気まぐれ何でも館:(619)曽宮一念詩歌集 雲をよぶ(4)
  
 かえりみて枯色のみの若き日を沈丁花(じんちょうげ)咲けば我をあわれむ
  
 空梅雨の寝られぬ夜の明けやすくまだ寝てるかと鳥呼び来たる
  
 盂蘭盆(うらぼん)に帰る家なき友の魂(たま)今宵我が焚く火に来て帰れ
  
 ひまわりが五十余億とつたえられ兄弟の墓咽(むせ)び狂わん
  
 やさしかりし佐伯ふた度パリにゆきかなしきゴッホの後を追いたり
  
 茅屋にまだ名をなさぬ道人と酒飲みおれば斑鳩(いかるが)の鳴く
  (足立註:道人=秋草道人・會津八一)
  
 生臭く鼻もちならぬ青春と言い捨てて友は多く語らず
  
 無き人の声夜半に聞く空耳に思う心のいやまさりける
  
 善き性の友みな早く世を捨てて罪多きもの永らうべしや
  
 デッサンの夜学帰りの懐に鯛焼熱し守雄と我と
  
14.11.29 抱拙庵にて。