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 田坂広志 「風の便り」 四季  第18便
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 パリで画家が育つ理由

 遠い昔、ある著名な画家に聞いたことがあります。


  なぜ、パリでは、あれほど多くの優れた画家が育つのですか。


 この問いを発しながら、私が予想していたのは、
 次のような答えでした。


  パリには、優れた美術学校が、たくさんあるからだよ。


 しかし、その画家から返ってきた答えは、
 私の予想外のものでした。


  パリには、本物の絵が、たくさんあるからだよ。


 その画家は、静かに、そう答えたのです。


 ある「高み」にまで達したものを、
 毎日のように、見る。

 そして、知らず知らずに、
 その「高み」を、自分自身の目標に重ねあわせていく。

 その無意識の営みこそが、
 一流のプロフェッショナルが育つための条件なのでしょう。


 そのことを考えるとき、
 一人のプロフェッショナルとして、
 自然に、一つの問いが心に浮かびます。


 我々は、毎日、「本物の絵」を見ているだろうか。


 その問いが、心に浮かぶのです。



 2002年2月28日
 田坂広志

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数学研究でも全く同じことが言えます。その分野を一変させたようなオリジナルな論文を読み込むことが大事です。

その時代にはその論文が画期的であったことは分からず、あとから分かるという風です。そもそも独創的なものはそういう扱いを受けるものです。

教科書とか専門書を読むのは大いに大事ですが、出来上がったものを簡単化した証明でなぞっている限り研究は出来るようにはなりません。これは断言できます。