ、まるこは予定通りお手伝い券と肩たたき券を渡します。ひとまず両親は喜んでくれ、まるこの計算どおりに事が運んだものと思われました。
母「じゃあ、せっかくお手伝い券もらったからこの食器洗いお願いしようかしら」
まるこ「・・・」
今日はクリスマス。ご馳走のお皿てんこもり、一年でもそうはない洗い物祭りの日です。しかも腹は一杯でなんだか幸せな気分だったのに・・・しかし相手に権利を付与してしまった手前まるこに断る術はありません。しぶしぶ台所に立ち大量の洗い物をぶつぶついいながら片付けます。
そこにほろ酔い気分で風呂からあがった父(ひろし)が登場し「まるこ、それが終わったら早速肩たたいてくれよ」の一言。
まるこは安直な方法で問題解決を図ったことを心底後悔したのでした。
この事例から分かるとおり、姉(母派)とまるこ(父派)の間には大きな違いがあります。
姉はまず
1・プレゼントに使うお金を用意する
2・予算を設定し適切な品物を選択する
3・実際に購入する
という3つの行動を事前に計画し実行していると考えられます。
一方まるこは
1・直前になるまでなるべくそのことを考えないようにする
2・他者(姉)の成果を確認し予定されている計画と自分の立場との差を認識する
3・目的を達成するために採ることが可能な手段を列挙する
4・列挙した中で最も容易(楽)でリスクが少ないと思われる方法を実行する
という方法論で解決を図っていることが予想できます。
父派の問題点は上記の1・直前までなにもしないということにあります。逆に言うとその他の行動は合理的で問題解決にあたっては常に必要とされる能力と言え、彼らの代表的な得意分野でもあります。上記3の行動についての能力は非常に高いのです。しかし彼らは直前まで行動を起こさないため問題解決能力を十分に発揮できておらず、またそのことに気づいていません。つまり「早めに行動をすれば、直前になって安易な方法を採るよりも実は楽なんだ」という現実に気づかないのです。
またもう一つの大きな特徴として「独りよがりな打算」があります。貰って速攻で権利行使を行う親も容赦ないと思いますが、何年も一緒に生活していてこれしきのことが予想できないまるこに最大の問題があります。またこれらのことを教訓とし、次回に生かすという能力が決定的に不足しています。
先の事例でもまるこは「安直な方法で問題解決を図ったことを心底後悔した」のですが、次回放送でこの教訓が生かされることはなく同様の行動パターンで年賀状を直前になって書き、母に頼まれた年賀状の投函を忘れたりしています。つまり彼らの特徴として「学習能力が低い」ということが言えるのではないでしょうか。年賀状の投函といえばクリスマスから一週間もたってない話です。
せっかくの高度な問題解決能力を生かし切れていない彼らを見て、私は「まるこって本当にダメな女だなー」と思ってしまいますが、実は私たちの身の回りにも父派は多く存在します。
会社や学校でこんな人をみかけませんか?父派の問題点と長所を認識し、彼らの行動パターンを予想することで自己の戒めとしたいものです。
次回はまるこの家庭を飛び出して、彼女の学校生活を考察いたします。