気まぐれ何でも館:(624)曽宮一念詩歌集 雲をよぶ(9)
  
 釜ゆでの夏過ぎ秋は束の間に足腰凍る九十の冬
  
 霜の夜に細き虫の音ついに絶え友の便りも無くて秋往く
  
 貧乏草われを嘲(あざけ)り藪枯らし庭這い廻る秋は来にけり
  
 花札の絵と重なりて思い出す都の空に雁渡りしが
  
 野仏は草原にこそあらまほし車の絶えぬ道に立つとは
  
 ヒメジオン根こそぎ抜くな人の手に培(つちか)う花にまされるものを
  
 マネよりもセザンヌよりもまた上と遊子見惚れし冬のマロニエ
  
 手の掌(ひら)に載るほど小さき鴨(かも)の雛親に泳ぎを習いおるらし
  
 秋の蝉えんまこおろぎカネタタキ伏戸のぞきて我も歌えと
  
 末枯(うらが)れの草刈る人よ鳴く虫の短き命こころしてくれ
  
 往く夏をつくづくおしと鳴く蝉のせわしき声に思い出す友
  
2015.2.28 抱拙庵にて。